江戸から続く東京水道ヒストリー『東京都水道歴史館』(文京区/本郷)

東京都(23区)

江戸幕府によって整備され、明治政府によって引き継がれた東京の上水の歴史を学ぶことができるミュージアム。江戸時代に使用されていた木製の水道管をはじめとした実物も多く展示されております。

訪問日:2023/7/29(土) ※掲載の写真・情報は訪問時のものです

東京の水を学べるミュージアム

文京区本郷の地に建つ東京都水道歴史館は、東京都内各地への給水を管理する東京都水道局が運営するPR施設。東京都水道局本郷給水所に隣接する形で設置されています。

館内は2フロアに分かれており、1階が明治以降、2階が江戸時代の水道の歴史を学べる展示が並んでおります。

入口を進むと目の前には実物大の取水塔の模型。さらに、その傍では、実際に水が流れています。水音の爽やかな響きが心地よい空間です。

中央に見える水色のキャラクター、きっと見たことある人も多いハズ!東京都水道局のキャラで、その名も「水滴くん」。まったくひねらないネーミングに潔さしか感じません!

ちなみに、入館料はもちろん無料!座って休めるラウンジもあるので、ふらっと立ち寄ってみるのもおすすめです。「東京水」が飲めるウォーターサーバーもありますよ~。

木を使った江戸の水道

まずは2階の江戸時代の展示から。まるでベンチのように横たわる木型は、「角型木樋」。木樋(もくひ)というのは文字通り木でできた樋(とい)のことであり、江戸時代の水道管の役割を担っていたもの。

神田上水、玉川上水など整備された上水道から、地下に埋められた木樋を通って各上水井戸へと配水されていました。

この大きな木の枠は、千代田区にて発掘された上水井戸。たくさんの木の板が組み合わされて、大きな井戸を造り上げています。

木の枠って水が漏れないのかな?と思ったのですが、ヒノキやマキの皮を叩いて繊維にしたものを隙間に詰め込んで漏れないようにしていたそうです。

こちらは懸樋(かけひ)の模型。川や堀を通る際は、このような水道橋を用いて水を流していたそうです。ちなみに、水道橋駅は、このような掛樋があったことが駅名の由来であるそうです。

文明開化とともに変わる上水

江戸幕府の崩壊によって混乱に陥った江戸のまち。それまで幕府によって管理されていた江戸上水も興廃の一途をたどります。さらにコレラといった伝染病の流行から、水道改良事業の重要性が高まります。

腐朽や下水の混入といった危険のあった木樋は次第に撤去されていき、鉄の水道管である鋳鉄管へと切り替わります。

水道配管と合わせて都内各所に約4,600個もの消火栓が設置されます。自然流下であった江戸の上水とは異なり、水圧を稼ぐことができるため、消火にも利用することが可能となりました。

明治39年にロンドン市牛馬給水槽協会から贈られた馬水槽(ばすいそう)。最初は東京府庁舎前に、その後は水道局庁舎に設置されました。手前の水槽は牛馬用、よく見ると下には犬猫用の水槽が、さらに裏側に人間用の水飲み場があります。

ちなみに、こちらはレプリカ。現物はなんと新宿駅東口に置かれています。新宿に行ったことがある人は、きっと知らず知らずのうちに目の前を通っているかもしれません。

現代へと続く水の歴史

こちらは小河内ダムの模型。大正末期、急速に増加する水需要に対応するため計画された大型ダムで、1938年に建設がスタート。戦時下では一時的に工事が中断され、1957年についに完成します。東京の水の2割を賄う巨大な水がめで、水道用のダムとしては国内最大規模を誇ります。

現在の水道マップ。関東各地のダムから、多摩川や荒川を通って都心へと流れていく様子や、取水堰から貯水池をつなぐ導水路。水のネットワークがとってもわかりやすいです。

こちらのアート作品のようなものは、800mm〜2,900mmという各サイズの水道管の断面。手前の一番大きなものは、鋳鉄製では日本最大級であるそう。羽村取水堰から村山・山口貯水池までの導水管に使用されているとのことです。

さて、ひと通り館内をめぐったら喉が渇いてきました!そんなときにおすすめが前述の「東京水」が飲めるウォーターサーバー。歴史を学んだあとだと美味しく感じる気がしますね。

アクセスと営業情報

JR中央・総武線の「御茶ノ水駅」と「水道橋駅」、東京メトロ千代田線の「新御茶ノ水駅」、東京メトロ丸ノ内線の「御茶ノ水駅」と「本郷三丁目駅」、都営大江戸線の「本郷三丁目駅」、都営三田線の「水道橋駅」と、多数の駅に囲まれた場所にあります。

どの駅からも徒歩10分弱でアクセスできます。

開館時間 9:30~17:00
休館日 第4月曜、年末年始
料金 無料
公式サイト https://www.suidorekishi.jp/

※掲載の情報は2023年7月時点のものです。最新情報は公式HPにてご確認ください。

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