様々な展示がたっぷりつまった日本で唯一の梨をテーマにしたミュージアム。映像コンテンツでは、梨生産の波乱万丈な歴史や人々の工夫を実感することができます。実際に梨を味わえる、試食コーナーもあります!
シンボルツリーのお出迎え
鳥取県の特産といえば梨!鳥取県の倉吉市にある鳥取二十世紀梨記念館なしっこ館は、そんな梨をテーマにしたミュージアム。ドーム状のかなり大きな施設で期待が膨らみます。
来館者を出迎えるのは広いドーム空間にそびえるシンボルツリー「二十世紀梨の巨木」。直径20mにも及ぶ巨大さで、国内最大級の二十世紀梨の木です。
1999年当時、樹齢74年であったこの樹には、1年間に4,000個という普通の梨の木の5倍もの果実が実っていたそう。
シンボルツリーを眺めていると照明が少しずつ変わっていき、月が出てきました。朝から夜まで、24時間を表して変化していくそうです。
梨に関するミュージアム
館内では梨の栽培に使用する機械や道具、様々なデザインの箱に貼るラベルなどが展示されています。
梨の不思議ガーデンでは、自分が小さくなって梨園に迷い込んだようなワンダーな体験ができます。巨大な虫や、遊べるコンテンツでお子様大はしゃぎな展示でした。
ところで、この施設の名称にもなっている二十世紀梨っていったいどんな品種の梨なのでしょうか?名前はなじみ深いですが、詳しく知っている方は少ないのではないでしょうか。
鳥取の名産であることから、鳥取県内でつくられた品種かと思いきや、実はちょっと違います。千葉県松戸市で、当時中学生であった松戸覚之助がゴミ捨て場で見たことのない梨の苗を発見。実家で育てたところ、美味しい果実が実ったそう。
覚之助より10本の苗木をもらい、鳥取に持ち込んだのは北脇永治。自然災害、黒斑病など、数多くの困難が立ちはだかりますが、国や県を動かし、農家をまとめあげて乗り越えます。
充実の映像コンテンツ
シアターでは毎時00分に「梨の来た道(17分間)」と、毎時30分に「未来にはばたく梨産地鳥取(14分間)」の映像作品を上映中。今回見た「未来にはばたく梨産地鳥取」では、農家さんが登場して地域毎の生産テクニックや品種の紹介が流れます。
光センサーで選別する選果場、海外輸出を可能にした氷温技術(0度以下であり梨が凍らないぎりぎりの温度)など、レアな現場が見れてまるで工場見学に行ったような気持ち。
さらに、映像はシアターだけではありません。館内の「ものがたり劇場」は、昭和初期の梨農家をイメージしたデザインの雰囲気抜群のミニシアター。毎時10分・40分に上映されており、所要時間は約10分間。スクリーン映像と、リアルに動く農家さんロボットが臨場感たっぷり!
1904年に鳥取県に二十世紀梨が導入されますが、その栽培の歴史は非常に険しい道のり。20世紀梨特有の病気「黒斑病」との戦いをはじめ、天災や戦争といった困難と戦う梨農家の姿が描かれます。
シアターもものがたり劇場も、特にスタッフさんが常駐しているわけではなく出入りは自由。時間が無い人はちらっとだけ見る、みたいなことも可能です。
実際に梨の木が育つお庭
館内から進める庭園「梨ガーデン」では、二十世紀梨の後継品種「おさゴールド」が栽培されています。5月の摘果体験や9月の収穫体験など、季節に合わせた作業体験もおこなっているそうです。このおさゴールドは黒斑病に強く、人工授粉なしでも実を結ぶそう。
こちらの梨の木は愛宕、王秋、新雪、晩三吉のなんと4種類の実がなるそう。接ぎ木した結果、このような不思議な木ができあがったそうです。
高くそびえるのはヤマナシ。品種改良されたものではなく、日本に自生している野生種。これが本来のナシの姿です。果実も実りますが4cm程度と小ぶりで、硬く酸味が強いため生で食べるのには向いていないようです。
梨のキッチンギャラリー
ここまで様々な梨を見てみましたが、きっと梨の口になってしまっているのではないでしょうか。
大丈夫、ちゃんと梨を食べることもできます!館内にあるキッチンギャラリーでは、一年を通して常時3種類の梨を試食できます。こんな感じでカップに入った梨がもらえます。
その日によって種類は変わりますが、本日はマイルドな甘さの愛宕、少し酸味のある王秋、爽やかな新雪の3種類。入場料300円で梨の食べ比べができるなんて、これはすごいサービスです。
さらにミュージアム外のフルーツパーラーでは梨ソフトも!シャキッとみずみずしい甘みがなんとも爽やかなメニュー。ミニサイズもありますので、ちょっと味見したい方でも楽しめます!
アクセスと営業情報
倉吉パークスクエア内にあります。倉吉駅からバスで約12分のバス停《倉吉パークスクエア》下車。もしくはバス停《倉吉パークスクエア北口》下車後、徒歩5分ほど。
車の場合は倉吉駅から約10分。駐車場は無料で利用できます。
開館時間 | 9:00~17:00 |
---|---|
休館日 | 第 1・3・5月曜日、年末年始 |
料金 | 300円 |
公式サイト | http://1174.sanin.jp/ |
※掲載の情報は2022年5月時点のものです。最新情報は公式HPにてご確認ください。
コメント