圧巻のアマゾンとマニアックなヤツメウナギ『なかがわ水遊園おもしろ魚館』(大田原市)

栃木県

那珂川流域に暮らす淡水魚をはじめ、アマゾンの熱帯魚や海水魚も扱う水族館。大水槽やトンネル水槽、熱帯をイメージした温室など、かなり充実した展示内容となっています。ヤツメウナギをはじめとした、他ではなかなか見られない生き物にも出会えます。

訪問日:2021/10/30(土)

栃木県の水族館

大田原市にあるなかがわ水遊園は、那珂川のほとりに広がるアクアパーク。園内には釣りや魚のつかみ取りといった体験や水遊びができる広場などがありますが、なんといっても魅力的なのは「おもしろ魚館」という名の水族館!
日本各地の河川沿いで見ることができるコンパクトな淡水魚水族館かと思いきや、その飼育数は300種2万点とかなりのボリュームを誇ります。

水に浮かぶような建築もなかなかのインパクト。水族館では珍しくガラス窓が豊富で、館内は自然光が降り注ぐぽかぽかした空間になっています。

那珂川に暮らす生き物

那須の山から流れる那珂川。大田原市や那須烏山市を流れ、茨城県を通り太平洋まで流れ落ちます。そんな那珂川に暮らす生き物が上流、中流、下流に分けて展示されています。

上流ではヤマメ、ニジマスなど、ちょっぴり美味しそうなサカナが泳ぐ。ヤマメは開けたところに、ニッコウイワナは淵といったように棲み分けされているそう。

川幅が広がり流れも少し落ち着く中流域では、アユ、ウグイ、オイカワが泳ぎます。上流より少し小ぶりなラインナップになってきました。

下流に入ると、コイやナマズなどの大きな魚がたくさん。馴染み深いサカナの中には、カムルチーやミシシッピアカミミガメなど外来種の姿も。これも人間の生活環境と近い下流ならではの現象なのでしょうね。

あこがれの海のサカナ

淡水魚専門の水族館かと思いきや、しっかりと海水魚もいます。カラフルなサンゴ礁水槽では、マンジュウイシモチ、ナンヨウハギ、ルリスズメダイなどが泳ぎます。

マダイやマアジが泳ぐ大水槽。底の方にはコモンカスベやドチザメの姿も見えます。かなり本格的な海水魚水槽です!

地面から生えているのはダイナンウミヘビ。ウミヘビとつく生物には「爬虫類のウミヘビ」と「魚類のウミヘビ」の2パターンあってちょっとややこしい。このウミヘビは魚類の方なので毒はありません。

海なし県の水族館で海水魚水槽が複数展示されているところって凄くレア!!というかここだけではないでしょうかね?

南米アマゾンの熱帯ゾーン

館内を進んで行くと、最後に広がるのが南米アマゾンエリア。入口はピラルクやブラックコロソマなど大型淡水魚が泳ぐトンネル水槽!周囲を水に囲まれて、サカナを様々な角度から観察することができます。

トンネルを抜けた先には熱帯植物が生い茂るドーム状の空間が広がります。まるで熱帯植物園のような演出になんだかテンション上がってきました!

サカナに加えてまさかのカピバラが登場!さらに、ルリコンゴウインコグリーンイグアナはこの空間で放し飼いになっています。運が良いとかなり近くで見ることができるかも!

稀少な日本の生き物

この水族館、他ではあまり見ることができないような、レアな生き物も多く展示されています。ここからはちょっとだけクローズアップしてご紹介!

カジカの仲間であるカマキリ。昆虫や小魚を食べる肉食のサカナで、獲物が近づくと呼吸すら止めてまるで石のような姿になります。エラにあるトゲでアユを捕食していたという伝承から「アユカケ」とも呼ばれていますが、実際にアユを捕まえる姿は誰も見たことがないそうです。

ヒゲの生えたアユモドキ。日本固有種ですが、年々数を減らしており、天然記念物にも指定されています。京都府亀岡市などに棲息しているそうですが、この魚の生息域を守るためにサンガスタジアムの建設位置が変わったというエピソードもあるようです。

日本のウグイの中で最大といわれるウケクチウグイ。大きくなると80cmにもなるそう。名前の通り下顎が上顎より少し長く、ちょっぴりしゃくれています。

マニアックなヤツメウナギ

ヤツメウナギってご存知でしょうか?ウナギとつきますがウナギではなく、そもそもサカナと呼んで良いかも微妙なライン。背骨はあるため脊椎動物なのですが、顎が無い円口類というかなり原始的な生物なのです。日本では北海道や東北地方などの河川に棲息していますが、個体数は少なくなかなかレア。飼育も難しく、展示している施設も少ないです。

この水族館では、そんなヤツメウナギに出会うことができます!

こちらは絶滅危惧種となっているスナヤツメ。8つの目があるのかと思いきや、目の後ろに7つのエラがあり八つ目に見えることから、このような名前が付けられています。一生のほとんどを眼の無い状態で過ごし、人生の最期となる産卵期になるとついに開眼。それと引き換えに消化器官を失ってしまい、産卵し寿命が尽きるまで何も食べることが無くなるそう。

こちらは那珂川で捕獲されたミツバヤツメの標本。日本では30匹程度しか発見されていないという幻の生物。この水族館では飼育していたこともるそう。

モニターではミツバヤツメの繁殖行動を映した貴重な映像を見ることができます。

 

軽い気持ちで立ち寄ったのですが、想像以上のボリュームに大満足!テーマパーク的に楽しみたい人も、じっくりと学びたい人も満足できる、クオリティの高い水族館でした。

アクセスと営業情報

JR宇都宮線の西那須野駅からバスで30~40分ほど。車の場合は東北自動車道の西那須野塩原ICから約45分、矢板ICから約50分。駐車場は無料で利用できます。

開館時間 9:30~16:30
休館日 月曜、第4木曜
料金 650円
公式サイト https://tnap.jp/index.php

※掲載の情報は2021年11月時点のものです。最新情報は公式HPにてご確認ください。

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