火砕流の中にある神秘空間『溝ノ口洞穴』(曽於市)

鹿児島県

3万年前の噴火によって流出した火砕流の中にできた巨大な洞窟。自然に包まれた姿が美しく、神秘的な佇まいです。洞穴内部から見た外の景色が特に印象的で、近年ではパワースポットとしても人気を集めています。

訪問日:2023/11/2(木) ※掲載の写真・情報は訪問時のものです

田園地帯に残る洞穴

鹿児島県の北東部にある曽於市(そおし)。その北端であり宮崎県との県境にいちする財部町(たからべちょう)には、溝ノ口洞穴(みぞのくちどうけつ)と呼ばれる洞窟があります。

洞窟といっても山間部ではなく、あたりは田園に囲まれています。道中にも写真付きの案内板が多数出ており、車さえあればそれほどアクセスは困難ではありません。

駐車場から歩いて行くと、すぐに赤い鳥居が。平日の16:30頃ということもあり、誰もいない神秘的な空気。

そのすぐ奥に見えるのが溝ノ口洞穴。入口の幅は14.6m、高さは6.4m。間口が広いため、洞穴といっても開放的な雰囲気があります。1955年には県の天然記念物に、その後は国の天然記念物にも指定されました。

真っ暗闇を進む

天然の洞窟であり、照明設備などは無いため洞内はびっくりするほど真っ暗。入口付近は光があるためなんとか見えますが、少し進むと足元すら見えない漆黒の闇が広がります。

入口には懐中電灯が2つ設置されていましたが、電池切れなのか点灯しませんでした。ということでスマホのライトで照らしてみましょう!一人で来ているため写真を撮れないかと思いきや、たまたまスマホ2台持ちだったのでなんとかセーフ。

内部も入口そのままの広々とした空間が広がっています。ただし、足場は平坦ではなく多少の起伏がありますので、進む際はちょっとだけご注意を。

暗い洞窟は距離感がわかりにくいのですが、おそらく20〜30mほど進んだあたりには立入禁止の看板が。これ以上は進めないようになっています。

火砕流の中に広がる空間

この洞窟は、30,000年前の姶良(あいら)カルデラからの噴火によって出てきた入戸火砕流が堆積、その下を流れる地下水によって浸食されて形成されています。先ほどの立入禁止の先にも洞窟は続いており、その長さは200m以上であるそう。火砕流堆積物中に形成された洞窟としては国内最大級とのことです。

天井をよく見ると、大小様々な多数の穴を見ることができます。こちらは火砕流が固まる際に、高温の中で発生したガスが抜けていった通り道「吹き抜けパイプ」と考えられています。

なお、この鹿児島県や宮崎県には、この洞穴を形成する入戸火砕流をはじめとした多くの火山噴出物が堆積した台地が広がっています。この台地を「シラス台地」と呼びます。大昔に学校で習った記憶が蘇りました!

振り返りの景色

さて、溝ノ口洞穴といえばこの景色!洞窟の中へ少しだけ進んで振り返った絵がなんとも素敵です。

豊かな自然が洞窟の縁で切り取られる様子は神秘的。赤い鳥居が良いアクセントになっています。

学術的価値な価値はもちろんのこと、近年ではパワースポットとして人気。旅行雑誌などでもおなじみの光景です。

この洞穴では、4月8日のお釈迦様の誕生日に近い日曜日に「溝ノ口岩穴祭り」も開催されています。島津藩より伝わる歴史のある奴踊りなどが奉納されているそうです。

アクセスと駐車場情報

鹿児島空港から車で約50分、東九州自動車道の末吉財部ICから約35分。周辺は前述のとおり開放的な田園地帯ですが、最後の1.3kmはすれ違い困難な細い道が続きます。途中に待避所はありますが、あまりスピードは出さずにゆっくり進むのがおすすめです。

駐車場にはトイレやパンフレットも設置されていました。

コメント

タイトルとURLをコピーしました