伝統が詰まった荘厳なる宮殿『京都御所』(京都市上京区)

京都府

京都御所、それはかつて天皇が住んで政治や儀式を執り行っていた場所。1331年~1869年という鎌倉時代末期から明治時代の初頭の東京奠都まで500年間機能していました。その役割が皇居へと移った今も、重厚な存在感を放ちます。

訪問日:2023/3/25(土) ※掲載の写真・情報は訪問時のものです

予約は無しでも見学可能

砂利の道に囲まれた築地塀が印象的な姿。よく見ると横に5本の筋が入っています。この線は格式を表しており、御所以外では二条城、東寺や金閣寺など格式の高いお寺でも見ることができます。

京都御所の見学案内を調べようと宮内庁のHPを見ると、オンライン予約や参観要領などが目につきます。少し敷居が高く感じますが、実際は普通の観光スポット同様に当日窓口で受け付け可能。料金も無料で見学できます。

通常公開時の入口は清所門(せいしょもん)。受付などはありませんが、見学にあたり検温、そして手荷物検査があります。

見学時はこちらの入門証を首から下げます。訪れた人みんなが同じ色の入門証を下げている姿は少しおもしろいです。

建築と歴史を知る屋外博物館

御所内には順路があり、それにそって進むと代表的な建築や庭園を一通り見て回ることができます。各ポイントには解説板も設置されているため、知識が無くとも屋外ミュージアムのような感覚で楽しむことができます。

大きくて立派な宜秋門(ぎしゅうもん)。御所には全部で6つの門がありますが、こちらはそのうちの一つ。

3つの部屋が連なる諸大夫(しょだいぶ)の間。それぞれ「公卿の間・殿上人の間・諸大夫の間」であり、描かれた障壁画から「桜の間・鶴の間・虎の間」とも呼ばれています。

ほとんどの建築に派手な装飾は無いため、京都の他のお寺と比べると少々控えめな印象です。園内に多数訪れていた外国人観光客も、想像していたImperial Palaceよりずっと地味で驚いているんじゃないでしょうかね。

御所を代表する建築・紫宸殿

順路に沿って進んで行くと、承明門(しょうめいもん)が姿を現します。御所の建築は塗装されているものは少ないのですが、この門に限り目が覚めるような朱色に染まっています。

その先にあるのが、御所で最も格式が高い正殿にあたる建築・紫宸殿(ししんでん)

1855年の造営ですが、平安時代の復古様式にて造られています。こちらもやはり派手な塗装などはありませんが、それが逆に荘厳な雰囲気を作り出しています。

ここは即位礼など様々な儀式が行われてきた場所。様々な歴史の舞台であり、かつて明治天皇が新政府の基本方針である「五箇条の御誓文」を示した場所でもあります。さらに、現在の建物では明治・大正・昭和・3代の天皇の即位礼も行われてきました。

対をなす桜と橘

紫宸殿に向かって右側には桜の木が一本。この近くには左近衛と呼ばれる役職が配陣されていたため「左近の桜」と呼ばれています。

3月下旬に訪れたところ、紫宸殿を彩るかのように花開いておりました。品種はヤマザクラであり、現在の樹は平成9年に植え替えられたものであるそう。

桜と相対するように植えられているのは橘(タチバナ)。こちらは右近衛が配陣されていたため「右近の橘」と呼ばれています。

天皇の居住空間へ

紫宸殿の奥にあるのが清涼殿(せいりょうでん)。こちらは天皇の住まいであった建物。先程の紫宸殿が公の場であったのに対し、こちらは日常生活の場という位置づけです。

その居所としての役割は、後にこの御常御殿(おつねごてん)へと移って行きます。ここはかつて男子禁制の場。基本的に天皇の世話は女官だけが行っていたそうです。

御常御殿の前には御内庭(ごないてい)という庭園が広がります。配置された石や灯籠の多くは献上品であるとのこと。

特別公開イベントもあり

京都御所では、春や秋に特別公開を行っています。今回訪問した3月下旬は、令和5年春の特別公開「京都御所 宮廷文化の紹介」を開催しておりました。

宜秋門番所では修学院離宮中離宮客殿の襖絵「長谷寺春景図」を展示。原本と模写が並べて配置されており、2つを見比べるといった楽しみ方ができます。

御学問所では人形を使った儀式の再現展示。睦仁親王のご就学始の儀式「儲君親王御読書始」をイメージした展示となっています。

また、時間帯が決まっていますが雅楽の実演・蹴鞠の実演も行われていたそうです。

北東角の鬼門・猿ヶ辻

御所内を一通り見て回ったところで、離れる前にちょっと注目してほしいのが、御所を取り囲む築地塀の北東の角の部分。

一か所だけ塀が不自然に凹んでおります。まるで古来よりその地にあった石碑や古木などを避けたように見えますが、その凹み部分には何もありません。ここはいったい何でしょうか?

ここ北東は鬼門にあたる方角。魔除けのサルを配置したため、猿ヶ辻と呼ばれるようになったそうです(※諸説あり)。

なぜサルなのか、それは御所を守護する日吉神社の神使がサルであること、また坤(ひつじさる)の方角の反対であるため、とも考えられています。

特に何か大きな見どころがあるわけではありませんが、御所の北東を通る際は、少し注目してみてはいかがでしょうか。

アクセスと見学情報

地下鉄烏丸線の今出川駅から徒歩5分ほど。

見学時間 9:00~17:00 ※季節によって変動あり
休止日 月曜(祝日の場合は翌日)、年末年始、その他行事等で休止日あり
料金 無料
公式サイト https://sankan.kunaicho.go.jp/guide/kyoto.html

※掲載の情報は2023年3月時点のものです。最新情報は公式HPにてご確認ください。

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