雨の日でも大丈夫?鉄橋・トンネル・断崖絶壁を越えて進む『黒部峡谷鉄道トロッコ列車』(黒部市)

富山県

交通の難所・黒部の渓谷を難なく進むトロッコ列車。吹き抜けの車体は路線沿いに広がる大自然のパノラマを存分に堪能できます。雨の降る曇天の中での乗車、びしょぬれになってしまうかと思いきや、意外と快適な鉄道旅でした。

訪問日:2020/7/28(火)

今回のコース

今回は午後発であるため時間が少ないことと天候が雨のため、始点となる宇奈月駅から終点の欅平駅まで行き、欅平駅を散策したのち宇奈月駅まで帰ってくる【途中下車なし欅平往復コース】で利用しました。

【今回のコース】
往路:宇奈月駅 13:32発/欅平駅 14:54着
〜欅平駅周辺散策(滞在時間67分)〜
復路:欅平駅 16:01発/宇奈月駅 17:16着
直前まで乗車しようか悩んでいたため、予約は無し。平日&悪天候のおかげで乗客はほとんどおらず、窓口でスムーズにチケット購入できました。
往復チケットもありますが、その場合、帰りの便を指定する必要があります。チケット購入時はまだ欅平駅に何分滞在するか決めていなかったため、とりあえず片道だけ購入。(※料金は変わりません)
乗車前の注意点などはこちらの記事にて。

トロッコ列車に乗車

オレンジ色の車体が目立つトロッコ列車。色合いはポップですがよく見ると武骨なデザインをしています。

横一列のシートと、チェーンで閉じる様子は、まるでテーマパークのアトラクション。

トロッコ列車のシートは壁の無い吹き抜けで、ビニールシートなどもありません。雨降ってるし、ちょっと奮発してリラックスシートにしよう!そう思ったのですが、今回乗車した13:32発の便にはリラックスシートがありませんでした。

シートに乗り込むと、富山県出身の室井滋さんによる音声案内がはじまります。キャッチャーな声で行われる解説はとっても頭に入りやすい。

なお、平日で雨の日だったためか乗客は私含めて3組。1組1車両貸し切りという贅沢な電車旅です。

多少の雨でも大丈夫!

発車ベルとともに出発!ガタガタと進む車両は迫力満点。速度はそれほど出ていませんが、体感速度は異常なほど速いです。

トンネルは車体ぎりぎりでドキドキ。トロッコとレールが軋む激しい音が響き渡ります。

雨でびしょびしょ・・・かと思いきや意外と濡れません。渓谷に沿って走るため、基本的に片側は崖がそびえています。またトンネルも多いためあまり吹き込みも無いのです。

激しい音を立てて流れる迫力のある川や、たなびく雲を纏った山水画のような山々など、雨ならではの景色も楽しめます。

序盤の見どころ【宇奈月駅~森石駅】

最初に目に入るのは、真っ赤な色合いが印象的な新山彦橋。豊かな自然の中に映える真紅の鉄橋は旅行雑誌などでもおなじみで、黒部峡谷のシンボルとも呼べる光景です。列車の音がやまびことなって温泉街に響くためこのような名前がつけられています。

東京ドーム20杯分の水を貯めることができる巨大なコンクリートダム・宇奈月ダム。カメラを構えるタイミングが遅れてしまい、ほとんど映っていません・・・。トロッコ列車はそこまで速いわけではありませんが、一瞬で角度が変わったり、生い茂る木が現れるため、名所全てをベストショットで収めるのはなかなか難しい。

最初の駅である柳橋駅には、まるでヨーロッパの古城のような石造りの建造物が。こちらは新柳河原発電所。霧雨が煙る様子は、雰囲気抜群です。ちなみに柳橋駅をはじめ多くの駅は関西電力専用駅のため、一般客は利用できません。

見ていて不安になる細い吊り橋。こちらはなんと、猿専用の橋「猿橋」。ダム建設によって行動範囲が狭められてしまうサルのために作ったそうです。実際にサルがちゃんと利用しており、運が良いと群れで渡る姿も見ることができるらしい。

緑が広がる視界に一瞬現れる赤いものは、仏様のような御姿をした自然石・仏石。かつては山に入る者が安全を祈ったといわれている石で、赤い頭巾と服を纏っています。

森石駅は、The何もない駅。一般客は利用不可なため、素通りです。車でアクセスできない、周辺に民家や店の無い駅を「秘境駅」と呼んだりしますが、黒部峡谷鉄道は秘境駅だらけではないでしょうか。

中盤のみどころ【黒薙駅~出平駅】

一般客も乗降可能な有人駅・黒薙駅。ここから山道を20分ほど進んだ先には、宇奈月温泉の元湯である黒薙温泉があります。旅館があるため、日帰り入浴だけでなく食事や宿泊もできるそう。

黒薙駅から見える鉄橋は後曳橋(あとびきばし)。新山彦橋とは対照的な水色の橋で、トロッコ列車の沿線で最も険しい谷に架かっています。昔、ここに来た人があまりの渓谷の深さに後ずさりしてしまったことが名前の由来とのこと。

笹平駅も関西電力専用のため素通り。冬期運休の明けた春先、開通直後はこの笹平駅までの部分開通になります。そのため、ここには観光客用のトイレが設置されています。

黒くてかっこいい重力式コンクリートダム出し平ダム。黒部川は土砂が多いため、出し平ダムには日本初の土砂を流すシステム「排砂ゲート」が組み込まれています。

出し平ダムのすぐ先にあるのが出平(だしだいら)駅。一般客は利用できない駅ですが、対向列車とすれ違うため停車。線路の奥にあるコンクリート壁のようなものは、内部が通路になっております。

冬の間はトロッコ列車が運休となるため、沿線で働く発電所関係の方は歩いて現場へと向かいます。この地域は3mもの積雪があるため、雪の中でもスムーズに進めるように設置されているのが、このコンクリートに包まれた冬期歩道

トンネルになっているとはいえ、その距離はなんと20km。休まず歩いても6時間はかかるそう。通勤徒歩6時間とは恐ろしい職場です。

終盤のみどころ【猫又駅~鐘釣駅】

黒部川の対岸にある大きな建物は黒部川第二発電所。真っ赤な橋でつながっており、どことなく川辺の温泉旅館のような風情も感じます。

そのすぐ先にあるのが猫又駅。駅舎もありますがここも関西電力専用駅のため一般客は利用不可。周辺にはコンクリート工場のような設備が並んでおり、黒部川第二発電所へアクセスするための駅のようです。

トロッコ列車の終盤に現れる鐘釣駅。ここに来てついに有人駅!待合所や自販機、お店も見えます。

私以外の乗客は序盤で全員降りてしまっていたので、トロッコ列車に乗っているのは私一人。運転手さんの姿も見えず山の中を孤独に進んでいました。そんな状況に少し不安を感じていましたが、動く人を見つけてホッとしました・・・!

鐘釣駅周辺には、鐘釣温泉旅館鐘釣薬師堂河原露天風呂などの観光スポットが集まります。夏でも解けることがない積雪「黒部万年雪」があったのですが、降雨などの影響によってなくなってしまったそうです。

最後の停車駅、小屋平駅。ここで上下線行き違いのため一時停止。あいかわらず何もない駅ですが、駅の向こうに小屋平ダムの姿もうっすらと見えます。靄のかかった巨大ダムって幻想的ですね・・・!

終点・欅平駅に到着

ついに終点の欅平(けやきだいら)駅に到着です!長い道のりでした。

想像していたよりも遥かにしっかりとした施設の駅舎。駅員さんはもちろん、トイレや自販機、軽食のお店もあります。準備を整えたら駅周辺の散策に出発!続きは次回に。

トロッコ列車の終着駅『欅平駅』周辺散策 〜サクッと1時間コース〜(黒部市)
黒部峡谷鉄道トロッコ列車の終点である欅平駅。周辺には3つの温泉や風光明媚な橋、渓谷ならではの迫力ある景色など見どころが豊富です。67分の滞在時間でさらっと周辺を散策してきました。

コメント

  1. […] […]

  2. […] 今日はトロッコ列車や発電所美術館などいろいろまわってきたので、ここに付いた時刻は午後5時過ぎ。小雨が降っているため人の気配は全くありません。たまに近所の方が犬の散歩やランニングで通る位です。 […]

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