天界のアートと地界の呻き『まんだら遊苑』(立山町)

富山県

地獄から立山を登り天国へと向かうストーリーを体感できる屋外ミュージアム。刺激的な地界を抜けた先には、幻想的なアート作品が並ぶ天界が広がります。B級要素は皆無で、洗練されたアーティスティックな空間です。

営業時間:9:30~17:00
休館日:月曜、翌祝 ※冬季休苑(12/1~3/31)
料金:400円
見学所要時間:40分〜
訪問日:2020/7/24(金)

まんだら遊苑へのアクセス

富山駅から車で45分ほど。立山駅に向かう途中にあります。

最寄り駅の千垣駅からは約2kmとなかなかの距離。富山駅、または千垣駅から町営バスが出ていますが、本数が少ない上に日曜運休。車が無いとかなり訪問しにくい場所です。

立山まんだらを再現したスポット

立山曼荼羅というのは、立山信仰を描いた絵画のこと。そこには、立山に存在する地獄や、山頂に広がる浄土が描かれています。

遥か昔より山岳信仰の対象として崇められていた立山。江戸時代に入るとより多くの人の信仰を集めるようになります。信者たちはこの立山曼荼羅を用いて、各地に信仰を伝えていました。

そんな信仰の世界を立体的に再現したテーマパークがこのまんだら遊苑。屋外に並ぶ展示作品や小さな展示室をめぐるウォークスルータイプのアトラクションです。

うめき声が鳴り響く『地界』

入口のゲートを抜けると、まずは地界からスタート。最初に目に入るのはこちらのコンクリート造りの建造物。

狭い入り口をかがんでくぐり抜けるとそこは、雷鳴のような轟音と響きわたる重低音、そしてうめき声が鳴り響く世界。まるで遊園地のアトラクションのような演出に胸が高まります。

ここは地底にあるといわれる地獄を再現した閻魔堂。真っ赤な照明で非常に刺激的な空間です。

お化け屋敷ではないので、突然脅かされたりはありませんが、圧迫感のある狭い通路は不安な気持ちにさせられます。

閻魔堂を抜けた先にあるのは餓鬼の針山。餓鬼が住むといわれている場所ですが、怖いというよりアーティスティックなセンスを感じます。

空中にせり出した精霊橋。地獄というよりは、眺めのよい爽快なスポット。ただし、足元はシースルーなので高所恐怖症の方には地獄かもしれません。

立山登拝の自然路『陽の道』

地獄を抜けると、草木に包まれた太鼓橋へとつながります。覆うように生える植物はきちんと手入れされており、まるで秘密の庭の入り口のようです。

橋を渡った先には、立山の自然が広がる陽の道。小川のせせらぎが美しいゾーンです。ここからは立山登山道の見どころを再現したモニュメントが続きます。

女人禁制だった時代に山に入った女性が姿を変えられてしまったという伝説の残る美女杉をイメージしたモニュメント。木材ではなく、不思議な形の鉄板が置かれています。

こちらも同じく掟を破った尼さんが姿を変えられてしまった姥石。実物は大きな石ですが、ここでは石垣の上に置かれた円形の鉄板で表しています。

 

芸術性が光る『天界』

仏教世界の中心にそびえるとされる須弥山がそびえる天界広場に到着。

先へ進むと、そこは7つの部屋が次々と現れる天界窟。それぞれの部屋には、7人のアーティストが天界をイメージして作り上げた作品が並んでいます。

一番印象的だったのは、こちらの「天衣の記憶 一滴の消息」。天井から人の形をした白いものがぶら下がっています。よく見ると、中身が空っぽなのも、常識を覆す不思議な世界観を見せてくれます。

天界窟を抜けた天界奏楽堂には、天の楽器が8種類並んでいます。こちらは手に取って自由に演奏することができるプレイスポット。

数ある楽器の中で、私が気になったのはこちらの「深弦音」巻き貝に張られているのはベースのフラット弦。しかも5弦です。鳴らしてみたのですが、フレットが無いため上手く音が出せず。

最後の部屋は、巨大な球体が置かれた天至界。天井ぎりぎりに詰め込まれた大きな天卵宮は、中に入ることもできます。静かな空間で心が一気に静まります。

『闇の道』を越えて日常世界へ

最後に現れるのは闇の道という名の真っ暗なトンネル。入口にある大きな足跡は仏足石でしょうか。

写真は明るくしておりますが、実際はかなりの暗さ。砂利が敷き詰められた足元の感覚を頼りに進みます。

地界・天界と長い旅を経た先にあるのは、なんとカモシカ園!!他にも合掌造りの休憩所や古民家が並ぶバラエティに富んだスペースとなっていました。


珍スポット界隈ではおなじみの「天国と地獄」というテーマの施設ですが、ここまでアーティスティックに仕上げているところは他にありません。

現代美術館とテーマパークの中間のような気持ちで楽しめる場所でした。

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