トイレとお風呂の神様に出会う!禅宗の古刹『瑞龍寺』(高岡市)

富山県

富山県を代表する曹洞宗の寺院。隅々まで手入れされた境内には国宝の伽藍が整然と並び、清々しい空間を作り上げています。トイレ、お風呂とユニークな神様も並びます。

拝観時間:9:00~(16:00)16:30
料金:500円
訪問日:2020/7/25(土)

瑞龍寺へのアクセス

高岡駅の南口から徒歩10分。北陸新幹線の停車駅である新高岡駅からも徒歩15分とアクセスしやすい位置にあります。

車の場合は高岡ICから10分、小杉ICから15分ほど。無料駐車場は周辺に多くあります。

瑞龍寺は曹洞宗の寺院であり、前田利長の菩提寺。総門へと続く八丁道には、前田利長像が。この道は瑞龍寺と前田利長墓所をつないでいます。

人体を現す伽藍配置

瑞龍寺の特徴の1つとして挙げられるのが伽藍配置。(伽藍=がらん ※仏教寺院の建造物)山門、仏殿、法堂が一直線。そして左右に回廊をめぐらして諸堂を対称的に配置しています。

これは、「禅宗七堂伽藍人体相関図」に由来しています。何か印を結んで結界を作っているのではと思っていたのですが、人の体に見立てているというのは想像もつきませんでした!こんなわかりやすい図が掲示してあったのですが、入り口である山門の人体におけるポジションがちょっと気になっていまいますね。

連続する国宝の伽藍

受付にて拝観料を支払い進むと、総門が見えてきます。三間造りの立派な門です。

総門をくぐると、広々とした開放的な空間が広がり、重厚な山門が見えてきます。高さ18mの2階建て楼門は、境内で最も高い建築物。1階部分では、真っ赤な金剛力士像が通る人に睨みをきかせています。

緑色の芝生と木のお堂のコントラストがキレイな仏殿。雑草などは全くなく、かなり丁寧に手入れがされている様子の芝生。よく見ると、うっすらとストライプ模様となっています。2色の芝生がるのかなと思ったのですが、どうやら芝刈り機の方向で芝の向きが変わりこのような模様になるそう。

仏殿の内部中央には本尊である釈迦如来像、その両サイドを文殊菩薩と普賢菩薩が固める。内装はほとんど全て塗装されていない木材で組み上げられています。仏様の後ろにゆらめく木目は神秘的。

なお、山門、仏殿、そしてこの後に紹介する法堂の3つの伽藍は、富山県唯一の国宝に指定されています。

127枚の天井画が並ぶ法堂

総門から見て最奥にあたる法堂は、銅板葺きでずっしりとした印象です。

天井には植物図のような絵がうっすらと残っています。シャクヤクやヒョウタンなど様々な種類の草花が描かれており、全部で127枚もあります。この絵は、江戸時代の狩野派の絵師・狩野安信によって描かれたものです。

この中で一枚だけ植物ではなく「唐獅子」が描かれているものがあるらしい。探してみたのですが、全然見つからず、首が限界を迎えました。

ふと辺りを見ると、すぐそばに見やすいミニチュアが置いてありました!しかも、鑑定した植物名の一覧も展示されています。

これと照らし合わせて唐獅子を探して見たところ、立ち入ることができない御位牌のところにありました。天井だけを眺めて見つけるのはとっても困難です。

境内散策で見つけたもの

吊るされた木の魚は「魚鼓(ぎょこ)」。叩いて食事の時を告げるためのもので、黄檗宗や曹洞宗など禅宗の寺院で見ることができます。お腹が抉れているのはきっと、長い間叩かれ続けてきた証です。

反対側には雲板。こちらも魚鼓と同じく時を知らせるためのものですが、青銅製です。

カラフルで大陸っぽいデザインの仏像。こちらは大権修理菩薩という中国の神様。右手を頭にかざした姿が印象的なこのお方は、海上安全を守っているとのことです。きっと辺りを見渡しているのではないでしょうか。

大きなおびんずる様。体の悪いところに触れてお祈りするとご利益があるため、通称「なで仏」とも呼ばれています。笑っているような穏やかな表情をしており、何だかすぐに治してくれそう。

トイレの神様発見!

東司跡に安置された変わったポージングの仏像は東司の守護神・烏枢沙摩明王(うすさま みょうおう)
東司というのは、今でいうトイレのこと。すなわち、この神様はトイレの神様にあたります。

法堂では、そんな烏枢沙摩明王の御守札もいただけます。トイレに貼って、常に清潔に保っていると家が繁栄するそう。

足元には小さな動物が。クマのようにもブタのようにも見えますが、こちらはイノシシだそう。

隣には当時の東司を再現した模型が。屋根が外れて中を覗くことができるのですが、全て個室でした。※瑞龍寺では東司のことを、七間浄頭と呼んでいます。

なお、一般の方でも利用できるトイレにも、しっかりと烏枢沙摩明王の像が安置されていました。

お風呂の神様も発見!

東司と対をなしている浴室跡には、守護神である跋陀婆羅菩薩(ばっだばら ぼさつ)像が。先程の東司の守護神がトイレの神様だったので、こちらはお風呂の神様にあたるのでしょう。手にもっているのはお湯をかき混ぜる櫂(かい)です。

ここにも1/50の模型が展示されています。お風呂といっても、造られた江戸時代には、まだお湯を張った入浴は普及しておりませんでした。そのため、湯船はなく蒸し風呂の部屋となっています。

東司(トイレ)、浴室どちらもお寺を形成する「七堂伽藍」として数えられている点からも、禅宗の思想は日常生活に深く根付くものなのだなと実感します。


さて、禅宗寺院については、数日後に書く予定の曹洞宗大本山・永平寺に続く予定です。

コメント

  1. […] […]

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