動物園に残る古墳群『加瀬台古墳群(夢見ヶ崎古墳群)』(川崎市)

神奈川県

加瀬台古墳群(夢見ヶ崎古墳群)は、動物園の園内やその周辺に点在する古墳群。市街地にある古墳群とのことですが、果たしてどれだけの古墳が残っているのでしょうか・・・?

訪問日:2025/2/12(火) ※掲載の写真・情報は訪問時のものです

川崎にある古墳群

JR湘南新宿ラインの「新川崎」駅や、JR南武線の「鹿島田」駅の西側にある標高30mほどの細長い台地。「加瀬台」「夢見ヶ崎」と呼ばれており、頂上部分は公園になっています。夢見ヶ崎動物公園という無料で見学できる動物園もあり、周辺に暮らす人々の憩いの場といった雰囲気。

そんな台地を中心に広がるのが加瀬台古墳群。1号墳〜9号墳、白山古墳、第六天古墳と全部で11の古墳が集まっているそう。今回は夢見ヶ崎動物公園に行った際に、あわせてめぐってみることにしました。

果たして、いくつの古墳が見れるでしょうか!?

こう書くと時間や体力の関係かと思われるかもしれませんが、そうではありません。古墳はいざ現地に行っても様々な理由で見られない可能性があるのです。

ということで、ここからは実際に現地で見た古墳を書いていきますね!番号順で記載した方が良いのですが、東から西へ配置順の方が都合が良いのでその順でいきます!

1号墳

1号墳があるのは、加瀬台の東端の入口あたり。地図によるとこの辺りなのですが・・・

全く面影がありません!!

かつて台地の東端にあったそうですが、現在は消滅してしまっているようです。まさかの1つめからエアー古墳に当たってしまいました。出鼻をくじかれてしまいましたが、市街地の古墳めぐりではよくあること。気を取り直して次へと向かいます!

2号墳

1号墳跡地のすぐそばにあるこちらが2号墳。土が盛り上がっており、なんとか古墳らしさは取れます。円墳とのことですが、丸さはあまり感じられません。

2号墳のそばには、高くそびえる慰霊塔。明治以降、幾多の戦争によってこの世を去った人々を慰めるために建立された塔です。

9号墳

慰霊塔のすぐ近くにあるのが9号墳。6世紀後半に築造された円墳であり、これぞ古墳といったたたずまいです。

階段があり、墳丘に登ることができるクライミング古墳。墳丘上には石祠が祀られていました。石室も確認されているそうですが、見学することはできず。

墳丘の近くには加瀬台古墳群の案内板とマップがあります。この加瀬台古墳群は、現地で得られる情報が非常に少ないです。そのため、この9号墳を古墳めぐりの序盤にするのがおすすめ。

この9号墳のそばには、カイヅカイブキという樹木でできたトンネルがあります。上部がしっかりつながって天井ができており、雰囲気抜群。どこか違う世界へ行ってしまいそうです。

3号墳

動物公園の入り口が見えてくるあたりで少し下ったところにあるのが3号墳。しっかりと案内板もあります。

案内にそって進むと、案内板と石室が見えてきます。7世紀後半に築造されたものであり、1951年の発掘調査では、木棺の釘や麻織物片・男性人骨片が出土したそう。

この3号墳は、加瀬台古墳群で唯一石室を覗くことができる古墳。土嚢で固められておりフェンスが設置されていますが、中を覗くときれいに加工された石積みを見ることができす。これは、仏教伝来とともに伝わった寺院建築の技術を取り入れたものであるそうです。

4号墳

了源寺の境内へ入り奥へ進むと見えてくるのが4号墳。5世紀前半に築造された円墳であり、状態よく墳丘のかたちを残しています。

寺院古墳らしく、墳丘には板碑や石塔が多数並んでいます。1910年に獣身鏡2面と鉄斧が出土したそうです。

5号墳

ここからは夢見ヶ崎動物公園の園内へ。といってもこの動物園は入園料が無料。入園ゲートなどもないため、公園の延長で気が付いたら動物園に入っていました。

5号墳があるのはラマ舎の近く。

全く面影がありません!!

こちらも消滅してしまっているようです。まさかのエアー古墳2つ目です。

6号墳

ホンシュウジカ舎の近く、階段を上ると富士浅間神社があります。安産祈願の神社として信仰されている神社です。

この神社が建つ小山が6号墳。墳丘上に神社が鎮座している神社古墳はよくあるパターン。

木々が茂っているため全貌がつかみづらいですが、たしかに墳丘の盛り上がりを感じることができます。常滑焼の壺などが出土したので、古墳ではなく中世の経塚とも考えられているそうです。

7号墳

6号墳の先へ進むと見えてくるのが天照皇大神。ここが7号墳であり、同じく神社古墳です。

かつて戦国武将の太田道灌が築城の地を探してこの加瀬台の丘陵に上り、この神社に参詣。その後見た夢に従い江戸城を築いたという伝説が残っているそう。「夢見ヶ崎」という地名はこのエピソードに由来しているとのことです。

8号墳

5世紀中頃に築造されたと考えられる8号墳は、1991年~1994年かけて行われた発掘調査で1辺24mの方墳であることがわかったそう。

方墳ということは四角形の古墳ですが、まったく見当たりません。

消滅しているわけではありませんが、現状はわずかな高まりが見られる程度とのことです。こういうちょっとだけ残っている古墳、なんて呼びましょうかね。

白山古墳

ナンバリングされた古墳以外にも、加瀬台古墳群に含まれているのが白山古墳。4世紀後半頃に築かれた大形前方後円墳で、その墳丘長は87m。川崎市内最大級の前方後円墳です。

しかし、残念ながら現在は消滅してしまっております。

北加瀬熊野台公園内、茂みの中にわずかながら案内板が立っていました。

実は9号墳や3号墳の近くの広場に、白山古墳の墳丘が柱を使って再現されており、その大きさを体感することができるようになっていました。

他にも「第六天古墳」という古墳もあったそうですが、こちらもまた消滅。11基ある古墳のうち、4つが消滅しており、市街地での古墳の保存の難しさを実感する古墳めぐりでした。

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