様々なウワサが流れる山城跡『笠間城跡』(笠間市)

茨城県

笠間市街地からほど近い佐白山(さしろさん)に存在していたお城。建築は残されていませんが、石垣や曲輪跡などの遺構を見ることができます。様々なウワサの広まっている井戸とトンネルは、茨城県を代表する心霊スポットとしても有名です。

2021/5/28(金)

笠間城のヒストリー

笠間城のルーツは、鎌倉時代に起こっていた寺院同士の争いの際に造営されたとされています。築城主は笠間時朝で、以後18代に渡りこの地を治めていました。

時は進み戦国時代、小田原征伐の際に笠間氏は宇都宮氏に逆らったため、攻め滅ぼされてしまいます。一時的に宇都宮氏が支配しますが、その後、蒲生氏の家老である蒲生郷成が入場。このときに石垣などが築かれ近世城郭の姿へ造り上げられたとされています。

関ヶ原の戦い以降は、松井松平家、小笠原氏、戸田松平家、永井氏、浅野氏、井上氏、本庄氏、井上氏と次々と城主が入れ替わっていきます。最終的には牧野氏が治めていたところで、明治維新の廃城令が発令。その歴史に幕を閉じることになりました。

現在は、笠間県立自然公園(城跡公園)として整備され、一般公開されています。

佐白山の山城

笠間城は、佐白山に築かれた山城。天守は山頂にあるため山を登る必要があります。といっても標高182mの低山なので、本格的な装備は不要、ハイキング感覚で登山可能です。

天守を目指すのにおすすめの駐車場は、こちらの千人溜駐車場。トイレなどはありませんが、広々としており、天守閣までも近いため利用しやすいです。

駐車場には簡単な解説とマップが掲示されています。山へ入ると道案内はほとんど無いため、写真に撮っておくのがおすすめ!等高線の地図は慣れていないと少し見づらいですが、それでも貴重な道標になります。私は観光マップを持っていなかったので、この地図が無かったら確実に迷っていました。

駐車場からのびる道は2つありますが、山に向かって左側に見える道へと進んでいきます。右はどこへ行くのか不明です。

歩きやすい登山道

現在は車両通行止めですが、もともと車道であったため、舗装されておりかなり歩きやすい。勾配も緩やかで、さくさくと進めます。

すぐに大手門跡に到着。といっても何か遺構が残っているわけではありません。石碑が立つのみですが、よく周囲を見渡すと木々に包まれた石垣の遺構を見ることができます。

案内の無いT字路にぶち当たります。二の丸、本丸と順を追って天守閣を目指す方は、右がおすすめ。

急いでいる方、残り体力が少なくなっている方は左の方が良いかもしれません。ここを左折するルートについては後ほど

しばらく登ると、一気に視界が開ける広場・本丸跡に到着。ここに来たらぐるりと左に曲がって、広場を抜けていきます。舗装路にそって進んで行くと、天守閣へ行けず序盤のポイントまでループしてしまうのでご注意を。

急な山頂への道

ここまではなだらかな道のりですが、本丸跡から天守台への道は少しだけ急な道へと変貌します。といっても距離はとても短いのであっという間。

高さ4mにも及ぶ大きな石垣が見えてきました!「土造り」が主流の関東で石垣の城郭は非常に珍しく、「茨城県では笠間城が唯一」と記載しているWebサイトも見かけました。ここで使用されている石は笠間産の御影石とのことで、この地が石の産地だったというのが大きな理由ではないでしょうか。

最後の石段を登れば、そこは天守台。ここまで駐車場から15分ほどでした。

天守台に建つ神社

天守閣はありませんが、佐志能神社が建てられています。この社殿は、かつての笠間城の廃材を用いて建てられているそうです。

ここからの景色はなかなか爽快。田んぼと民家が広がる田園風景が見渡せます。

城跡に建物は残っていませんが、本丸八幡台上にあった「八幡台櫓」は現存しており、真浄寺という寺院に移築保存されています。また、麓にあるかさま歴史交流館井筒屋では、再現模型や解説などの展示を見ることができるそう。登山前に訪問しておくと、より楽しめそうです。

さて、来た道を下って駐車場へ。さくっと進めば往復30分ほどのコースでした。

心霊スポットとしての佐白山

さてさて、佐白山といえば、茨城県では心霊スポットとして有名な場所。つくば育ちの私の耳にも、多数のウワサや実際に行って遭遇した不思議な現象の話がいくつも入ってきました。

特によく聞くのが、リングのモデルとなったといわれる「井戸」、そして心霊現象が多く発生するとされる「トンネル」。この2つはどこにあるのでしょうか?

井戸

登り始めてすぐ、大手門跡直後にT字路があったのですが、そこを右ではなくに進むとこの2つを見ることができます。

すぐ右手のヤブの中に、かつて井戸に設置されていた屋根があります。(井戸自体は、この屋根から少し離れた場所にあります。)

<井戸のウワサ>
・女性が投げ捨てられた事件があった
・のぞき込むと呪われる
・のぞくと女性の顔が映る
・井戸は4~7つあり、全て見つけると呪われる …etc

トンネル

さらに、道なりに進み右折するとすぐにトンネルが見えてきます。内部に照明は無いため昼間でも真っ暗。幸い直線のため出口が見えますが、なかなかゾクッとします。

訪れたのが午後5時ごろ、人の気配は全くないためかなり怖かったのですが、勇気を出して内部へ。入ってみるとそこまで嫌な感じはしません。むしろ、少し落ち着くような気もしました。

少し明るくしてみたところ、壁面には落書きがたっぷり。天井にまで及んでいますが、いずれも薄れています。

<トンネルのウワサ>
・武士の霊が出る
・親子の霊が出る
・車で来ると子供の手形がつく
・トンネルの中でクラクションを鳴らすとエンジンがかからなくなる
・エンジンを切ってクラクションを3回鳴らすと何かが起こる …etc
地図で見る限りですが、このトンネルを抜けた方が天守閣へは近道の可能性があります。もし勇気がある方は、こちらもおすすめ。(ネットを見る限りでは、トンネルルートで登っている方が多いような気もします)

真偽は如何に

様々なウワサが流れる場所ですが、その内容には非常にバラつきがあります。京都の深泥池の「タクシーに乗った女性の霊」のようにディティールが一致していると考察しやすいのですが、ここまでばらけていると、調べるのも難しいです。

唯一、事実と繋がりそうな井戸での遺棄事件ですが、調べてもそのソースに出会えません。「笠間の山中に遺棄した事件」はありましたが、被害者は女性ではありませんでした。

また、リングのモデルというのも公式の情報では無さそう。映画の原作となった小説は1991年6月発行ですが、もしモデルとなるとそれ以前の話になります。もしかして昭和以前に起こった事件だったりするのでしょうか。誰か詳しくご存じの方は教えてください!

ちょっと懐疑的な立場でいろいろ書いてしまいましたが、訪問した人の話はかなりリアル。夜中に行きたいとは思いませんが、ネットにアップされている体験談はかなり楽しめます。

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