街中に水源を多く持つ湧水の街・大野。そんな綺麗な水では、絶滅危惧種のイトヨが生息しています。池の中を覗くことができる観察窓では、自然界に暮らすイトヨの姿を見ることができます。
休館日:月曜
料金:300円
街中にあるイトヨの里
イトヨの里は、JR越前大野駅から徒歩で20分ほど。無料の駐車場も完備しています。福井県大野市中心部の街中にあり、周辺には越前大野城や名物・醤油カツ丼のお店などが軒を連ねています。
水のまち大野市
名水の町として知られている大野市。水の郷百選にも選ばれており、街中に多くの湧水地があります。「お馬屋池」や「ふくべ清水」などそれぞれ名前が付いており、観光名所にもなっています。
そのうちの1つ「本願清水(ほんがんしょうず)」の水でイトヨを育てているのが、このイトヨの里。清らかな水の上に浮かぶように建っている、小さな自然博物館です。
この本願清水で育つイトヨは、「本願清水イトヨ生息地」として、国の天然記念物にも指定されています。
巣作りする魚・イトヨ
イトヨの生息数は現状傾向にあり、絶滅危惧種にも指定されています。
基本は海で暮らしており産卵のときに遡上する「海産型」と、一生を淡水で過ごす「淡水型」の2種類がいます。特に淡水型は生息域が減少しており、現在ではここ福井県の他には、北海道、青森県、岩手県、福島県、栃木県とわずかしかありません。
そんなイトヨの最大の特徴といえば巣作り。
産卵期を迎えると、メスに卵を産んでもらうための巣作りをはじめるイトヨのオス。水草や藻をくわえて運び、体から出る粘液をこすりつけて固定させていきます。
巣ができあがると、最後に頭から突っ込んでトンネルを作ります。このトンネルはメスが入って卵を生むための場所となるのです。
映像で見るユニークな生態
館内のレクチャールームでは、イトヨの生態に関する映像コンテンツを上映しています。子供向けのやさしい作品ですが、その内容は大人が見ても楽しめます!
イトヨの巣作りの様子を映像で見ることができるのですが、特に面白いのが失敗例。
巣の作り途中に大きなメスが突っ込んで全て壊してしまい、オスが必死に「ちょ、待て!」みたいな感じでそれを止めていたり、巣にトンネルを上手く開けておらずメスが入れず詰まってしまったりとドタバタ劇を見せてくれます。
例え巣作りが成功しても、ザリガニなど別の生き物に邪魔されることもあります。でも、一番厄介なのは、なんとイトヨのメス。
産卵期のメスは食欲旺盛で巣のタマゴを食べてしまうそう。さらに、メスは集団で巣を襲うらしい。本来メスにタマゴを産んでもらうための巣を、メスの襲撃から守るオス・・・。もう何がなんだかわかりません。なお、オスは襲撃してくるメスに嘘の巣を教えて欺くという策士っぷりも発揮します。
リアルな水中を覗く観察室
建物の目の前に広がる本願清水が溜まる池では、実際にイトヨが生息しています。館内にあるガラス窓からは、その池の水中の様子を覗くことができます。
森のように茂る藻の中にはたくさんのイトヨの姿が。好奇心旺盛でゆっくり動くイトヨたちは見ていて全く飽きがきません。
もしかして、繁殖期に訪問したら、巣作りの様子やメスとの攻防をリアルで見ることができるのかもしれません。
マンホールもイトヨ
日本各地を旅行していると、時折目に入るマンホール。その地域の歴史や名産などが描かれており、ご当地感あふれるデザインが数多く作られています。
この大野市のマンホールはイトヨがデザインされています。豊かな水を表す水玉模様と、オスとメスがそろったイトヨがかわいらしいです。
そして、そんなご当地マンホールが描かれているのがマンホールカード。GKP(下水道広報プラットホーム)により発行されており、その種類は600以上にも及びます。各地域の市役所や観光案内所など特定の場所で無料配布されており、旅の記念にもぴったり。
この大野市のマンホールカードは、ここイトヨの里にてもらうことができます。せっかくなので訪問記念に1枚もらいました!
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