世界最古の木造建築を有する古刹『法隆寺』は謎だらけ!(斑鳩町)

奈良県

世界最古の木造建築である五重塔や金堂を有する、聖徳太子と縁のある寺院。七不思議があったり、再建・非再建論争がおこったりと、約1400年というとんでもなく長い歴史の中で様々なミステリーが生まれてきました。

訪問日:2017/4/15(土) ※掲載内容および写真は訪問時のものです

3つに分かれた拝観エリア

「法隆寺地域の仏教建造物」として世界遺産に指定されている法隆寺。7世紀に推古天皇および聖徳太子によって建立されたと伝えられており、その歴史は1400年にも及びます。

そんな法隆寺ですが、拝観エリアは3つに別れています。

①西院伽藍
世界最古の木造建築である五重塔や金堂が並ぶエリア
②大宝蔵院
平成10年にできた様々な宝物が展示されたミュージアム
③東院伽藍
斑鳩宮跡地に創建された八角形の夢殿などが並ぶエリア

と、このように分かれていますが、料金は3エリア共通で1,500円のみ。個別での販売は基本的には行っていないため、特に事前にどこを見たいかなどの計画は立てなくても大丈夫!

ちなみに全部まわると60~90分くらいかかるのでペース配分にはご注意ください。

※伽藍(がらん)=お寺の建造物のこと。山門やお堂、五重塔などを総称してこのように呼びます。

歴史が深すぎる建築群

中門をくぐり西院伽藍へと進むと、まず目に入るのは五重塔。高さ32.5m、最古の五重塔です。写真ではわかりにくいのですが、最下層である初層の軸部分は、最上層の倍に造られているため、どっしりとした安定感を生んでいます。

五重塔のとなりにあるのは金堂。一見すると普通のお堂に見えますが、こちらも上層に比べて下層の幅がかなり広く作られています。下層では「裳階(もこし)」と呼ばれる飾り屋根もついていおり、五重塔と同様に非常に安定感がある造りとなっています。

この五重塔と金堂、さらにそれを取り囲む廻廊と中門は世界最古の木造建築であるそう。

こちらは東院伽藍の夢殿(ゆめどの)。聖徳太子を供養するために建てられた八角形のお堂です。西院伽藍よりは後に造られているため、世界最古ではありませんが、それでも739年頃に造られているため非常に長い歴史を持っています。

細部まで目が離せない彫刻

五重塔をじっくり眺めていると、屋根を支えている御方を見つけました。

こちらは邪鬼。1300年以上もの長い期間、屋根を支え続けているとは、なんてがんばり屋さんなのでしょう・・・!そんなことを思っていると、となりでは手放しで余裕状態の邪鬼も。しかも、なんか笑顔に見えます。

金堂も五重塔と同じく、よく見ると様々な彫刻が施されています。四本の柱には、昇り龍と下り龍がそれぞれ巻き付いています。

また、こちらにも屋根を支える邪鬼が・・・あれ、もしかしてゾウでしょうかね?

これ以外にもたくさんの動物たちが暮らしてます。あちこちに隠れた動物探しをしてみるのも、法隆寺の楽しみ方の一つです。

法隆寺の七不思議

五重塔の最上部にそびえる相輪をよく見ると、カマがかかっています。

なぜこんなところにカマがあるのか・・・その理由は諸説ありますが、雷の魔物が塔につかないようにするためといわれています。そして、法隆寺七不思議の1つとして数えられています。他にどんなもあのがあるのでしょうか・・・?

■法隆寺七不思議
①五重塔に謎の鎌がかけられている
②水害がおきても南大門の前に置かれた鯛石までしか水が来ない
③地中に伏蔵があり、誰も開いたことがない
④夢殿の礼盤の下が汗をかいている
⑤雨だれの穴が開かない
⑥蜘蛛が巣をはらない
⑦境内にある因可池に棲むカエルは片目が無い
※順不同

純粋に不思議なものから、言い伝えのようなものまで、ちょっとバラつきがあるように感じます。

③については実際に伏蔵は存在しており、その場所は注連縄で囲われています。いったい何が保管されているのか、ロマンを感じますね・・・!

ちなみに、この七不思議、七つ以上あるという説もあります・・・!謎に謎を重ねてくるとは、一筋縄ではいきませんね。

本当に世界最古?

法隆寺を語る上で必ず出てくるのが「世界最古の木造建築」というキャッチフレーズ。私も遠慮なく使わせてもらっていますが、ちょっと気になるのは旅行誌や観光サイトを見てもいつ造られたのか具体的な年が書かれていないのです。最古とうたうのに、正確な年が出ていないのは、ちょっぴり違和感。

法隆寺の創建は推古15年(607年)なのですが、「日本書紀」によると、天智9年(670年)に五重塔や金堂は一度消失したと書かれているそう。この記載が正しいかどうか、明治20年(1887年)に再建・非再建論争が巻き起こったそうです。

現在のところ、焼失して再建された説が正しいとされたようで、現在の西院伽藍は670~693年頃に造られたものとなっています。具体的な年が記載されていない理由は、7世紀ということまではわかっていても正確な年数がはっきりしていないため、ということのようです。

ちなみに、再建・非再建どちらにしても、世界最古であることは揺るぎません。法隆寺、凄すぎます!

おまけの法隆寺グルメ

観光地らしく、周辺にはおみやげ屋さんや食事処がそろっています。今回は駐車場を利用した松本屋にて遅めの朝食をとりました。

名物の柿ざるうどん。柿が練り込んであるオレンジのうどんに緑色の麺が乗っており、柿らしいカラーリングのメニューです。気になるお味ですが、コシがあってとっても美味しいうどん。かすかにフルーティーさも感じることができます。

竜田揚げ定食も名物とのこと。この斑鳩町には竜田川という川が流れており、竜田揚げの語源の1つともいわれているのです。

法隆寺は駐車場がないので近隣の有料駐車場(1回500円程度)を利用しますが、こちらの松本屋をはじめ、いくつかのお店は駐車場を備えており、利用者は無料で駐車することができます。

観光地でよく見るパターンですが、何か買うのを強要されたりする雰囲気は皆無。価格問わず、何か1つでも買ったら無料だよ、と元気で優しいおばちゃんが案内してくれました。

ここはおみやげ+食事処併設、ソフトクリームなどの軽食もあり商品のバリエーションがとっても豊富。「何買って良いかわからない・・・」なんてことにはならず、とても利用しやすかったです!

アクセスと営業情報

JR法隆寺駅より徒歩約20分。「法隆寺参道」行きのバスに乗れば、約8分ほどでもアクセスできます。

車の場合は近鉄奈良駅・JR奈良駅から30分ほど。駐車場は有料で1回500円でした。

開門時間 8:00~17:00 ※季節によって変動あり
拝観料金 1,500円
公式サイト http://www.horyuji.or.jp/

※掲載の情報は2022年3月時点のものです。最新情報は公式HPにてご確認ください。

 

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