古都を照らすサンセット『東大寺二月堂』(奈良市)

奈良県

「修二会(お水取り)」の舞台として知られる東大寺・二月堂は、奈良の街並みを見渡す展望スポットとしても知られています。夜間でも常に開放されていますので、夕日を見たり夜に散歩したりと時間を気にせず自由に楽しむことができます。

訪問日:2017/4/14(金) ※掲載内容および写真は訪問時のものです

大仏殿のさらに奥へ

広大な境内を持つ東大寺。「奈良の大仏」で有名な大仏殿以外にも、法華堂や戒壇堂など多くの伽藍が奈良公園周辺に立ち並んでいます。

そんな中でもおすすめなのが、今回ご紹介する二月堂。大仏殿から少し奥へ進み、行く手を阻むシカの間を抜けていきます。

すぐに見えてくるこちらの建物が二月堂。斜面に柱を組んで舞台をつくる「懸造り(かけづくり)」という建築様式が印象的なお堂です。

お堂まではゆるやかな石段を登って行くのですが、よく見ると文様が刻まれています。唐草、亀甲、青海波など、一段ずつ違ったデザインとなっているので、目で追って行くととっても楽しい。メジャーな文様も多いので、きっと見たことある柄に出会えるのではないでしょうか?

夕陽見るなら二月堂

舞台の周りを取り囲むように設置された釣灯籠(つりどうろう)は、日が暮れるとうっすらと光を放ちます。

お堂の舞台からは、奈良の街並みを一望できます。山に登ったわけではないのに、これだけの景色が気軽に見れるのはすごいです!さらに、西向きに造られているため、夕陽スポットとしても人気。古都に沈む夕陽を眺めて「1300年前の人も同じ景色を眺めていたかのかなぁ」といった様な古代ロマンに浸るにはもってこいの場所です。

日が沈んであたりが暗くなってきても、ぱらぱらと訪れる人の姿が。こちらの二月堂は、なんと24時間無料開放。

奈良の寺院や観光スポットは、ほとんどが17:00には閉門してしまいます。そんな中、夕方でも夜間でも自由に入れるスポットはとても貴重。1日の観光を終えたけど、夕御飯にはまだちょっと早い・・・そんなときに夕陽を見に行くのはとってもオススメ!

また、眺めを楽しめるスポットなので、「お寺をまわりすぎて仏教関連はお腹いっぱい」となってしまった方にもぴったりです。

誰も見ることのできない秘仏

この二月堂の本尊は、大観音(おおがんのん)・小観音(こがんのん)という大小2体の十一面観音像。秘仏となっているため、拝観することはできません。

日本各地の秘仏の中には、特定の年の特定日に一般公開されるものも多くあります。しかし、こちらは写真すらも公開されていない絶対の秘仏。お寺のお坊さんですら見ることができないそう。

十一面観音像が納められている厨子(ずし)には扉が無いので、そもそも開帳することができないようになっているみたいです。

これはとっても気になります。いわゆる仏とは全く違う形をしているとか、実は仏像そのものが無いとか、そんな妄想が膨らみます。

しかし、中世以前はここまで厳重な秘仏だったわけではないようで、見た人が描いた絵も残されています。そのため、とんでも妄想はハズレみたいです。でも、急に秘仏色が強まった背景には何かあったのでしょうか。公開される日は来るのでしょうか。

気になる名前の由来

ちょっとだけ気になるのは二月堂の名前の由来。2月に何か縁があるのでしょうか。

東大寺が執り行う行事の一つに修二会(しゅにえ)、通称「お水取り」というものがあります。その舞台となるのがこの二月堂。この修二会が行われるのが、旧暦の2月1日~2月14日。二月に修する法会であるためその名が付いたと言われており、その舞台となるこのお堂も二月堂という名前になったそうです。

新暦となった現代、修二会は毎年3月1日~3月14日の14日間に開催されています。752年より続くこの行事は、2022年でなんと1271回目を迎えます。江戸時代に火災でお堂が焼失しても、太平洋戦争の戦時下においても、またコロナ禍においてはニコニコ動画による生放送も活用して途切れることなく続けられてきました。この先も、未来永劫続けられていくのでしょう。例え建築というカタチが無くなっても「東大寺」という言葉がある限り。

アクセスと営業情報

JR奈良駅より徒歩40分、近鉄奈良駅より徒歩25分ほど。東大寺の大仏殿からは5分ほどなので、合わせての訪問がおすすめです。

開館時間 参拝自由
料金 無料
公式サイト http://www.todaiji.or.jp/index.html

※掲載の情報は2022年3月時点のものです。最新情報は公式HPにてご確認ください。

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