曹洞宗大本山!整然たる佇まいが美しい『永平寺』(永平寺町)

福井県

曹洞宗の大本山となる巨刹。たくさんの修行僧によって隅々まで磨かれた境内は、重厚な七堂伽藍、圧巻の絵天井の間など見どころも豊富です。全て屋内での見学となるため、雨天時の訪問もおすすめです。

営業時間:10:00~15:00
料金:500円
見学所要時間:40~60分ほど
訪問日:2020/7/26(日)

アクセスと駐車場

JR福井駅の東口からえちぜん鉄道・勝山永平寺線に乗り換え約25分の永平寺口駅下車。そこから京福バスに乗り換え13分ほどのバス停《永平寺》で下車後、徒歩5分ほどで到着です。

車の場合は中部縦貫自動車道・永平寺参道ICから約5km。お寺の駐車場は無いため、周辺のコインパーキングや、積極的な呼び込みを行うお土産屋さんの駐車場を利用します。

どこも1回300円で、距離もそれほど差が無いため勢いで入ってしまうのが良さそう。駐車場を決めかねて一番奥まで行ってしまっても、旋回場があるためスムーズに戻ることができます。

曹洞宗の大本山

この永平寺は曹洞宗の大本山。参拝の前に、曹洞宗という宗派についてちょっとだけまとめてみました。

はじまりは鎌倉時代

日本における曹洞宗は、宋より帰国した道元禅師により開かれました。法然の浄土宗や日蓮の日蓮宗とともに、鎌倉仏教の6宗の1つに数えられています。

ひたすら坐禅「只管打坐」

曹洞宗は、禅宗に分類される宗派。坐禅を行うことによって悟りをめざします。同じく禅宗である臨済宗と曹洞宗の大きな違いは、前者は公案について考え抜く禅問答を行うのに対し、後者はただひたすらに坐禅を行う只管打坐(しかんたざ)を修行のスタイルとしているところです。

最初は曹洞宗ではなかった?

一般的に「曹洞宗の宗祖は道元」と覚えられていますが、実際のところ道元は「曹洞宗」とは名乗っていません。それどころか、自らの教えを「正伝の仏法」とし、宗派という考えを否定していまた。その後、第4祖である瑩山の代にて曹洞宗という名を用いるようになったそう。

永平寺見学のポイント

そんな大本山・永平寺は、他の寺院とは拝観の仕方が少し異なっております。実際に参拝してみて感じた特徴をまとめてみました。

靴を脱ぐ見学スタイル

まずは受付のある吉祥閣へ。入口で料金を支払ったあとは靴は脱いで堂内へと入ります。なお、靴はビニール袋に入れてずっと持ち歩くことになりますので、サンダルなどの軽い靴だととっても楽です。

最初にわかりやすいガイドあり

受付を済ませたあとは、任意で僧侶による建物の説明を受けることができます。5分ほどのさらっとした説明ですが、ここでお話を聞いておくと、その後の見学がより楽しめるのでおすすめです。

完全屋内型の寺院

永平寺は傘松閣、七堂伽藍など、全ての建物が通路で繋がっているのが特徴。通常、お寺というと、お堂をめぐるたびに靴を脱いだり履いたり繰り返すことになりますが、ここではその必要はありません。また、雨が降っても全く問題ないのも、この永平寺の特徴です。

アップダウン多め

斜面に合わせて立体的に伽藍が並ぶため、境内には階段がとても多い。上り下りで少々疲れますが、整然とした通路はとっても写真映えします。

たくさんの修行僧

境内を歩いていると、黒い法衣をまとった若いお坊さんをたくさん見かけます。
彼らは雲水(うんすい)と呼ばれる修行僧。境内で修行に励む様子を見ることができるのも、この永平寺ならではのポイントです。もちろん、お坊さんにカメラを向けるのはNGです!

隅々まで掃除が行き届いており清々しい境内は、きっとお坊さんたちが日々清掃を行っているからなのでしょう。

圧巻の絵天井の間

永平寺の境内を進むと、最初にたどり着くのは傘松閣(さんしょうかく)。ここには天井に絵画がびっしり並ぶ絵天井の間があります。144名の画家によって描かれた絵画が230枚張り巡らせれており壮観です。

ほぼ全てが花や鳥を描いた花鳥図。でもその中に、鯉2枚・唐獅子2枚・リス1枚と花鳥図ではないものが5枚混ざっています。

鯉と唐獅子は目立つので見つけやすいですがリスはかなり難易度が高かったです!集中してずっと上を向いていたため、首が限界を迎えました。

清らかな伽藍をめぐる

境内は、七堂伽藍をはじめとした様々な伽藍を自由に見学することができます。今回はその一部、一直線に並んだ山門・中雀門・仏殿・法堂をご紹介。

山門

伽藍めぐりのスタートは山門から。1749年に造営されており、永平寺最古の建造物。通常お寺の山門は正面からくぐり抜けますが、ここでは横に通り抜けます。

修行僧たちもここをくぐるのは、最初に修行をはじめるときと、修行を終えて出るときの2回だけとのこと。かなり特別な門なのです。

中雀門

山門から見える中雀門(ちゅうじゃくもん)。山門と仏殿の間にある小さな門です。小ぶりなため、他の建築の影に隠れがちですが、石垣の上にたたずむ様子はとっても美しい。夏場だったので、青モミジが茂っています。

仏殿

続いて現れるのは仏殿。外から見ると屋根が2層になっているため2階建てに見えますが、これは裳階(もこし)という飾り。実際は一階建ての建築です。

過去・現在・未来の三世如来像を安置する堂内。お経がよく響くように、天井の高い吹き抜け空間となっています。張り巡らされた木彫りの彫刻は、繊細でありながらも力強い。

法堂

山門から進んで、最も奥にあるのが法堂(はっとう)。いわゆる本堂にあたる伽藍で、永平寺で最も大きい建築です。

420畳にもおよぶ広い空間では、若いお坊さんが数人が儀式の練習を行っていました。お互いの動きを確認しながら合わせており、まるで立ち稽古のようです。こんな光景を見られるのも永平寺ならでは。

法堂から振り返ると、斜面に並ぶ瓦屋根と、遠くの山々が見渡せます。永平寺は山の斜面に沿って伽藍が配置されていますが、この法堂があるのは最も高い位置。とても眺めがよく、吹き抜ける風が心地よいです。

境内で見つけたもの

承陽殿の近くにある格子戸の中を覗くと、そこには湧き水が。こちらは霊水「白山水」。白山連峰より湧き出ているそうです。

長さ4mにも及ぶ巨大なすりこぎ棒。こんな大きな道具、いったい何に使うのでしょうか?知恩院の大杓子のような怪力僧の伝説が残っているでは・・・そう思ったのですが、地ならしに使用した棒を棄てるのが惜しく、すりこぎ棒に加工したとの逸話があるそう。なお、この棒を撫でると女性は料理が上手くなり、男性はゴマすりが上手くなって出世するそうです。男女の差が著しいです。

吊るされた青銅のプレートは雲板。叩いて音をだすならしもので、起床や食事の合図、坐禅を終えるタイミングなど、様々なシーンで活用されています。同じく時を知らせるために叩く木でできた魚「魚鼓」もあるのですが、うっかり見逃してしまいました。

実際に触ることができる仏像・ふれあい観音も安置されています。あれ、このコンセプトはどこかで見たことがあるような・・・。あ!京都嵯峨野の愛宕念仏寺で見た仏様だ!よく見ると、愛宕念仏寺の住職である西村公朝という名が記されておりビンゴでした。

 

永平寺といえばソバ

参道周辺にはお蕎麦屋さんがたくさん。永平寺はソバが名物なのです。食事すると駐車料金が無料になるお店も多いので、食事をする予定の方は飲食店の駐車場に停めて永平寺へ参拝するのもおすすめです。

今回は一休というお店でおろしそばを食べました!歯ごたえのあるソバは噛みしめると風味が広がる。辛くない大根おろしと、ゆず風味の生七味が薬味として添えられております。

すりごま入りのつゆで食べる「永平寺そば」や、福井名物ソースカツ丼とセットになった「一休セット」など、ご当地感あふれるメニューも魅力的です。

おすすめされたゴマ豆腐。甘口の味噌だれがかかっていますが、さっぱりとしたお味でデザートにぴったり。

かつて永平寺の修行僧たちがタンパク源として食べていた料理ですが、今ではソバと並ぶ名物の1つ。お店ごとに異なる味わいを楽しむことができます。

お腹もいっぱいになったので、次のスポット「一乗谷朝倉氏遺跡」へと向かいます!

コメント

  1. […] 巨大な擂粉木(すりこぎ)。「身をすり減らしても人を救う」という意味が込められているそう。曹洞宗の大本山・永平寺にも巨大な擂粉木がありましたが、あちらは「地ならしに使用した棒を棄てるのが惜しく、擂粉木棒として加工した」といった由来だった気がします。似通った物でも由来が異なっているのが面白いです。 […]

  2. […] […]

%d人のブロガーが「いいね」をつけました。
タイトルとURLをコピーしました