洋館、和館、撞球館という3つの建築を楽しむことができる庭園。豪華な内装や、細部までこだわりぬいた装飾など、内部は見ごたえたっぷり。冷暖房がないので、暑い日や寒い日を避けての訪問がおすすめです!
3つの建築が残る庭園
岩崎家といえば、三菱財閥を創設した名家。旧岩崎邸庭園は、明治29年(1896年)に岩崎彌太郎の長男、三菱3代目社長の久彌の本邸として造られました。
太平洋戦争後GHQに接収され、返還後は昭和28年(1953年)に国有財産になり最高裁判所司法研修所等で使用されます。昭和36年(1961年)に洋館と撞球室が、「旧岩崎家住宅」として、国の重要文化財に指定されました。
こちらの建物が受付棟。1階が受付、3階には自販機とイスの休憩所もあります。冷暖房完備しており、とっても快適です。
受付からは馬車道を登っていきます。木々が生い茂るスロープは、ゆるやかで心地よい道のり。
なお、庭園とはつきますが、回遊式日本庭園ではなく芝生広場のような雰囲気の庭園。見どころはあまりないので、「洋館」「和館」「撞球室」の3つの建物が見学のメインスポットとなります。
重厚なたたずまいの洋館
馬車道を登った先に見えてくるのが洋館。「鹿鳴館」や「ニコライ堂」の建築家として知られる英国人建築家ジョサイア・コンドルの設計で、近代日本住宅を代表する西洋木造建築です。
内部も見学可能ですが、靴を脱いでバッグに入れて持ち歩くスタイル。素足の人は無料のレンタル靴下の着用が必要となります。
天井刺繍が美しい洋館婦人客室、支柱のない構造の大階段、金唐革紙の壁紙が豪華な客室、竣工当時のままだという水洗式トイレなど、様々な見どころが解説付きで続いて行きます。岩崎家やコンドル、岩崎家の家庭教師として迎えていた津田梅子などの人物紹介パネルも。
残念ながら館内は撮影禁止でした。そして冷暖房設備がないため夏場はめっちゃ暑い!!ところどころ扇風機は置かれていますが、温暖化の進む日本の夏には力不足感が否めず、汗がとまりませんでした。
カフェスペースをそなえた和館
明治29年(1896年)に洋館とともに完成したのが和館。洋館とは異なり、棧瓦葺の純和風建築です。洋館とつながっており、靴を脱いだまま洋館から和館へと順路が続いていくルートとなっています。
洋館がゲストハウスであったのに対して、和館は岩崎家の日常生活の間。居室および使用人の部屋などが計14室設けられていたそう。菱紋をモチーフにした障子の組子や菱のデザインの錺(かざり)金具、「富士山に波」の壁絵など、洋館とは異なり和風な内装を見ることができます。
また、和室の一部屋が御茶席になっており、和菓子と抹茶、小岩井農場のチーズケーキなどが。また、併設のショップでは小岩井農場のミルバタクッキーや、厳選素材カレー、ブルーベリージャムなども販売しています。
なぜ小岩井農場推しなのか、それは岩崎家が農場の創設に大きく関わっているからです。鉄道庁長官の小野義真、三菱財閥2代目総帥の岩崎彌之助、工部省の官僚である井上勝の3人が創設者であり、それぞれの頭文字をとって「小岩井農場」と名付けられたのです。小岩井さん家の農場じゃないの、知ってましたか?
地下通路でつながる撞球室
和館を抜けると、建物の出口。ここで靴をはいて庭園へと進みます。順路を進んで行くと見えてくるのが3つ目の建築、撞球室。明治30年(1897年)以降に完成した建築で、洋館と同じくコンドル設計の木造建築。天井の構造などに、「スイスコッテージスタイル」と呼ばれる、スイスの山小屋のような特徴が見られるそう。
「撞球」というのはビリヤードのこと。当時ビリヤードは紳士の嗜みであり、コンドル設計の「鹿鳴館」や「旧古河庭園洋館」にも撞球室が見られるそう。ただし別棟として独立しているのはけっこうレアとのこと。
この撞球室、洋館と地下通路でつながっています。通路部分を見ることはできませんが、明かり取りであるガラスの窓は見ることができます。この下に通路があるのですね。
というわけで、「洋館」「和館」「撞球室」の3つの建築の見学を終えたところで、次は「国立近現代建築資料館」へと向かいます!別の施設ですが、実質おなじ敷地内にある資料館で、土日は旧岩崎邸庭園を通らないと入ることができません。企画展の期間のみオープンしているので、旧岩崎邸庭園に向かう際はこちらのスケジュールも確認してから向かうと、セットでめぐれてお得な気分になれます!
アクセスと営業情報
東京メトロ千代田線「湯島駅」1番出口より徒歩3分。
開館時間 | 9:00~17:00 |
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休館日 | 年末年始 |
料金 | 400円 |
公式サイト | https://www.tokyo-park.or.jp/park/kyu-iwasaki-tei/index.html |
※掲載の情報は2025年8月時点のものです。最新情報は公式HPにてご確認ください。
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