ユニークな石碑と限定公開の聖天島『不忍池辯天堂』(上野駅)

東京都(23区)

上野公園に広がる不忍池に浮かぶように建っています。8本腕の弁財天を祀るお堂の周りには、めがね塚やフグ供養碑などユニークな石碑が並びます。ディープにここを味わうには月に2~3回ある巳の日がおすすめです。

※正式には「辯天堂」ですが、記事内では弁天堂と表記してます。

開門時間:9:00~17:00
拝観料:無料
訪問日:2020/6/19(金)

弁天堂へのアクセス

不忍池弁天堂は、上野公園内にある不忍池に浮かんでいます。JR線の上野駅や、大江戸線の上野御徒町駅から徒歩5分ほど。京成線の上野駅からは2分ほどでアクセスできます。上野動物園の弁天門からもすぐ近くなので、セットでの訪問もおすすめです。

不忍池に浮かぶ弁天堂の姿が見えてきました。あまりにもハスだらけで水面はほぼ見えませんが、隙間を除くと大きなコイが悠々と泳いでいました。

この弁天池、弁天島を中心とした3つの陸路が延びており、それにより3つに区切られています。ボート乗り場である「ボート池」、蓮だらけの「蓮池」、動物園内で鵜が暮らす「鵜の池」と、それぞれ特徴や利用法が異なります。自然の池をこのように分割利用しているのは凄くレアなのではないでしょうか。

池に浮かぶ八角形のお堂

この不忍池弁天堂は、清水観音堂や上野大仏と同じく、寛永寺という天台宗寺院の諸堂の1つです。総本山である比叡山延暦寺を模して造られており、この弁天堂は琵琶湖に浮かぶ竹生島の宝厳寺を模しています。

江戸時代に造られたお堂ですが、東京大空襲により焼失。現在はコンクリートにて再建されています。八角形のお堂は、不忍池のどこからでも参拝できるようにとの意味が込められているらしいです。

8本の腕を持つ弁財天

祀っているのは、その名の通り辯才天(弁財天)。弁財天といえば琵琶を手にした美しい姿で描かれることが多いですが、ここで祀る弁財天は八臂辯才天(はっぴべんざいてん)。8本の腕を持ち、それぞれ仏具を携えた力強い姿をしています。

この弁財天は「谷中七福神」の1つにも数えられています。江戸には多くの七福神が存在していますが、その中でも谷中七福神は最古にあたるそう。

さらに、弁財天は宇賀神という蛇の体に人の顔がついた神様とも合体したと考えられています。

石碑がたくさん

境内には様々な石碑が並んでいます。その多くは、感謝や供養のために作られた。よく見てみると、かなりユニークなデザインをしているものもあるため、巡ってみるとかなり楽しめます。

スッポン感謝之塔

一見普通の石碑ですが、よく見るとスッポンの形に彫ってあります。料理としても、滋養にも利用されてきたスッポンに感謝を込めて建てられた石碑です。

琵琶の碑

芸能の神様と呼ばれる弁財天は、琵琶を持った姿で描かれることも多いです。よく見ると、ワイヤーの弦も張ってあります。

包丁塚

上豊調理師会により建立された、包丁を納める塚。刀が武士の魂といわれるように、包丁もまた料理人の魂。役目を終えたら供養したくなる気持ちは想像に難くないです。

ふぐ供養碑

そのまんまのフグがインパクト抜群。東京ふぐ料理連盟によるもの。京都の霊山観音にもふぐ供養碑がありましたが、魚の中では特別な位置づけなのでしょうか。少しふぐ塚について調べてみると、ふぐの毒で命を落とす人が無くなるようにとの願いも込められているそうです。

暦塚

全国カレンダー出版協同組合連合会等によって建立。影で時間がわかる日時計になっています。他の碑は感謝とか供養とか解るのですが、暦ってなんか感謝しづらい・・・そう思ったのですが、どうやら業界の繁栄に尽くした故人を忍んでいるようです。

めがね之碑

誰が見てもメガネにしか見えないストレートな見た目の石碑。東京の眼鏡業界の組合によって建立されたものです。なお、この碑にデザインされているメガネは、徳川家康が所持していたものらしいです。(そのメガネの実物は久能山東照宮に祀られているそうです)

巳の日限定の『聖天島』

弁天堂の裏手には、謎の小島があります。コチラは聖天島。聖天(しょうてん)様の祠を祀る島なのですが、なんと月に3回しか開放していないのです・・!

その開放日は、曜日ではなく「巳の日」。スマホのカレンダーには載ってないことが多いかと思いますが、検索すればすぐに出てきます。

弁財天は、先述の通り蛇の姿をした宇賀神と同一とされているため、ヘビの日である巳の日が縁日なのです。毎月、初巳の日には法要が行われています。

とても小さな島ですが、石碑や石像がいくつも置かれています。こちらの頭が落ちてしまっている石像は、青面金剛のようです。ということは、庚申信仰によって建てられた庚申塚ではないでしょうか。

木々に隠れるように置かれた石像。なめらかなシルエットは、男根にしか見えません。

この聖天島の周囲には、一段下がった部分を歩道が取り囲んでいます。ここを歩けば、島をぐるっと一周可能。

先ほどの男根を外側から見ると、人の姿をしておりました。こちらの人物は、おそらく修験道(山岳信仰)の開祖・役小角。少し風化しておりますが、トレードマークの高下駄と錫杖がうっすらと確認できます。


お次はすぐ近くの五條天神社へと向かいます。都内でも最古といわれる歴史ある神社です。

コメント

  1. […] […]

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