幾重にも縛られたお地蔵様『縛られ地蔵尊(南蔵院)』(葛飾区・金町)

東京都(23区)

水元公園のすぐ傍に立つ南蔵院は、穏やかな空気の流れる寺院。その境内において異彩を放つのが、縄でぐるぐる巻きに縛られたお地蔵様。いったい何のためにこのような御姿になっているのでしょうか。

訪問日:2024/12/7(土) ※掲載の写真・情報は訪問時のものです

爽やかな風が吹く寺院

金町駅の北口から少し離れた場所に建つ業平山南蔵院。住宅街の中にあり、すぐ後ろには広大な水元公園が広がっています。

山門にはダルマが掲げられています。12/31に「結びだるま市」が開催されるそうなので、おそらくそれに向けてのものかと思います。

百人一首の「ちはやぶる〜」の歌でも知られる平安時代の歌人・在原業平が隅田川で舟遊びをした際、船が転覆して多くの人が命を落としました。業平はその人々を弔い、像を刻み村人に与え、法華経を写経して塚に納めたのが業平塚。その傍らに建立されたのがこの南蔵院。創建年は1348年と、約700年の歴史を持つ古刹です。

境内はきれいに清掃されており、清々しい空気。土曜日でしたが、参拝客もほとんどおらずとっても静かでした。

境内の見どころ

本堂のそばに建つ聖徳太子堂。聖徳太子を本尊として祀るお堂で、法隆寺の夢殿と同じく八角形の建築です。

大きな梵鐘は、誰でも100円で撞くことができます。比叡山延暦寺の開運の鐘の鐘霊を奉載して、開運の鐘と名付けられているそう。

横たわる牛の石像、この牛は乗っても良い牛。またがると出世のご利益があるため「出世牛」と呼ばれています。乗ってみたのですが、けっこう大きめなのでちょっと股がきつめです。

おなじみの水琴窟もあります。柄杓で瓦に水をかけると、その下に埋まる瓶に雫が落ち、澄んだ音色が響き渡ります。

縄で縛られたお地蔵様

さてさて、境内で異彩を放っているのがこちら。

この縄の塊は、なんとお地蔵様。ぐるぐる巻きで何重にも縛られており、「縛られ地蔵」と呼ばれています。

盗難除け、足止め、厄除け、縁結びなど、あらゆる願い事を聞いて下さる霊験あらたかな地蔵尊。参拝者はこのお地蔵様を縄で縛り、祈願するという参拝システム。これだけぐるぐる巻きということは、それはそれは多くの人の願いを受けたということですね。

もし願いが叶ったならば、縄解きをするのが習わしであるそうで、解いた縄を入れる桶も置かれていました。これって、自分が巻いた縄の識別は難しそう。どれか1本解けば良いのでしょうかね。

叶わぬ願いが重なったり、叶っても解きに来れなかったりするケースが続くと、永遠に縄が増えてしまうのでは・・・。この縄は、毎年12月31日の夜の縄解き供養にて外されるときき一安心。ということは、12月は縄のボリュームがMAX、逆に縄を解かれた姿を見るならば元日に行く必要がありそうです。

大岡裁きのエピソード

しばられ地蔵について調べると必ず出てくるのが、江戸時代の奉行である大岡越前守忠相による「大岡裁き」のエピソード。

昔、呉服屋がお地蔵様の前で居眠りをしているうちに反物を荷車ごと盗まれてしまいました。越前守は「地蔵が怪しい」と言い、お地蔵様を荒縄で縛り上げ、奉行所へと運んでいきました。すると、「地蔵相手にいったいどのようなお裁きがはじまるのか・・・」と、多数の見物人が一緒に奉行所内に入ってしまいます。越前守は、許しもなく入った見物人に罰として3日以内に反物を持参させることに。すると、その中に盗まれた反物があり、ここから犯人を検挙することに成功。さらにそこから江戸市中を荒らした大盗賊集団を一網打尽にしてしまいました。

越前守は地蔵尊の霊験に感謝し、立派なお堂を建立し盛大な縄解き供養を行いました。それ以来、お願いするときは縛り、願いが叶ったなら縄解きするという風習が生まれます。

なお、このお寺の絵馬は縛られ地蔵のデザイン!穏やかな顔のかわいらしい姿で描かれていました。

しばられ地蔵は文京区の林泉寺というお寺にもあります。詳しくはコチラの記事にて。
縄でグルグルに巻かれたお地蔵様の謎『しばられ地蔵尊』(文京区・茗荷谷)
茗荷谷にある林泉寺というお寺に安置されたお地蔵様は、縄で巻かれた姿をしております。異様とも思えるこの状態には、いったいどのような意味があるのでしょうか。

さらに品川区の願行寺というお寺にも縄で縛られているお地蔵様があるそう。こちらは未訪問なので、いつか訪ねてみようと思います!

アクセスと参拝情報

JR金町駅北口から徒歩約15分。

開門時間 9:00~16:00
料金 無料
公式サイト https://shibararejizo.or.jp/

※掲載の情報は2024年12月時点のものです。最新情報は公式HPにてご確認ください。

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