偕楽園のすぐ近くに立つ、県立の歴史ミュージアム。古代からはじまり、水戸藩の功績や戦時下の様子など様々な歴史を知ることができます。昭和のくらしや、一橋徳川家に伝わる家宝の展示も見どころです。
茨城県の歴史ミュージアム
水戸に県立の歴史ミュージアムがあるのをご存知でしょうか?その名も茨城県歴史館。水戸は何度も訪問していますが、今回初めてその存在を知りました!
Wikipediaにも「偕楽園の北隣に位置するものの、利用者は比較的少なく、その存在すら知らない人もいる」といった記載があるため、意外と知られていないスポットなのかもしれません。(参照)
石造りの外壁が重厚な外観。笠間産の御影石を使用しているとのウワサ。
入口傍にはこんなモニュメントも。こちらは隣接する講堂の外壁。円形に広がる波紋のような模様は何を意味しているのでしょうか・・・?太平洋から昇る太陽との口コミを見かけましたが、正確な情報は見つからず。
さてさて、そんな歴史館ですが、館内は1階が「企画展示室」と「一橋徳川家記念室」、2階が「常設展示室」となっています。常設展示室→企画展示室→一橋徳川記念室の順でご紹介させていただきますね!
古代の遺物を多数展示
常設展示室では縄文時代、弥生時代、古墳時代と続く古代の歴史からスタート。
最初に目に入るのはジオラマと巨人の絵。こちらは常陸国風土記にも記載されたダイダラボウ。海から遠く離れた地にあった大串貝塚の形成を考えて生み出されたといわれています。詳しくは前前前前回の大串貝塚の記事にて。
茨城県五霞町に残る冬木貝塚より発見された人骨。貝殻のカルシウム成分により、骨が腐らずに残るため人骨が発見されることは多いそうです。
装飾古墳として知られる、ひたちなか市にある虎塚古墳の石室壁画も複製されています。赤い塗料で描かれた幾何学模様がインパクト抜群です。虎塚古墳の近くの埋蔵文化財調査センターでは、さらに精巧なレプリカを見ることもできます。詳しくは前前前前前前回の虎塚古墳の記事のにて。
写真不可でしたが弥生時代の「人面付土器」や古墳時代の「猿形埴輪」など、ユニークな展示品も多数ありました。その後も時代ごとに鎌倉時代や戦国時代に関する展示が続いてゆきます。
水戸藩の功績
ときは進み近現代へ。この博物館の展示は、江戸時代末〜明治にかけてが特に充実しています。読み物もわかりやすく、引き込まれる内容なので、じっくり見ているとあっという間に時間が溶けます!
水戸光圀が編纂を始めた歴史書、大日本史。約250年という長い年月をかけて作られ、全部で397巻、目録5巻も含めると合計402巻という大ボリューム。江戸時代には多くの藩校で教科書として使用されていたそうです。前々回の弘道館の記事にも出てきましたね!
那珂湊反射炉の模型も。反射炉というのは、鉄を溶かすことができる融解炉。外国船の脅威に対抗するための大砲を造る目的で、徳川斉昭によって建設されました。 前前々回の那珂湊反射炉の記事に書いた通りひたちなか市には実物が復元されていますが、この模型は炉の内部まで見れるのがポイント。
この紙風船のようなものは傘式地球儀。土浦生まれの沼尻墨僊によって1855年に作られた地球儀です。現代で見る世界地図とほぼ同じように大陸が配置されており、海外への意識の高さを感じさせます。なお、持ち運ぶ際は、傘を閉じるように小さく折りたためるという優れモノ。
いちいちリンクを貼っているのでお気づきの方も多いかと思いますが、ここ最近めぐった水戸・ひたちなかのスポットに関わる展示が多い!個人的には大盛り上がりな内容でした。
懐かしい昭和のくらし
1階の企画展示室は昭和レトロが詰まった空間。畳敷きの座敷には、様々な昭和の家具家電がずらり。レコードプレーヤー、手動式洗濯機、ブラウン管テレビ、足踏みミシンなど、今ではあまり見かけないものも。
再現された路地裏。地面に描かれた「けんけんぱ」や「かわいいコックさん」、壁に並ぶホーロー看板。ノスタルジックな情景です。
真っ赤でかわいらしい自動車はSUBARU360。1958~1970年の12年間で約39万台も生産されていたそうです。傍には国道6号線を走る姿を写した写真も。
さらに訪問した際の企画展示はこちらが開催中でした。
会期:2024年7月20日(土)~9月16日(月・祝)
戦前、大恐慌、大戦、戦後、高度経済成長と様々なフェーズを持つ昭和。激動の時代を生きた人々をテーマにした安部朱美さんの粘土人が並びます。
ちゃぶ台を取り囲む家族の食事や駄菓子屋に集まる子供たち、げんこつを振りかざして怒るカミナリおやじまで昭和の人々の様々なシーンが繰り広げられています。
この時代を生きたおじいちゃんやおばあちゃんと訪れると、話が盛り上がりそうですね!
一橋徳川家の家宝
順路を進んでいくと、一橋徳川家記念室へ。ここは1984年に、徳川宗敬氏より寄贈された6,000件もの一橋家の家宝を展示・保存するために建設された展示室。
木工、竹工などの作品が並ぶ中、目を引くのは漆工。ゴージャスな仕上がりですが、いずれも桶や食器などの日用品。生活の中に彩りを加えていました。
水戸黄門でおなじみの印籠もあります。もともとはその名の通り印を持ち歩くための容器でしたが、やがて外出時の薬入れに。次第にアクセサリー的な要素も強まり、精緻な装飾のものを持って経済力をアピールするようにもなっていきます。
屋外のレトロ建築
館内の見学を終えたところで、まだ展示は終わりではありません!この歴史館は、屋外の庭園にも見どころが多数あるのです。
こちらのレトロな建物は旧水海道小学校本館。明治14年に建築された洋風校舎で、この地に移築・復元されたもの。県の文化財にも指定されています。
1階部分は自由に見学可能。黒板や教卓、オルガンが置かれた教室には、昭和20年代〜平成20年の給食のサンプルが並んでいます。見学できませんが、スタインウェイ社グランドピアノ1865年製も保管しているそうです。
他にも木造校舎の「旧水戸農業高等学校本館」や茅葺きの農家である旧茂木家住宅」などが移築されております。そしてなんとタイムカプセルも!
茨城県の誕生100周年を記念して、1972年に埋められたそう。当時の茨城の姿を100年後に伝えるためと書かれているので、開けるのはおそらく2072年。まだまだ半分過ぎたくらいですね。
中にはいったいどんなモノが入っているのでしょうか?気になったので、1972年の流行を調べてみると「札幌冬季オリンピック」「沖縄返還」などセンセーショナルな出来事に加えて「パンダブーム」の文字が・・・!パンダグッズ入ってるかな?
アクセスと営業情報
開館時間 | 9:30~17:00 |
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休館日 | 月曜、年末年始 |
料金 | 特別展開催期間:610円 企画展開催期間:350円 上記以外の期間:160円 |
公式サイト | https://rekishikan-ibk.jp/ |
※掲載の情報は2024年8月時点のものです。最新情報は公式HPにてご確認ください。
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