迫力のナイアガラ系滝と発電所の遺構『沈堕の滝・沈堕発電所跡』(豊後大野市)

大分県

雄滝と雌滝、2つの滝から構成される沈堕の滝。展望台からは、そのダイナミックな姿をたっぷりと拝むことができます。遊歩道には気軽に廃墟気分が味わえる「沈堕発電所跡」も。

訪問日:2024/4/7(日) ※掲載の写真・情報は訪問時のものです

2つの滝からなる沈堕の滝

沈堕の滝は、大井川本流にある雄滝と、平井川にある雌滝という2つの滝で構成されています。三重野津原線(県道26号)に設置された「沈堕の滝展望台」からは、その2つの滝を一度に見渡すことができます。

左奥が幅97m・高さ17mの雄滝、右手前が幅4m・高さ18mの雌滝。阿蘇山が約9万年前に噴火した際に埋められた谷の浸食で形成された滝であり、その形状から「豊後のナイアガラ」「大野のナイアガラ」などと呼ばれることもあります。

室町時代には水墨画家として知られる雪舟が訪れ、『鎮田瀑図』として描いていたという記録が残っています。この頃は「沈堕」の漢字が異なっていたのですね。

雄滝を間近で見る展望台

お急ぎの方は展望台から見渡すだけでも充分かもしれませんが、雄滝はもう少し近づくことができます。

「ちんだの滝ふれあい公園」の駐車場へ。そこから遊歩道を進みます。大野川沿いにまっすぐ伸びる遊歩道はなかなか爽快。

途中には、「この先、絶景あります。」という看板も。その言葉を信じて進んだ先、木々に包まれた階段を登ると展望台にたどりつきました。ここまで駐車場から5分ほど。

先ほどよりもずっと近くで見える雄滝。勢いよく水が流れ落ちる大迫力の光景を見ることができます。

滝の岩肌をよく見ると、ちょっと人工的な感じもします。特に流れ落ちる部分の上部が妙にそろっているような。滝というよりダムのようにも見えます。

退廃的な発電所跡

駐車場から滝へ向かう途中には、何かの遺構があります。

こちらは滝の落差を利用した水力発電所跡。明治42年に豊後電気鉄道によって電車の電力供給、さらに大分町への電力供給のために建設されました。

大正12年、下流に新沈堕発電所が完成し役割を終えます。屋根や窓ガラスは落ちてしまっていますが、コンクリートの壁や窓枠はまだ残っています。階段を下りていくと、その中に入って行くことも可能。

近代化産業遺産に指定されているわけではなさそうですが、この雰囲気はそれに準ずる重厚さ。廃モノが好きな方にも、気軽に訪問できるスポットとしておすすめです。

発電所があった頃は、水流による崩落を防ぐため滝の落水を止めていたそう。一時はただの岩の壁と化していましたが、平成8年に復活。崖が崩落しないように大がかりな工事を行ったそうです。先ほど人工的な感じがしたのは、もしかしてこの工事のためでしょうかね?

沈堕落としの刑場跡

最初に2つの滝を同時に見渡した「沈堕の滝展望台」のそばには岡藩による滝落としの刑場跡があります。

岡藩では刑罰を科すべきかどうか奉行が判断できない場合、滝から落として無事ならば無罪放免とする「沈堕落とし」が行われていました。これによって助かったのはたった一人だけであったそう。

何か遺構などがあるわけではありませんが、かつてここで多くの人が命を落としたと考えると、何ともいえない気分になります。

アクセスと営業情報

ちんだの滝ふれあい公園に駐車場があります。ただし公園駐車場はびっくりするくらい細い下り坂を進みます。大きい車、車高が低い車は手前の大型専用駐車場に停めて歩くのをおすすめします。

営業時間 24時間
料金 無料
公式サイト https://www.visit-oita.jp/spots/detail/4548

※掲載の情報は2024年4月時点のものです。最新情報は公式HPにてご確認ください。

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