遠く江の島まで続くと言われる地獄穴やブルーにライトアップされた氷など、ミステリアスな雰囲気が漂う洞窟。規模は小さいですが、地底に潜って行く感覚が強く、わくわくの探検気分を味わうことができます。
気軽に楽しめる洞窟
富士五湖エリアには、噴火によってできた洞窟が数多く残っています。今回ご紹介する鳴沢氷穴は、そんな溶岩洞穴の中でも有数の人気観光スポット。わずか350円で気軽に洞窟探検気分を味わうことができます。
近くには系列スポットである「富岳風穴」、少し足を伸ばせば「西湖コウモリ穴」など観光洞窟が多数。いずれもショートサイズなので、洞窟めぐりをしてみるのもおすすめです。
この鳴沢氷穴は、平安時代である貞観(じょうがん)6年の噴火によってできあがった洞穴。噴出した溶岩が冷えて固まる際に、内部のまだ熱を帯びた溶岩やガスが抜け出すことでできた空洞なのです。入口には断面模型も。まるでアリの巣みたいですね。
非常に人気のあるスポットであり、なおかつキャパシティも小さいためGWや夏休みなどは物凄く混雑します。駐車場待ちの渋滞、さらに洞窟に入るまで1時間以上並ぶなんてことも多々あるようです。ゆっくり楽しみたい方は朝イチや平日の訪問がおすすめです。
(ちなみに今回は1月三連休初日の土曜日でしたが、終了時間ぎりぎりであったためほぼ貸切でした)
わくわくの洞窟探検
受付を進むと洞窟の入口。実はこの入り口に見えるくぼみも洞穴の一部。よく見ると、かつて利用されていた古井戸などが残されています。
この鳴沢氷穴は竪穴式の洞穴。そのため、奥へ進む際に100段ほどの階段を降りることになります。また、入口と出口は同じであるため、帰りには100段ほど上ることにもなります。
そして、途中には高さ90cmという絶妙にツライ高さのポイントも。5mほどではありますが、腰を曲げないと進めません。
いずれも普段着で充分なレベルではありますが、服装や靴次第ではけっこうハードになるのでご注意ください。
洞内に残る信仰の跡
洞内にあるのは祠。ここより北にある竜宮洞穴の剗海(せのうみ)神社の御祭神である龍神様を祀っているそうです。
フェンスの奥に広がる暗闇は地獄穴。落ちると助からないといわれるちょっとコワイ穴です。
実はここ、遠く江の島まで続くというウワサ。すぐ近くには江島神社から分霊した弁財天と白龍神も祀られています。
実際に江の島の奥にある「江の島岩屋」には、「鳴沢氷穴に繋がるといわれる穴」が存在します。このような話が出てくるということは、通り抜けたと語る人物がいたなど、何かそれにまつわる出来事があったのかもしれませんね。
なお、鳴沢氷穴の公式HPには「いつの日か江ノ島のサーファーが流れ着くことで、この伝説が実証されることを楽しみにしています。」との記載が!まさかのサーファー指定です・・・!!
神秘的な氷の世界
この洞窟の一番の見どころが最奥にある氷の池。かつてはここで氷が採取されていました。
積み上げられた四角い氷は、当時切り出した氷をイメージして再現したものであるそう。冷蔵庫の無い時代、このようにして氷を保存していたのですね。
天井から染み出した水滴が凍りついた氷柱も見どころ。今回訪れたのは冬であるためほとんどその姿が見られませんでしたが、春~初秋にかけては多数の氷の柱が立ち並ぶ姿を見られるそうです。
洞窟利用の歴史
今でこそ人気な観光スポットでありますが、平安時代から続く長い歴史の中で様々な活用がなされてきました。洞窟の入口・出口付近に立てられた案内板には、略年表が記載されています。
江戸時代からは天然氷の採取・貯蔵が行われます。冷蔵庫の無い時代、夏でも低温を保つことができる場所は非常に貴重であったことでしょう。
明治時代の終わりごろからは蚕の卵である「蚕種」の貯蔵庫としての役割へ。
大正時代に入ると現在のような一般見学が開始。この頃はまだロウソクの火を使って洞内を照らしていたそうです。
戦時中となり観光客が途絶えると、入り口付近まで氷で埋まってしまいます。戦後は進駐軍により氷を切り出すような指示が出され、進駐軍のダンスホールとして利用されたそう。
現代の感覚だとDJがフロアを鳴らすクラブのようなイメージを持ってしまいますが、この頃のダンスホールというのは社交ダンスを踊る場所のはず。流れていた音楽も、当時流行していたスウィング・ジャズであったのではないでしょうか。
そんなダンスホールから現在の観光洞窟までの歴史については、この案内板では語られていません。おそらく、サンフランシスコ講和条約が発効した1952年以降、再び観光整備がなされていったのでしょうね。
アクセスと営業情報
車の場合は中央自動車道の河口湖ICより車で15分ほど。
営業時間 | 4/1~10/15:9:00~17:00 10/16~11/15:9:00~16:30 11/16~3/15:9:00~16:00 3/16~3/31:9:00~16:30 |
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定休日 | 年中無休 ※冬季に休業あり |
料金 | 350円 |
公式サイト | https://www.mtfuji-cave.com/ |
※掲載の情報は2024年1月時点のものです。最新情報は公式HPにてご確認ください。
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