世界最大の木造建築?『東大寺大仏殿』で柱くぐり(奈良市)

奈良県

数多くの寺院が並ぶ古都・奈良において、最も有名な寺院のひとつである東大寺。国内有数の巨大寺院建築である大仏殿は、圧倒的な存在感で訪れる人を出迎えます。堂内では「奈良の大仏」こと盧舎那仏像などの仏像が安置されており、荘厳な空気が漂います。

訪問日:2017/4/14(金) ※掲載内容および写真は訪問時のものです

奈良と言えば大仏

シカと並んで奈良を象徴するシンボルの大仏。「奈良の大仏」と呼ばれる盧舎那仏像を安置しているのが、こちらの東大寺大仏殿。

飢饉や大地震、さらには疫病の蔓延などが起こり社会が不安定であった時代、仏教の力で国を救おうとした聖武天皇「大仏造立の詔」を発します。国中の銅を集めてまず先に奈良の大仏を建立。大仏殿は大仏の鋳造が終わった後に工事がスタートし、758年に完成しました。

その後、戦災にあい2度焼失。現在の大仏殿は1709年に再建されたものになります。

訪問したのは夕方のため、混雑は少々落ち着き意外とすっきりとしています。そんな中でも外国人観光客の姿が目立つ。アクセスもよく、尚且つ誰が見ても凄さのわかるその大きさ。インバウンドにも人気のスポットなのです。

大きいは正義

近づけば近づくほどその大きさを実感します。もうただただ大きいというコトバしかでてきません。

装飾など細部にもこだわりが見えますが、大きさに圧倒されてしまうため細部を見る余裕がありません!!

正面の幅57.5m、奥行き50.5m、棟までの高さ49.1mという巨大な建築。「世界最大の木造建築」と言いたいところですが、面積は東本願寺の御影堂の方がわずかに大きいそう。また、スペインのメトロポール・パラソルや、アメリカのティラムーク航空博物館など、世界を見渡すととんでもない大きさの木造建築があります。

ただし、いずれも明治以降の近代建築。現在の大仏殿は江戸時代に再建されたものではありますが、それでもこの時代にこれだけのものを造り上げたのはスゴイです。

どうしても世界最大という言葉を使いたい場合は、「世界最大の木造軸組建築」といえば良いみたいです。
(※木造軸組建築=柱に梁を組み合わせて縦横に骨組みを造る、日本家屋でおなじみの建築法)

圧巻の巨大仏

薄暗い大仏殿に入ると、奈良の大仏こと東大寺盧舎那仏像がただ静かに座っていました。

旅行誌などでよく見かけるこのアングル。なんでどこの写真も斜めから撮ったものなのか、その謎は現地に訪れてみるとすぐわかりました。大きすぎるため正面からはその御姿をきちんとフレームインできないのですね。

この大仏より大きな仏像は全国各地に存在しています。でも、その多くは明治以降の近代に造られたもの。遥か昔の奈良時代につくられた大仏と大きさ比較するのは、ちょっと違いますよね。

なお、鋳造仏としては世界最大といわれています。どうしても世界最大という言葉を使いたい場合は、「世界最大の鋳造仏」と言えば良さそうです。

周囲の仏像も巨大

堂内には奈良の大仏以外にも仏像がたくさん。向かって左は虚空蔵菩薩坐像、向かって右は如意輪観音座像と脇侍が両サイドを固めています。

さらに左隅に広目天立像、右隅に多聞天立像と四天王像も並びます。盧舎那仏像ばかりに目が行ってしまいますが、どれもかなりの大きさで非常に立派な仏像です。

さらに、大仏殿の外には賓頭盧尊者像(びんずるそんじゃぞう)、通称おびんずる様と呼ばれる木造が安置されています。

このおびんずる様は、お釈迦様の弟子の十六羅漢のうちの一人。体の悪いと思っているところを撫でて、その後自分の体の同じ場所を撫でると良くなるといいます。人々を救うために、お堂の外で風雨にさらされているなんてなんと心優しいのでしょうか。顔はめっちゃ怖いですが・・・。

このおびんずる様、日本各地のお寺でも見かけますが、この東大寺のものはかなりの大きさ。さらに高めの台座に乗っているため、がんばってもヒザまでしか手が届きません。ヒザ下に悩みがある方専用、もしくは背が高い人向けのおびんずる様でした。

創建当時はさらに大きかった?

堂内には、東大寺の創建当初の姿を再現した1/50の模型が置かれています。

あれ?大きな塔が2基も建っています!!

かつての東大寺には、七重塔が東西に建てられていたそう。巨大な大仏殿よりもさらに高いというその高さは、推定70~100メートルといわれています。これは現代の高層ビルやコンクリートタワーに引けをとらない高さ!

なお、巨大に見える大仏殿も、創建当初は現存のものと横幅が異なっていました。記録によると当時の横幅は約86m。なんと、今よりも1.5倍ほど大きかったそうです。

おそるべし奈良時代・・・!!

穴をくぐれるか?

東大寺の柱の1つには、穴が開いてます。大仏様の鼻の穴と同じ大きさといわれており、ここを潜り抜けると無病息災のご利益があるそうです。

そのサイズは30cm×37cm。子どもは余裕ですが、大人には少々厳しいといわれるサイズ。くぐれるかな?

もし引っかかって抜けなくなってしまったら、笑いものになってしまうかもしれません・・・・と思ったのですが、意外と余裕でした!!まわりは皆外国人観光客。テンション高めで、応援しあって皆でくぐりました。目の前で外国人男性がするっと潜り抜けていたので、大人の男性でもけっこう行けると思います。

 

通常時は行列ができていることもあるそうですので、人目が気になる方は、朝早い時間か夕方に訪問するのが良さそうです。

国際色ゆたかな境内

最後にちょっとだけ面白かったエピソードを紹介させてください!

それは、遡ること、中門をくぐって大仏殿に入るときの出来事。係の人に「こんにちわ」と挨拶すると・・・

おじさん「Buy ticket, there!」

日本語で話してるのになぜか英語が返ってきます!!

指示に従ってチケット売り場へ行き「チケットください」と尋ねると・・・

おばさん「One ticket?」

日本語で話してるのになぜか英語が返ってきます!!

おそらく、それだけ英語が必要とされる機会が多いのでしょう。お寺で飛び出す英語には少し違和感がありますが、「シンプルな英語」こそが日本人含めて、ここに来る人にはそれが一番通じるコトバなんでしょうね。

 

さて、そろそろ閉門の時間です。誰もいなくなった大仏殿に桜と夕陽が組合わさったこの景色、これは4月ならではの美しい光景です。

アクセスと営業情報

JR奈良駅より徒歩35分、近鉄奈良駅より徒歩20分。道中には興福寺や奈良国立博物館など、見どころいっぱい。さらにシカもいっぱい。

開館時間 7:30~17:30 ※11~3月は8:00~17:00
料金 600円
公式サイト http://www.todaiji.or.jp/index.html

※掲載の情報は2022年3月時点のものです。最新情報は公式HPにてご確認ください。

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