バスとケーブルカーを乗り継いで行く御岳山(みたけさん)。武蔵御嶽神社やロックガーデンをつなぐハイキングコースは、傾斜も少なく気軽に山歩きが楽しめます。8月に訪れると、可憐な花をつけるレンゲショウマを見ることができます。
御岳駅→ケーブルカー→レンゲショウマ群生地→武蔵御嶽神社→七代の滝→ロックガーデン→綾広の滝→長尾平→ケーブルカー→御嶽駅
■所要時間
歩行時間:約4時間(バス・ケーブルカー含めて約5時間半)
御岳駅からバスへ
御岳山登山口の最寄り駅はJR青梅線の御岳駅。新宿から中央線と青梅線を乗り継ぎ、1時間20分ほどでアクセスできます。都心からどんどん長閑な風景に変わって行く様子がとっても楽しい路線。列車の最後尾に乗ると、御嶽駅で改札が近くてスムーズです。
御岳駅から登山口へ向かうには、西東京バスを利用します。本数は1時間に1〜2本ほどと非常に少ないため、「次のバスは50分後……」なんてことも。時刻表は事前に確認!と言いたいところですが、御岳駅に停車する青梅線と接続しています。だいたい電車到着から10〜15分ほどでバス発車となるため、よほどのんびりしない限りはバスに乗り遅れることは無さそうです。
ただし、御岳駅のバス乗り場は、駅から少しだけ離れているのでご注意ください。また、御岳駅周辺にはコンビニはありません。(バス乗り場には唐揚げ&ソフトクリームのお店がオープンしており、お弁当なども販売していました。)
御岳駅からバスで向かうのはバス停《ケーブルカー下(滝本駅)》。乗車時間は8分ほどなのであっという間です。
ケーブルカーで向かう中腹
バスを降りてケーブルカーの滝本駅までは上り坂。舗装された道で、登山前の準備運動にはぴったり!なのですが、意外と傾斜があり、けっこう息があがります。
滝本駅には売店やトイレがあります。マップなども置いてあるので、御岳駅でもらいそびれた人はここでもらっておくと良さげ。ケーブルカーを待っている間に登山計画が立てられます。
売店で売ってた御岳山名物の特製味噌汁・御嶽汁がとっても気になります。めっちゃ美味しそうなので、下りのときに買って帰ろう。
カラフルな車体がかわいい御岳山ケーブルカー。高低差424mをおよそ6分で進みます。料金は片道600円。運行間隔は1時間に2本ほど。
ケーブルカーの終点、御岳山駅、広場には食堂やお土産物屋さんがあってにぎやか。出発前に帰りのケーブルカーの時刻の確認をお忘れなく・・・!
レンゲショウマ群生地
春はミツバツツジ、秋は紅葉、冬は雪景色と四季折々の魅力が楽しめる御岳山。
ケーブルカーの下車地、御岳山駅近くにはレンゲショウマの群生地があり、その数は約5万株。夏場に訪問すると、ムラサキに咲く可憐な花を見ることができます。
花の形が蓮ににており、葉がサラシナショウマに似ていることからこのような名前が付けられました。下向きに咲く花なので、しゃがんで見上げるように撮ると、きれいに花の輪郭を捉えることができます。
また、レンゲショウマに混じってホトトギスの花も咲いていました。
産安社&ビジターセンター
最初に見えてきたのは産安社。名前の通り安産、子育ての神として信仰されています。平安時代の末期、源頼朝によって創建されたと伝わる歴史のある神社です。
社殿の脇には立派な安産杉、コブのある子授檜(こさずけひのき)、2本そろった夫婦杉と、ご利益たっぷりな巨木が並んでいます。
産安社からコースに戻ると、すぐにビジターセンターが見えてきます。御岳山で見られる生き物を紹介している施設で、コースについても丁寧に教えてもらえます。迷うような道はほとんどありませんが、ここでさらっと聞いておくと躊躇いなく歩けます。
そのあとは、しばらく舗装路が続きます。もっと山道ばかりのイメージでしたが、山荘や民家が立ち並ぶ風景。もともとここは武蔵御嶽神社の参拝客で栄えていたのでしょう。
武蔵御嶽神社
しばらく進むと、そびえる石段が。ここは武蔵御嶽神社境内への入口。この神社は御岳山山頂に建っているため、なかなかハードな石段が続きます。距離はそれほどでもありませんが、傾斜が急なのと、日陰が少ないため体力を消費します。
古くから霊山として信仰されてき御岳山。武士からの信仰も篤く、徳川幕府の庇護も受けていました。明治維新までは、修験道の聖地として多くの人々が参拝、修行のために訪れていたそう。(明治維新の神仏分離令とともに、修験道は禁止されマス)
また、日本武尊命が東征を行った際に道案内をしたとして、大口真神(オオカミ、おいぬ様)を祀っています拝殿の前には、北村西望作の立派な神狗の姿もみかけました。
北村西望は長崎の平和祈念像などを手掛けている彫刻家。境内には、この神狗の他にも西望が手掛けた畠山重忠の像も建っています。いずれも非常に力強い作品です。
本殿の裏にあるスペースは太占(ふとまに)祭場。鹿の肩甲骨をあぶり、その割れ具合から作物の豊凶を占う神事「太占祭)」が行われる場所です。古墳時代〜奈良時代にかけて日本各地で行われてきた祭事ですが、現在はここと群馬県の貫前神社のみで行われているそう。
武蔵御嶽神社の創建は、社伝によると崇神天皇7年(紀元前91年)とされており、かなり長い歴史を持っています。
以前、西暦110年創建と伝わる上野の五條天神社を都内最古と書いてしまったのですが、それよりも古いことになりますね…!
七代の滝
七代(ななよ)の滝は下流にある滝。そこに行くには、なかなかの急斜面を下って行く必要があります。ハイキングコースからは少し外れるルートとなっており、体力に自身が無い方はここをカットすると大幅に難易度が下がります。
でも、せっかくならフルで楽しみたいし、山歩きするつもりで来ているのでこれくらい余裕!行ってみよう!
ヒザに負担のかかる下り道が続く。さらに、降りるということは、このあとまた上りが待っています。このルートを選んだことを後悔してきました・・・。挫けそうになっていると、やっと滝が見えてきました。時間にするとわずか20分ほどでしたが、なかなか長く感じます。
バシャバシャと勢いよく流れる立派な滝。落差は5mほどと、それほど大きな滝ではありませんが、山道の苦労が上乗せされてなんとも感動的!飛び散る水しぶきが心地よいです。
ここからコースに戻るにはハシゴのような鉄階段を登ります!なかなかハードですが、安定した足場と最短ルートはとってもありがたいです。七代の滝ルートの往復は40分ほどでした。
ロックガーデン
次の目的地はロックガーデン。別名、岩石園とも呼ばれており、案内地図などではこちらの表記のこともあります。
せせらぎを囲むように大きな石がゴロゴロと転がったエリア。フサフサに苔むした姿は、長い年月を感じさせます。渓流と苔の姿からは、「東京の奥入瀬」と呼ばれていたこともあるそう。
木の根にすっかりと抱きかかえられた岩。きっとこの岩のまわりにも土があったはずですが、土砂とともに流れて行き、この2人だけが取り残されてしまったのでしょう。そう考えると、岩と木は運命を共にして抱き合う恋人のようにも見えてきました。
中には4mにもおよぶような巨石も。かなりの迫力ですが、なんだか心優しい巨人のようです。
ロックガーデンの半ばには、東屋やトイレが並ぶ休憩所があります。午前中に歩き始めれば、ちょうど昼過ぎくらいにこのあたり。ここでお昼ごはんにするのも良いですね!
綾広の滝
ロックガーデンの終盤に差し掛かると、綾広(あやひろ)の滝が見えてきました。
滝の前には禊乃門が設置されています。武蔵御嶽神社のみそぎが行われる場所で、滝に打たれる「滝行」も行われているそう。垂直落下する直瀑ではなく、岩肌をそうように流れるタイプの滝ですが、どのように滝行が行われるのか気になります。※試しに「綾広の滝 滝行」で画像検索してみたところ、インパクトある画像で画面が埋め尽くされました・・・!
滝坪の周辺はなだらかな平地となっており、滝しぶきをちらっと浴びながら腰掛けて一休み、なんてこともできます。七代の滝に比べて、すごく落ち着ける印象です。
この先には分かれ道があり、「大岳山へ抜けるコース」か、「ケーブルカーの御岳山駅に戻るコース」かどちらかの選択になります。今回は充分満足したので、ケーブルカー乗り場へ。ずっと平坦な道が続くので、とっても楽々です!
長尾平の展望台
気がついたのですが、せっかく山に登ったというのにまともに眺望を見ていません!ということで、ルートから300mほど離れたところにある長尾平へ寄り道することにしました。
途中にあらわれる広場は、ヘリコプター離着陸場。山火事や事故などの際に、消防団員が駆けつける場所です。
5分ほどで木立の中に建つ東屋が見えてきました。青空に向かって建つ、最高のシチュエーション!ここでお弁当にしても良さそうですね。
目の前に広がるのは、うねるような山々。尾根を這うように張られた電線が、なんとも東京らしい光景です。東を向いているため、遠くにはうっすらと都心の街並みが見えます。
しばらく歩いてケーブルカー乗り場に帰ってきました!時刻は16:45。12:55に歩き始めたので、全部で約4時間の行程でした。ちなみにケーブルカーの最終便は18:30発と、かなり遅め。そのため、昼過ぎから歩きはじめる人も多く見かけました。私も今回はかなりゆっくり出発したのですが、余裕でまわることができました~。
そういえば、行きのケーブルカーに乗る際に、見かけた御嶽汁買って帰ろう!
もう閉まってました!!
行きに買っておけば良かったーーー!!!
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