見て聴いてさわって楽しめるミュージアム『浜松市楽器博物館』(浜松市)

静岡県

楽器の街としても知られる浜松にある、楽器専門のミュージアム。世界の民族楽器や現代的な電子楽器など、多種多様な楽器がずらりと並んでいます。わかりやすい展示でどなたでも楽しめますが、特に楽器経験者にとっては胸躍るスポットです。

2021/4/16(金)

楽器のまちの博物館

浜松はウナギ、餃子、バイクなど様々な特色を持つ街。そんな中でも特に個性的なのが楽器。ヤマハ、カワイ、ローランド、ボスなど多くの楽器メーカー本社が集まっており、「楽器の街」とも呼ばれています。かつてこの地では綿花の栽培が盛んで、木綿を織るための織機を作成する技術者がピアノ作りを始めたことに由来するといわれています。

そんな楽器の街にある浜松市楽器博物館は、1995年に開館した日本初の公立楽器博物館。1,000点を超える楽器や資料が並んでいます。浜松駅からも近く、アクセスも良好なミュージアムです。

世界中の楽器が大集合

館内は、アメリカ、アジア、アフリカなど、地域別に様々な楽器が並んでいます。

日本の楽器

「太鼓」「三味線」など、比較的なじみ深いものから、普段なかなかお目にかかることのないアイヌの口琴「ムックリ」、禅宗寺院で見かける叩いて音を出す「雲板」「木魚」までも並んでいます。日本に暮らしていても、日本の楽器ってあまり身近にはないものですね。

アジアの楽器

バリ島の打楽器「ガムラン」、インドの弦楽器「シタール」、エジプトの弦楽器「ウード」、モンゴルの弦楽器「馬頭琴」など、個性的な楽器が並びます。神話をベースにした派手な装飾のものが多く、音楽=儀式という位置づけを強く感じるデザイン。また、たった一音鳴らすだけでエスニックな雰囲気を作り上げます。

アメリカの楽器

グアテマラの木琴「マリンバ グランデ」や、カリブ海の金属ドラム「スティールパン」など、中南米の楽器を中心に展示。こちらもアジア同様に、一発で雰囲気を作り上げる音。南米のフォルクローレ感や、中米の島国の陽気さがあふれ出てきます。

オセアニアの楽器

アボリジニの管楽器「ディジェリドゥ」や、パプアニューギニアの「竹笛」など、木材や木の実など自然なままの姿の楽器が多いです。装飾も、本体に刻みを入れるようなシンプルなものが多く、非常にプリミティブな印象です。

アフリカの楽器

タンザニアの打楽器「ンゴマ」や、ニジェールの「トーキングドラム」など、ナチュラル素材な楽器が多く、オセアニア同様にプリミティブな印象。マリの弦楽器「コラ」や、コンゴの親指ピアノ「サンザ」など、非常に繊細な音色を奏でる楽器もあります。

ヨーロッパの楽器

「バイオリン」「サックス」など管絃楽器がずらりと並んでいます。ここは見慣れたものが多いな、と思いきや、普段見ているものと形状が全然違うものも。

弦楽器と管楽器をむりやりフュージョンしたような不思議なカタチの「ストローバイオリン」。普通のバイオリンは木の箱型ボディで共鳴させていますが、こちらは金属板で共鳴させてラッパから音を出す仕組みになっています。

 

体感型のミュージアム

びっしりと並ぶ個性的な楽器にはしっかりと解説が付けられています。そして、多くの楽器にはスピーカーが設置されており、スイッチを押すとその音色を聞くことができます。

様々な国の楽器を見ていると、「これ、どういう風に演奏するの?」と感じる物もたくさん。全てではありませんが、一部は映像モニターにて演奏の様子と音色が流れており、とってもわかりやすい。

さらに、イヤホンガイドも無料貸し出ししています。じっくりと楽しみたい方は、こちらがおすすめです。

充実の鍵盤楽器

ピアノやオルガンなどの鍵盤楽器は専用の展示室が設けられています。こちらは大きな「リードオルガン」。2段式の鍵盤だけでなく、たくさんのペダルやストップレバーと呼ばれる音色を変更するスイッチが付いています。

弦を弾いて音を出す「ヴァージナル」はピアノの原型となった鍵盤楽器です。日本には天正遣欧使節団が持ち帰り、豊臣秀吉の前で演奏されたといわれています。

こちらも同じく弦を弾いて音を出すタイプの鍵盤楽器「チェンバロ」。18世紀に全盛期を迎えました。

黒鍵と白鍵が逆となっているのがポイント。これは、「白鍵の素材である象牙は稀少でコストを下げるため」や、「黒鍵の素材の方が重さが軽く全体の重量を下げるため」など様々な理由があるそう。
また、現在の配色に入れ替わった理由も、「白鍵の素材を多く使用し財力を誇示するため」や「見た目が明るく好まれた」などいろいろあります。

ポップスでおなじみの電子楽器

歴史ある楽器が多く展示されている中、目を引くのは電子楽器コーナー。「シンセサイザー」「ハモンドオルガン」「エレキギター」など、現在のポップミュージックを組み立ててきた様々な楽器がびっしりと並んでいます。

こちらの黒い箱はROLANDの「システム700」。このような大型のモジュラーシンセは、通称「タンス」とも呼ばれています。冨田勲の「惑星」でも使用されており、価格はなんと2,650,000円だったそう。

世界初のギターシンセサイザー「ROLANDのGR-500」。鍵盤以外でシンセサイザーを操作する方法が無いか、というところから生まれた楽器で、専用のギターとセットとなっています。レッドツェッペリンのジミーペイジやジェフベックも使用していたそうです。

エレピの代名詞とも呼べる「フェンダーローズピアノ」。スティービーワンダーやチックコリアなど、名だたるアーティストが使用してきた楽器。きっと多くの人が耳にしていることと思います。

実際に演奏してみよう

様々な楽器を実際にさわって音を出すことができる体験ルームがあるのですが、2021年4月現在のところ感染症対策で休止中となっていました。

一部の楽器が自由に演奏できるように置いてありました。「チェンバロ」「琴」「馬頭琴」など、普段はあまり触る機会の少ないものがチョイスされているのが素敵です。

「バラフォン」「セミージャ」「クラベス」など、ちょっと変わった打楽器もたくさん。こちらは簡単に音が出せるので、未経験者でも感覚で楽しめるラインナップです。

アクセスと営業情報

電車の場合はJR浜松駅北口より徒歩10分、車の場合は東名高速道路の浜松ICから約30分ほど。専用駐車場は無いため、アクトシティの地下駐車場(20分100円)や駅北駐車場(30分100円)、周辺コインパーキングを利用することになります。

開館時間 9:30~17:00
休館日 第2・4水曜日、年末年始、その他臨時休館日あり
料金 800円
公式サイト https://www.gakkihaku.jp/

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