神社や寺がひしめく奈良公園界隈において、異質な存在感を放つ遺跡。「頭塔」という名前、寺院建築らしからぬ独特な形状、武骨な石垣と瓦屋根・・・。不思議な魅力を放つピラミッドは一見の価値ありです。
頭塔の見学方法
ピラミッド、それはエジプトや中南米だけではありません。あまり知られていませんが、日本にもいくつか存在しています。そのうちの一つが今回ご紹介します頭塔です。
普段は施錠されており、現地に行っても見学することができません。
頭塔を管理している仲村表具店の方に頼めば開けてもらうことができます。この管理人の方のトークがとても面白いと噂なので、ちょっと楽しみにしておりました。しかし、仲村表具店がみつからない・・・!
うろうろしている間に、もう1つの受付場所のホテルウェルネス飛鳥路が見つかってしまいました。かつては仲村表具店のみでしか受付ができませんでしたが、今はこちらのホテルでも当日受付可能なのです。
ホテルの受付にて頭塔を見たい旨を伝えると、快く案内してくださいました。頭塔はホテルからすぐ近く、というか建物のすぐ裏手にあります。頭塔のアクセスで困ったら、ホテルウェルネス飛鳥路を探しましょう!
不思議な魅力のピラミッド
さあ、こちらがが頭塔です!
ピラミッド状の石垣に瓦屋根が乗った独特の外観。他の神社仏閣とは全く違うデザインはインパクト抜群!ゴツゴツと武骨な姿は、防衛機能が高そうに見えます。まるで砦や要塞のようです。
頭塔の高さは10m、一辺は32m。7段に積み上げられた姿は、写真で見るよりもずっと大きく感じます。
いただいたパンフレットには、頭塔を空撮した写真も。上から見ると、まさにピラミッドといった四角錐をしていますね。
塔を覆う多数の石仏
瓦屋根が敷かれた部分をよく見ると、石仏が置かれています。
一番下の第1段には5体、第3段に3体、第5段に2体、第7段には1体と一面で11体。それが4方向なので、合44基もの石仏があるのです。数少ない奈良時代の石仏であり、一部は「頭塔石仏」として重要文化財にも指定されています。
石仏が立体的に並ぶ姿は、まるで立体曼荼羅。きっとそれぞれの配置にも深い意味があったりするのでしょうね。
謎のピラミッドの正体は?
気になるのはこの頭塔の役割。いったいどのような目的で造られたのでしょうか?
もともとは頭の文字から、奈良時代の僧・玄昉の「首塚」だと考えられていましたが、東大寺の僧が造営した「土塔(どとう)」がなまって頭塔になった説が有力なようです。
なるほど!と納得したいところですが、そもそも土塔って何でしょうか?調べてみたところ、その名の通り、土を盛って造られた塔のことを指すそう。意味としては、五重塔などと同じもののようです。
このような形状のものを塔と呼ぶのは少し違和感がありますが、ピラミッドも漢字では「金字塔」と書くことを考えると、納得せざるを得ません。
なお、大阪府堺市には、この頭塔よりもさらに大規模な土塔があります。
発掘、そして復原へ
発掘調査前の姿が案内板に載っていました。木々が生い茂る姿は、小さな山にしか見えません。
北半分は復原されておりますが、南半分は現状維持するという方針であったそう。そのため、南側にまわってみると草木が生い茂る山になっております。
2000年に復原は完了していますが、案内板によると多宝塔のような復原案もあったそう。この姿ならばすんなり「塔」として受け入れられそうです。
アクセスと営業情報
近鉄奈良駅より徒歩25分、もしくは市内循環バス《破石町(わりいしちょう)》下車すぐ
徒歩25分は遠く感じますが、奈良公園やならまちと合わせるとそれほど気になる距離ではありません。
前述の通り、通常は施錠されているので、訪問前に受付予約をお忘れなく。年に数回「特別公開」も行っており、その期間は予約不要で直接現地へ行けば見学できるそうです。特別公開についてはなら旅ネットなどにてご確認ください。
見学時間 | 9:00~17:00 |
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料金 | 無料(協力金300円) |
公式サイト | https://www.pref.nara.jp/6709.htm |
※掲載の情報は2022年3月時点のものです。最新情報は公式HPにてご確認ください。
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