靖国神社の見どころと御祭神の基準(九段下駅)

東京都

幕末の近代化から現代にいたるまで、国のために命を捧げた人々を神として祀る神社。見どころの多い境内ですが、特に境内に設置された歴史ミュージアム「遊就館」は非常に見応えがあります。改めて御祭神について調べて見ると、少し意外な事実がわかりました。

2021/8/21(土)

靖国神社の役割

靖国神社は、明治天皇によって造られた東京招魂社がその前身。戊辰戦争をはじめ、幕末の動乱において国家のために命を捧げた人々の御霊(みたま)を祀る目的で建立されます。その後、明治12年に靖国神社と改称されました。

明治維新以降も日清戦争、日露戦争、大東亜戦争と続く戦争での受難者を英霊として祀り、その数は246万6千余柱にもおよびます。

軍人に限らず、学徒や従軍看護婦、女学生といった方々も身分や階級、男女の区別なく祀られています。天皇の元で祖国を守るという公務を果たした人々が眠る場所なのです。

高くそびえる巨大な鳥居

靖国神社のシンボルとも呼べる第一鳥居。もともと創立50周年記念として大正10年に建立された鳥居が建っていたのですが、昭和18年に老朽化および戦力増強のために撤去。現在の鳥居は終戦後の昭和49年に新しく建てられたものです。

コルテン鋼(耐候性鋼鈑)という耐食性の素材で作られており、その高さは25mにもおよびます。近づいてみると、その巨大さに圧倒されます。

かなりの大きさですが、国内で何番目くらいの大きさなのでしょうか?さらっと調べてみたところ、2021年8月現在全国6位とのこと。ちなみに1~5位は熊野本宮神社(和歌山)、大神神社(奈良)、彌彦神社(新潟)、最上稲荷(岡山)、鹿嶋神社(兵庫)となります。

外苑の見どころ

第一鳥居から神門に至るまでを「外苑」と呼びます。石畳の広い参道を中心に、両側にはたくさんの樹木が植えられた公園のような空間。ここには様々な石碑やモニュメントが設置されています。

絶え間なく水が流れる慰霊之泉。水が無くて苦しんだ戦没者に、水を捧げるためにつくられたモニュメント。民間の奉仕団体キワニスクラブによって奉納されました。

慰霊之泉の後ろには、いくつかの石が埋め込まれた壁。この石は戦跡の石。硫黄島、グアム、レイテ島など激戦地となった場所から持ち寄った石で、合計25個が展示されています。

桜の花をかたどった石。こちらは、令和の御大典の記念につくられた和めの井戸。地下水が湧き出しているそうで、砂利が少し湿っていました。

全国から集まるさくら陶板

桜をモチーフにしたこちらのモニュメントは「さくら陶板」。2019年の創立150年を記念して各都道府県にて現地の陶工たちにより制作・奉納されたものです。

このさくら陶板は、第一鳥居近くから本殿へ向けて、沖縄から北海道まで順に並んでいます。それぞれ異なるデザインで造られているため、なかなか見ごたえがあります。

一番印象的だったのが岐阜県の陶板。あざやかなターコイズブルーと黒く縁取られた力強い装飾で、どこかミステリアスな雰囲気を漂わせていました。

内苑と拝殿

第一鳥居からしばらく進むと、第二鳥居が見えてきます。明治20年に建てられたもので、青銅製の鳥居では日本一の大きさとのこと。

昭和9年に建てられた神門。扉には、直径1.5mにも及ぶ大きな金色の菊紋が輝きます。この神門から先は「内苑」と呼ばれています。穏やかであった外苑に比べて、凛とした空気が張り詰めます。

すぐに見えてくるのはヒノキでできた中門鳥居と拝殿。一般参拝はこちらで。拝殿の奥には、正式参拝を行う方のみが昇殿できる本殿と霊璽簿奉安殿が続きます。

内苑は桜の名所としても知られています。境内には約500本の桜が植えられており、千鳥ヶ淵と合わせて春には大勢の花見客でにぎわいます。中には、東京管区気象台が開花を観測するための標本木もあります。

拝殿、遊就館からさらに奥へ進むと、神池庭園があります。園内には滝も作られており、静けさの中に水の流れる音が涼しげな空間となっています。

ボリューム満点な歴史博物館・遊就館

拝殿のすぐ近くにある遊就館は、御祭神のご遺影やご遺書など、10万点におよぶ資料を展示するミュージアム。展示室は撮影禁止ですが、一部可能な場所もあります。

こちらは零式艦上戦闘機、通称「ゼロ戦」として知られています。高い格闘性能で、日中戦争時は世界最強を誇っていました。航続距離も非常に大きく、この展示されている五二型は1,920km、ニ一型は3,110kmもの飛行が可能であったそう。

八九式十五糎加農砲。現代的な表記をするならば、89式15cmカノン砲となります。沖縄の地上戦にて導入されたもので、最大車砲は1.8kmにもおよびます。(ちなみに砲身の長さが口径の20倍以上の大砲のことをカノン砲と呼んでいたそうです。)

こちらは回天一型改一。片道だけの燃料を積み、捨て身の攻撃を行った特攻兵器で、人間魚雷とも呼ばれています。傍らには、「みんなさようなら!元気で征きます。」と締められた、録音された遺書も置かれています。

第二次世界大戦についての展示は特に有名ですが、幕末からそこにいたるまでの歴史を解説したパネルもわかりやすく、ものすごく読み応えがあります。一通り見るだけで1時間以上、じっくり見ると2時間はかかるほどのボリューム。入館料は1,000円ですが、それに見合った価値は充分すぎるほどにあります。

祀られている人・いない人

参道の中央にかまえる大きな銅像は大村益次郎。幕末の動乱の中で新政府軍として活躍した人物で、靖国神社の御祭神としても祀られています。この靖国神社の前身となる東京招魂社の建立に尽力したことから、立派な銅像が建てられたそうです。

靖国神社の御祭神は前述の通り、国のために命を捧げた人物。しかし、刺客に襲われた怪我がもとでこの世を去ったこの大村益次郎をはじめ、戦時に命を落としたわけではない人物も祀られています。

また戊辰戦争以降とありますが、近江屋事件によって凶刃に倒れた坂本龍馬、安政の大獄によって処された吉田松陰や橋本左内といったそれ以前に受難した志士達も祀られています。

一方、戊辰戦争の戦没者といっても、新撰組や奥羽越列藩同盟など旧幕府軍であった人物は祀られていません。さらに、新政府軍であってもその後に反乱を起こした西郷隆盛や江藤新平らは祀られていないのです。

また、その後の日露戦争においても、明治天皇を慕い自ら命を絶った乃木希典や、病に倒れた東郷平八郎といった戦の中で命を落としたわけではない人物は祀られていません。両名とも非常に名の知られている軍人なため、これは意外でした・・・!

さらに、日本人だけかと思いきや、大東亜戦争において日本兵として戦った台湾人26,000人、朝鮮人21,000人も祀られているのです。

話題になることが多い靖国神社ですが、きちんと御祭神を理解している人は少ないように感じます。もし参拝される予定の方は、少し調べてから訪問してみると、また理解が深まるのではないでしょうか。

アクセスと営業情報

中央・総武線各駅停車の飯田橋駅市ヶ谷駅より徒歩10分、都営新宿線の九段下駅より徒歩5分。

周辺には皇居・千鳥ヶ淵や、昭和館、日本武道館や東京国立近代美術館を含む北の丸公園などがあります。

開門時間 6:00~18:00 ※11~2月は17:00まで
公式サイト https://www.yasukuni.or.jp/

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