商品説明はまったく無いのに、なぜかおすすめされている不思議なお土産。独特な存在感を放つこの商品、調べてみると道内では昔から親しまれている商品であるようです。いったいどのようなシロモノなのでしょうか。
謎のおみやげ
5日間の道東の旅を終え、東京へ帰るためにやってきた釧路空港。お土産を探しのため立ち寄ったANA FESTAで見つけたのがコチラ。
山親爺 since1930
絵本のようなパッケージですが、これは何でしょうか??
「イチオシ」というポップが添えられており、「出てきた、出てきた、山親爺〜♪」という謎のフレーズも。
続いて訪れたJAL PLAZA。こちらでも「オススメです」のポップがありますが、商品の説明はナシ。他のお土産には解説や写真が添えられているのに、これは何も記載されていません。
この山親爺というのはいったい何なんでしょうか
情報量の少ないパッケージ
ということで、もちろん買ってみました!!
青い空と雪山、そしてそこに描かれているのは、サケを背負ってスキーで滑る熊。
箱の裏側も説明無しですが、原材料を見ると少し内容の手がかりが。小麦粉、砂糖、鶏卵などお菓子らしいラインナップ。この原材料は使用した重量の割合が高い順に記載されていますので、小麦粉よりも砂糖が多く入っていることになりますね。
いよいよ開封ですよ?良いですか?
山親爺の正体
箱の中に並んでいるのは、スキー熊の姿が描かれた小袋。
そして小袋をあけると、クッキーのようなお菓子が。これは、伊豆大島の牛乳煎餅のような甘い煎餅。パリッとした食感と、甘い風味が堪りません!
よく見るとお菓子にもまたまたスキー熊がプリントされています。ひたすら熊推しです。
気になる名前の由来
ところで、山親爺ってなに?よく見るとフタの裏にメッセージが記されていました。
山親爺というのは、山に住んでいる親爺のことではなく、「北海道の山野を我が物顔で歩いていた熊の愛称」とのこと。きっとこのスキー熊が山親爺なのでしょうね。
さらに「山親爺は上質なバターとミルク、卵を使用した風味豊かな洋風煎餅」との記載も。まさかの箱を開けるまで商品説明に出会えないのでした。
実は超有名なお菓子
この山親爺は、千秋庵という老舗お菓子屋さんによる商品。1930年に販売開始したロングセラー商品であり、「全国菓子大博覧会」で名誉総裁賞を受賞しています。さらにWikipediaも存在しています!
私が知らないだけでめちゃくちゃ有名なお菓子なようです。お土産屋さんで説明がないのも、知ってて当然であるからなのでしょうか。
今でこそ目新しさは感じませんが、販売当時はバターや牛乳を使ったお菓子は珍しかったそう。バターまだそんなに受け入れられていない時代であったため、表向きにはアピールせずにいたなんてエピソードも。そんな時代背景を考えて食べると、また違った感覚になってきます。
(気になったので北海道出身の友人に尋ねてみたところ、知っている人もいれば知らない人も。よく知っている世代と知らない世代、もしくは道内の地域差もあるのかもしれませんね。)
中毒性の高いテレビCM
1960年〜1998年にはテレビCMも放送されていたそう。Webで探してみてみたところ、一発で耳に残るクセになるCMソングが!空港売店で見かけた「出てきた出てきた山親爺〜♪」というフレーズはそこで歌われる曲の歌詞なのでした。
そんな山親爺のCMですが、2024年3月に新CMが誕生!元JUDY&MARYのVocal・YUKIが歌い、蔦谷好位置が編曲という北海道出身の豪華アーティストによって新しく生まれ変わりました。そのときにパッケージデザインもリニューアルされたそうです。
YUKIさんのライブでは、ファンによるアンコールの際に山親爺CMソングが歌われており、YUKIさん自身も歌うことがあったそう。そんな経緯からオファーがされ、制作に至ったとのこと。オファーを受けたYUKIさんは快諾、そして「この曲を心から理解できるのは彼しかいない!」ということで編曲に北海道出身の蔦谷 好位置氏をリクエストしたそう。郷土愛を感じるこのやりとり、胸が熱くなりますね!
どんな歌なのか気になる方のために、STVニュース北海道の動画を置いておきますね!かなり中毒性が高いので、ある意味閲覧注意かもしれません・・・。
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