国家公務員が行う野鳥フィッシング『長良川うかいミュージアム』(岐阜市)

岐阜県

岐阜市内を流れる長良川(ながらがわ)の名物といえば鵜飼!ウミウを操る「鵜匠」や獲ったアユで作る「鮎鮨」など古来より続く鵜飼文化を、デジタルコンテンツでとってもわかりやすく学ぶことができます。シーズン以外に訪れても鵜飼の様子を知ることができるのもポイントです。

2020/11/23(月)

戦国武将に愛された伝統漁法

鵜飼(うかい)というのは、鵜(う)という鳥を操り、川に住む魚を捕らえる伝統的な漁法のこと。

長良川の鵜飼の歴史は古く、702年の戸籍には、その記述があったといいます。戦国時代に入ると、織田信長がこれを気に入り、来客をもてなすためのイベントとして保護。江戸時代には尾張藩の庇護を受け発展、観覧船による鵜飼見学も人気となりました。

現在でも5/11〜10/15のおよそ5ヶ月にわたり、中秋の名月と増水時を除く毎日開催されています。鵜飼観覧船に乗れば、迫力ある鵜飼を間近で見ることもできます。

鵜飼を楽しく学べる博物館

長良川沿いに建てられた長良川うかいミュージアムは、文字通り鵜飼について知ることができる博物館。板張りの趣深い外観は、すぐ近くにある古い町並みが残る「川原町」のようです。

展示内容は、デジタルコンテンツや模型、見やすいパネルでとてもわかりやすい。感覚で知ることができるので、予備知識が無くても楽しめるミュージアムです。

1年を通して開館しているので、鵜飼が行われていない11月~4月にこの地に訪問しても、鵜飼の様子を存分に堪能できます。

圧巻のガイダンスシアター

展示室入口にあるシアタールームでは、鵜飼の様子を実写映像にて見ることができます。壁に広がるスクリーンは臨場感抜群。

篝火(かがりび)を灯し、アユを驚かせて獲る長良川の鵜飼。夜の闇の中にバチバチと火が燃える様は幻想的です。

中央には実物大の鵜飼舟が展示されており、そのまわりには水が流れる映像がマッピングされています。まるでテーマパークのような演出で見応えたっぷり。

 

ウミウってどんな鳥?

鵜飼で使われるのは、ウミウという鳥。日本に4種類暮らしいるウの仲間で最も大型で、全長85cmにもなります。館内には巨大ウミウ模型があり、とがったクチバシや大きな水かきなど、そのディティールをじっくり観察できます。

このウミウは全て、茨城県の日立市で捕獲されています。おとりのウを使い、やってきたウの足にカギ棒を引っ掛けて捕獲する「鵜取り」の様子もCGで見ることができます。ウにこちらの姿が見えないように作られた見張り小屋風の演出がリアル。

さらに、ウが水中でアユを捉える様子を映した映像もあります。鋭いクチバシでピンポイントにアユをくわえる様子は、めっちゃかっこいいです。

鵜がとったアユは、一瞬で息の根が止まるため鮮度が保たれます。鵜のクチバシの跡がついており、それが最高級の証とされていました。

獲ったアユは鮎鮨に!

さて、ここで気になるのは獲ったアユはどのように利用されていたのか。アユと聞くと塩焼きが真っ先に浮かびますが、他のメニューもあるのでしょうか?

ここ、長良川では「鮎鮨(あゆずし)」というメニューがありました。「すし」と付きますが、その内容は現在のお寿司とはかなり異なっています。

左側が平安時代の鮎鮨。アユのお腹に米を詰めて発酵させ、お米が溶けるほど発酵したら、取り出して鮎だけを食べていました。

右側は江戸時代の鮎鮨。お米を詰めた鮎を、さらにご飯で満たした桶に詰めて発酵。米粒が残る程度に発酵させた「なれずし」というタイプの鮨でした。

この鮎鮨は徳川家康を魅了し、それ依頼将軍への献上品となります。その結果、鵜飼は尾張藩によって保護されることになったとも言われています。(※鮨ではなく石焼きだったという説もアリ)

いったいどんな味がするのでしょうか?岐阜市内には、現代でも鮎鮨を提供している飲食店が数軒あるそうです。食べてみたいけど、慣れない発酵食品は、口に入れるのが少しコワイ。

国家公務員である鵜匠

鵜飼に従事する人のことを「鵜匠(うしょう)」と呼びます。篝火から頭を守る黒い烏帽子と水しぶきで体が冷えるのを防ぐ腰蓑がトレードマーク。

織田信長や徳川家康といった戦国大名からも重宝されてきた職業ですが、明治時代になると江戸幕府の庇護を失ってしまいます。
一時は衰退してしまうのですが、その後、なんと宮内庁の職員に任命されます。現在は「宮内庁式部職鵜匠」という格式のある肩書きを持つ、国家公務員となっています。

現代でも、皇室へ届けるための鮎をとる「御料鵜飼」が年に8回行われています。皇居への献上に加えて、明治神宮や伊勢神宮にも奉納されているそうです。

アクセスと営業情報

JR岐阜駅または名鉄岐阜駅からバスで約15分。車の場合は岐阜各務原ICから約20分。駐車場は、施設利用で90分まで無料。以降は100円となります。

岐阜城や名和昆虫館など、岐阜市内の観光スポットと近いのでセットでの訪問がおすすめです。

開館時間:9:00~19:00 ※10/16~4/30は17:00まで
休館日:無休 ※10/16~4/30は火曜
料金:500円

コメント

タイトルとURLをコピーしました