幻想的な和紙アートと四神まねきネコ『うだつの上がる町並み』(美濃市)

岐阜県

趣ある町並みが残る美濃の町は「うだつが上がる町並み」として知られています。伝統工芸の美濃和紙を用いたあかりアートや四神を模した招き猫など、伝統だけにとどまらない魅力が詰まった町です。

2020/11/22(日)

風情ある美濃の町

かつて商人の町として栄えた美濃の町。現在でも古い町並みが保存されており、情緒あふれる景観となっています。

名産である美濃和紙を利用した雑貨をあつかうお店やカフェが並ぶ、町歩き系のスポットとして人気の観光地。風情ある町並みの中で食べ歩きも楽しめます。

一周約1kmなので、ゆっくり歩いても20分ほどでひとまわり。

この美濃の町は「うだつの町並み」としても知られています。うだつとはいったい何でしょうか?

うだつの町並み

「うだつの上がらない」このコトバに聞き覚えがある方も多いはず。どうにも冴えない人を指して使われることが多いですが、うだつって何でしょうか?

うだつというのは、家屋の屋根の部分のこと。大屋根の両端の壁を高くし、そこに瓦を乗せています。

もともとは、火災の延焼を防ぐ防火壁でしたが、次第に装飾が施されるようになり、裕福であることの象徴となっていきます。うだつは「上がる」という動詞を使い、「うだつが上がる」は「富がある」という意味へと変化し、対する「うだつが上がらない」は「儲けが少ない」といった意味になりました。

この美濃には、日本で最も多い19のうだつが残っております。それぞれデザインが異なっているため、町歩きしながらうだつ巡りをしてみるのも楽しいです。

風情ある旧今井家住宅

そんな町の中にある古民家・旧今井家は、資料館として内部が公開されています。

開館時間:9:00〜16:30 ※10〜3月は16:00まで
休館日:12月~2月の火曜、年末年始
料金:300円

この住宅は、築290年の紙問屋の商家。そろばんや台帳が並び、商人の面影を感じる家屋となっています。

天井を見ると、煙突のような天窓が延びています。こちらは明かり取りの天窓。かつて囲炉裏があったときは煙だしとしても使用されていたそうです。

障子はもちろん美濃和紙製。よく見ると縦に一本筋が通っていますが、これはつなぎ目を縦にそろえない「千鳥張り」という張り方。障子だけでなく、ベニヤ板や石膏ボードでも使われる張り方です。

お庭には日本の音風景百選にも選ばれた水琴窟があります。柄杓で石が敷かれた部分に水をかけると、地中の瓶に水が滴り、清らかで涼し気な音色を奏でます。

幻想的なあかりアート館

毎年10月に開催されている「美濃和紙あかりアート展」は、伝統産業である美濃和紙を使用したオブジェをライトアップし、うだつの町並みに並べるという幻想的なアートフェスティバル。そんな展覧会の入選作品を展示しているのがこちらのミュージアム。

開館時間:9:00〜16:30 ※10〜3月は16:00まで
休館日:火曜、翌祝、年末年始
料金:200円

照明を落とした薄暗い館内。数百の応募の中から選ばれた作品たちは、いずれもライトアップされており幽玄な雰囲気です。

アーティスティックな作品が並ぶ様子はまるで美術館のようですが、中には親しみやすい作品も。

インパクトのある真っ赤なザリガニ。「えものはどこだ!」と題された作品。小学生部門の大賞に輝いた作品です。

美濃和紙で作ったダンボール箱に入ってるのは赤く輝く飛騨桃。「幸せの香り〜」というタイトルを見てからは、なぜか桃の香りを感じるようになりました。

期間中は町中に飾られるため、うだつの町に溶け込んで情緒あふれる光景となります。館内には、そんな雰囲気を感じられるように、大きな写真パネルも設置されていました。

町に隠れた4体の招き猫

四神というコトバをご存じでしょうか。青龍、白虎、朱雀、玄武の四体の霊獣で、それぞれ東西南北を司る守護神として考えられています。

この美濃の街を作り上げた戦国武将・金森長近は、四神の思想で町をつくったと伝わっており、それにちなんでこの美濃の町の四方向には四神が設置されています。

通常、青龍はリュウ、白虎はトラ、朱雀はトリ、玄武はカメの形をしているのですが、ここではなぜか招き猫に統一されています。

お腹には、それぞれが司る四神が壁画のようなタッチで刻まれています。招き猫のデザインもそれぞれ異なっているのもポイント。白虎は黒く、朱雀はスマート、玄武は少しずんぐりしており、青龍はなぜかうだつが上がっています。

また、美濃の町では「招き猫のさんぽ市」というイベントも開催しています。各店舗がネコにちなんだ商品を用意したり、切り絵体験やライブイベントも開催されるお祭りです。

アクセスと駐車場

うだつの町並みがあるのは、岐阜県南部に位置する美濃市。車の場合、東海北陸自動車道の美濃ICから10分ほど。岐阜駅から30分、名古屋駅から1時間ほどでアクセスできます。

長良川鉄道の美濃市駅から徒歩15分ほどと、車が無くてもアクセス可能です。

駐車場は、町中に「加治屋町市営駐車場」「町並みギャラリー隣の駐車場」と2ヶ所ありますが、どちらも台数が少なめ。土日祝日などに訪問する場合は、観光ふれあい広場駐車場が駐車台数が多く停めやすいです。

町中から離れているように感じますが、徒歩5分ほど。料金も100円とリーズナブルです。

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