赤いカッパに空飛ぶ大天狗!妖怪だらけの『辻川山公園』(福崎町)

兵庫県

妖怪の町とした徐々に知名度を高めている福崎町。辻川山公園では池から出現する真っ赤なカッパに、逆さ吊りで空中移動する大天狗など様々な妖怪の姿が!可愛らしさを全て切り捨てたリアルな姿は、一度見たら忘れられないほどのインパクトです。

訪問日:2018/1/13(土) ※掲載の写真・情報は訪問時のものです。

妖怪のまち・福崎町

日本の妖怪スポットといえばどこが頭に浮かぶでしょうか。様々な妖怪の像が立ち並ぶ‎水木しげるロードが人気な鳥取県の「境港」、遠野物語にまとめられた様々な民話が残る岩手県の「遠野」、児啼爺をはじめとした多くの妖怪伝説が残る徳島県の「大歩危小歩危」など、妖怪を観光資源としている地域は日本各地に存在しています。

今回ご紹介する兵庫県の福崎町(ふくさきちょう)も、そんな妖怪に関わりの深いまち。「そう言われてもぜんぜん妖怪のイメージが無い・・・」と感じる方もいるかもしれません。ということで、福崎町の中でも、最も妖怪濃度の濃い辻川山公園へ行ってみました。

溜池を中心としたのどかな公園。特に変わった様子は無さそうですが、何もいないように見える池からはブクブクと水の音が・・・!何かがいる!!

池に潜むカッパ

ブクブクと現れたのは真っ赤な姿をしたカッパ!!

このカッパの名前は「河次郎(がじろう)」。一度見たら忘れられないほどリアルな造形で、かなりのインパクト。テレビ等でも何度も特集されているので、「見たことある!」なんて方も多いのでは。

顔を出すのはわずか一瞬、すぐに池の中へ消えてしまいます。カッパの行動パターンは規則正しく、9:00~17:00の毎時00/15/30/45に出現します。あまりよく見れなかったので、あと15分待ってもう一度見ようかな。そう思った瞬間・・・・

またブクブクと水の音が!河次郎ふたたび!

さらに、その後ももう1回!どうやら3回連続で出てくるみたい。もし1回目でちゃんと見れなくてもあきらめないで。

※写真は両サイドに子ガッパを連れた3匹体制ですが、2021年頃より子ガッパは出現しなくなっているそう。親元を巣立っていったのでしょうかね。

小屋に潜む大天狗

公園を少し進むと、背の高いちょっと不思議な小屋が。カッパが水に帰っていった直後、こちらにも動きが!!

小屋のドアがギィィーっと開き、何かが出てくる!!!と思ったのですが、すぐにまた閉まってしまいました。あれ?不発でしょうか!?

すると『そろそろ出るで』という低い声が響き渡る・・・!なんと最初に登場予告を行ってくれるのです。

その数秒後、再びドアが開いて宙づりの大天狗が登場。

カタカタと進む天狗は私の真上を通過。手にはどらやきを持っており、逆さまで食事するという文字通り人間離れしたワザを披露してくれます。

奥まで行った天狗は、また戻ってきます。空中で少しだけ停止した後、小屋へ帰っていく天狗。また低い声が響き渡る。

『わし、たまに止まるで』

そして、河童と同じようにサービスの2回目登場。再び小屋に戻ると、天狗の心の声が響き渡る。

『もう、おろしてくれへんか』

天狗の行動パターンは9:05~17:05の毎時05/20/35/50。河童の5分後に登場するので、合わせて見るのがおすすめです。なお、強風などの天候次第ではお休みしていることもあるそうです。

他にもたくさんの妖怪が

辻川山公園、これで終わりではありません。他にも妖怪が多数暮らしています。

子どもをたくさん連れた母性あふれる豚さんは「森に吹く風」。初めて見るタイプの妖怪です。

いろんな生き物が合体したような異形の姿の「招き鵺」。招き猫のように小判片手に、手をこまねいています。でも、かわいさのかけらもありません。写真では隠れていますが、股間にカメが仕込まれているのでお見逃しなく・・・!

風格のある天狗は「天狗の森の妖翁」。青い眼を見ると、天狗は西洋人説もあながち間違いではなさそうな気がしてきました。

これらの妖怪たちは、全国妖怪造形コンテストの歴代最優秀賞受賞作品。銅像に見えますが、FRPモデルとのこと。2015年より毎年行われているので、1年に1体ずつ妖怪が増えていきます。

なぜ妖怪が・・・?

なぜ福崎町にこんなに妖怪がいるのか、それはこの地が民俗学の父といわれる柳田國男さんの出身地であることに因んでいます。

池の畔にはもう1匹の河童、「河太郎(がたろう)」がいます。こちらは皿の水が乾いてしまい、動けなくなってしまったようです。カッパたちは彼の著書『故郷七十年』に登場するカッパがモチーフになっており、國男さんの帰りをひたすら待ち続けているのだそう。

カッパをはじめとした多くの妖怪は、福崎町役場の地域振興課職員であった小川知男さんが手掛けたもの。もともと福崎町には「フクちゃんサキちゃん」というキャラクターがいましたが、このままではインパクトにかけるということで、リアルな妖怪を計画。小川さん自身が「小川 徹宗」という名で活動する造形作家でもあったため、自らがデザインした妖怪を出現させます。

当初は反対の声も上がったそうですが、その怖すぎる姿が大きな話題となり、結果的に福崎町の名は全国に知れ渡ることに。町へ訪れる観光客は倍以上へと増加していきました。

公園以外にも妖怪

辻川山公園の最寄り駅、福崎駅にも河童がいました。こちらが元祖カッパキャラの「フクちゃんサキちゃん」ですね!

駅前のベンチにも河次郎いました!見えない誰かと将棋中。河童は相撲が好きといいますが、将棋もさすのですね。

まるで水族館のアザラシの如くカッパが登場する円形水槽「ガジロウチューブ」も新しく設置されているようです。福崎町の妖怪濃度は年々高まっております・・・!

さらにさらにリアルな妖怪が腰かける「妖怪ベンチ」が町内各地に20基も設置されています。サラリーマン風のルックスで現代社会に馴染んでいる姿はとてもコミカルな大天狗の妖怪ベンチ。何を調べているかは、実際に現地でお確かめください・・・!

■お昼ごはんに「もちむぎ」もおすすめ!
辻川山公園の周囲には柳田國男・松岡家記念館、柳田國男生家、神崎郡歴史民俗資料館、鈴の森神社などの観光スポットが集まっています。 レストラン&お土産屋さんの「もちむぎのやかた」では、名物のもちむぎ麺を食べることができます。太さ的にはソバ、麺の見た目はうどんに近い不思議な麺。食べてみるともっちもち!名前に偽りありません。コシともちょっと違う、もちもち食感をぜひ体験してみてください。

アクセスと営業情報

辻川山公園の最寄り駅は姫路駅から24分の福崎駅。最寄りといっても駅からは遠く、バスもないため徒歩30分かタクシーとなります。

2020年より待望のレンタサイクルがはじまったようです!福崎駅前の観光交流センターで貸出しているとのことで、福崎町観光協会のHPには妖怪サイクリングマップも掲載されていました!

福崎妖怪ベンチ|福崎町観光協会オフィシャルWebサイト
播州福崎町。豊かな自然の風物に囲まれた、小さな町。ここには目を見張るほどの“絶景” などないけれど、じっと耳を澄ませば、山あいから、川辺から、田畑から、くさむらから、人々の営みの隙間から“人ならざるもの” の囁きが聞こえてくる町。風が語り、水が語り、人が語る。ようこそ、万物が語りし福崎へ。

活動時間 河童:9:00~17:00(毎時00/15/30/45)
天狗:9:05~17:05(毎時05/20/35/50)
公式サイト http://www.town.fukusaki.hyogo.jp/0000002183.html

※掲載の情報は2023年1月時点のものです。最新情報は公式HPにてご確認ください。

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