常呂遺跡めぐりのスタート地点『ところ遺跡の館』(北見市)

道東

北海道北見市常呂(ところ)町では、オホーツク文化や擦文文化など、本州とは異なる文化の遺跡が多数見つかっています。ところ遺跡の館は、そんな独自の文化を紹介するガイダンス施設。遺跡めぐりをするなら、まずここに来て軽く勉強するのがおすすめです。

訪問日:2023/10/1(日) ※掲載の写真・情報は訪問時のものです

遺跡を学べるミュージアム

ホタテとカーリングで知られる常呂(ところ)町。実は、町内各地に古代遺跡が残る「遺跡のまち」でもあるのです。

そんな古代文化について知ることができるのが「ところ遺跡の森」。「サロマ湖 鶴雅リゾート」のすぐ目の前にあり、「ところ遺跡の館」というガイダンス施設も備えています。

館内には遺跡から発掘された出土品や、再現ジオラマが並んでいます。わかりやすいパネルもあるので、各遺跡を巡る前に一番最初に訪問するのにおすすめ。

館内中央には、住居をイメージしたデザインの円形シアターもあります。約9分の常呂遺跡解説映像を見ることができるので、とりあえず最初に見るとその後の展示の解像度が上がります。

北海道独自の文化

本州では旧石器時代、縄文時代、弥生時代、古墳時代と続いていきます。歴史の教科書でもおなじみの流れです。一方、北海道は少し異なる文化が発展していきます。本州では縄文から弥生へ変わり、狩猟から稲作へとシフトチェンジしていきますが、北海道では引き続き狩猟や漁労が続く「続縄文文化」が続きます。

7世紀頃になると、続縄文文化は「擦文文化」へ変化。表面に刷毛目が付けられ、擦ったような文様のある「擦文(さつもん)土器」が広く造られていきます。この擦文土器は土師器(はじき)」の影響を強く受けていることから、続縄文時代に本州の影響が加わった文化であると考えられています。

さらに、道東地域には樺太や南千島に暮らす海洋漁猟民族が集団で北海道に移住。海洋民の文化である「オホーツク文化」が流入してきます。このオホーツク文化が擦文文化が取り入れられた「トビニタイ文化」という独自の文化も発展します。

13世紀頃になると、鉄器を用いたアイヌ文化が誕生。そこから現代に至るまで続いて行きます。

常呂では旧石器時代からアイヌ文化まで、非常に幅広い時代の遺跡が見つかっており、その期間はざっと25,000年・・・!!とんでもない歴史の重みを感じます。

変化していく住居

そんな文化の変遷を体感できるのが住居の変化。館内には、それぞれの文化期の住居の骨組み模型が展示されており、見比べることができます。

円形の竪穴式住居は、縄文時代のもの。内部に柱の無いシンプルな構造で、一般的にイメージするThe 竪穴式住居といった感じです。

こちらは擦文時代の竪穴式住居。一見するとそれほど変化しているようには見えませんが、円形だった縄文時代と比べて四角形に変わっています。内部に柱も建てられており、10m四方の大型のものも造られるようになりました。よく見ると、入り口には「風除室」のようなスペースもあります。雪国ならではの生活の知恵が育っているのを感じますね。

オホーツク文化では、このような姿に。大きさももちろんですが、六角形というかたちも特徴的。さらに、多雪時に埋まってしまうことを想定して、屋根にも出入口が作られていたそうです。

この住居の変化、特にカタチを覚えておくと、実際の遺跡を巡る際に非常に楽しめるようになります・・・!!

ユニークな動物彫刻

様々な出土品が並ぶ中、なんだか不思議なデザインのものを見つけました。これ、いったい何をモチーフにしているかわかりますか?

正解は、ラッコ!擦文文化期にクマの牙を削って作られた彫像。ラッコの毛皮は交易品として重宝されていました。

こちらの柿の種みたいなものはオットセイの彫刻。しっぽに穴が空けられており、ペンダントとして使用されていたと考えられています。

クマの顔が彫られたシカの角も展示されています。この不思議なカタチのものは、儀礼に使うという指揮杖であるそう。

この他にも多数の動物彫刻が展示されています。モチーフがわかりやすい作品を見ると、原始時代や古代の人々に親しみを感じてしまいますね。

独特な埋葬法「被甕」

こちらのオホーツク土器、その用途は食品の保存や貯蓄ではありません。

被葬者にかぶせたものであり、このような風習を被甕(かぶりがめ)と呼ぶそう。

そばには、わかりやすいイラスト付きのパネルも展示されていました。

イメージしてたのと違う・・・!!!

てっきり頭にすっぽりと被せるものだと思っていましたが、顔面の上に載せるような感じですね。

この土器、焦げ付いたあとなども見れることから、日用していたものを転用していたと考えられています。故人が作成したものや愛用していたものを一緒に埋葬する、といった意味合いもあったのかもしれませんね。

アクセスと営業情報

車の場合は女満別空港から約50分、JR北見駅から約60分、JR網走駅から約45分。

「サロマ湖 鶴雅リゾート」や「ネイパル北見」に宿泊の場合は、徒歩でもアクセス可能です。

開館時間 9:00~17:00
休館日 月曜、翌祝、年末年始
料金 280円
公式サイト https://www.city.kitami.lg.jp/administration/education/detail.php?content=6506

※掲載の情報は2023年9月時点のものです。最新情報は公式HPにてご確認ください。

コメント

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