北見市北部に広がる常呂(ところ)町では多数の遺跡が見つかっており、旧石器時代からアイヌ文化までの当時の人々の暮らしの跡が残されています。整備されている遺跡や案内板なども設置されており、気軽に遺跡めぐりを楽しむことができます。
常呂町の遺跡めぐり
北海道北見市に属する常呂町には、旧石器時代、縄文時代、続縄文時代、擦文(さつもん)時代、オホーツク文化、アイヌ文化と、実に25,000年という非常に長い期間に渡る遺跡が残されています。町内には多数の遺跡がある中で、今回は「①ところ遺跡の森」「②トコロチャシ跡遺跡」「③常呂貝塚」「④常呂川河口遺跡」「⑤栄浦第二遺跡」と5ヶ所をめぐってきました!
ここで見ることができる北海道独自の文化、オホーツク文化や擦文文化については、「ところ遺跡の森」にあるガイダンス施設「ところ遺跡の館」でいろいろと知ることができます。一番最初にこちらに訪問してからめぐるのがおすすめです。
▶詳しくは前回の記事にて
①ところ遺跡の森
遺跡めぐりのスタートは「ところ遺跡の森」。ここは縄文時代、続縄文時代、擦文時代とそれぞれの村の遺跡が見つかっています。
「ところ遺跡の館」でいろいろ学んだ後は、森の中を歩いて遺跡見学へ。すぐに見えてくるのは、木々に隠れるように建つ竪穴式住居の姿。「擦文の村」では、擦文時代の住居が復元されています。円形ではなく四角形に造られているのが、擦文時代ならではの特徴です。
この住居は中に入ることも可能。「炉」や「かまど」が再現されており、当時の暮らしぶりをイメージしやすいです。かなり大型の住居であるため、複数の家族が共同生活していたのではないかと考えられています。
②トコロチャシ跡遺跡
ところ遺跡の森から車で15分ほどのところには、トコロチャシ跡があります。チャシというのはアイヌの言葉で「柵囲い」という意味。砦、祭祀場、見張り台などに活用された施設であるそう。建物跡を囲う濠の姿から、その規模感を読み取ることができます。
ここは、もともとオホーツク文化や縄文時代の集落のあとに、アイヌによってチャシが建てられた場所。それぞれの時代の遺跡が残る複合遺跡であるため、オホーツク文化の竪穴式住居跡も残されています。
一見すると丸いくぼみですが、よく見ると円形ではなく六角形。オホーツク文化らしい姿をしています。
このトコロチャシ跡遺跡群は、公園として整備される予定とのこと。訪問時は草が茂っている箇所も多かったですが、きっとわかりやすく整備されることでしょう。
③常呂貝塚
トコロチャシ跡から1kmほど、常呂川沿いにある常呂貝塚。土手の一部が削れた部分には、白い貝ガラがびっしりと詰まる姿を見ることができます。縄文時代中期の貝塚であり、道東北部最大規模であるそう。
貝塚というのは、不要な貝殻や動物・サカナの骨などを捨てたいわゆるゴミ捨て場。そこに捨てられているものから、当時の人の食生活などを知ることができる貴重な遺跡です。
この常呂貝塚で一番多く見ることができるのはマガキ。さらにハマグリの貝ガラも混じっていることから、このあたりの気候が今よりも温暖であったと考えることができます。
④常呂川河口遺跡
常呂貝塚から常呂川沿いを1kmほど北へ進むと、常呂川河口遺跡を見ることができます。
緩やかな川が流れる長閑な風景ですが、川の対岸部分からは多数の住居跡が見つかっています。縄文時代、続縄文時代、擦文時代、オホーツク文化、アイヌ文化と非常に長い時代に及ぶ遺跡が見つかっていることからも、生活に適した場所であったのでしょうね。
⑤栄浦第二遺跡
ところ遺跡の森とトコロチャシ跡遺跡のほぼ中間あたりにある栄浦第二遺跡は、原生林の中に多数の住居跡が残る大きな遺跡。
ここもまた様々な時代の遺跡が混在しており、特に擦文文化とオホーツク文化の住居跡が混在している点がポイントであるそう。
ここではオホーツク文化の墓地も見つかっています。先ほど「ところ遺跡の館」の記事で衝撃だった「被甕(かぶりがめ)」も、ここで見つかったものもあるそうです。
まわってみた感想
今回めぐった5ヶ所のうち、一番西の「ところ遺跡の森」から東の「トコロチャシ跡遺跡」はおよそ10km。普通の自転車でもめぐれない距離ではありませんが、日陰は少ないので夏場は少々ハードかもしれません。
今回私はFAMツアー内のプログラムでめぐったので、電動キックボードを手配していただきとっても快適でした!
「ところ遺跡の森」の復元住居以外は、草が生い茂った中にあるため言われないと気づきにくいものが多かったです。ツアーなので解説を聞きながらめぐることができましたが、個人で巡る場合はある程度の知識と想像力が問われそうです。しつこいですが「ところ遺跡の館」でどれくらい学べるかがカギになりそうな予感。前述の通り、トコロチャシ遺跡の整備が進んでいるそうなので、もしかしたら復元図や復元模型なといったイメージしやすい仕掛けが設置されるかもしれません。
そんなわけで遺跡めぐりはここでおしまいですが、実は合間にホタテなどのご当地グルメも挟んでおります!ということで、次回は常呂町のグルメに焦点をあててお送りしたいなと思います~。
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