奇妙で楽しい屋外アートの世界『ときわ公園 彫刻の丘』(宇部市)

山口県

2年に一度開催されるUBEビエンナーレ。ときわ公園の彫刻の丘には、その作品が多数展示されています。ユニークなものから不思議なものまで、バリエーション豊かな作品を、開放的な水辺の公園で自由に鑑賞できます。

2020/9/22(火)

UBEビエンナーレとは?

明治時代より、宇部は石炭化学の街として発展してきました。しかし、工業都市として繁栄する一方、その弊害として発生する環境汚染などの問題も抱えていました。

人々の生活環境を良くしようと緑化運動に取り組みますが、その際に残ったお金で、宇部新川駅前の噴水に一体の彫刻が設置されます。

それが好評であったことから「町を彫刻で飾る運動」がはじまり、その3年後にあたる1961年、日本で最初の野外彫刻展「第1回宇部市野外彫刻展」が開催されます。日本国内におけるパブリックアートの先駆けであり、近年各地で見られる「アートによる町おこし」の元祖でもありました。

彫刻展はその後も継続、1965年からは2年に1度のビエンナーレ形式となり、2009年からは「UBEビエンナーレ」という名前が広まります。審査員によって選ばれた作品のうち、1位と2位のものは宇部市が買い取り、市街地や空港など市内各所に設置されます。

今回訪問したときわ公園も、そんな彫刻展示場の1つ。園内にあるUBEビエンナーレ彫刻の丘には、作品があちこちに並びます。

青空の下のアート

湖から爽やかな風が吹く芝生の丘に並ぶ作品群。天気の良い日はとっても清々しい中でアート鑑賞が楽しめます。

時のシルエット by 新宮晋
3つの白い帆が組み合わさった三角形が3つ、合計9枚の帆がそびえる。回転軸が複数設置されており、動きのある作品です。風を受けてゆったりとまわっており、眺めていると穏やかな気持ちになります。

ウォッチング ザ ウォッチャーズ by アンドレア・トンプソン
錆びついた鉄板が並ぶ小さな迷路のようなルックス。よく見ると鍵のカタチをした穴があちこちに空いています。相合傘や名前の落書きが多数刻まれており、意図していたのかは定かではありませんが、ある種の参加型作品のような体をなしています。

無題 No.95 1985 by 田中米吉
シルバーの柱の上に乗った錆の直方体。柱は中心を捉えておらず、見る角度によっては非常にアンバランスな印象になります。中身は詰まっているのか、空っぽなのか、そんなことが気になります。

温羅 by 西平孝史
不思議なデザインの頭をした、まるで道化のような作品。温羅(うら)というのはかつて岡山県の吉備地方に暮らしていたとされる鬼で、桃太郎に出てくる鬼の正体ともいわれています。異国からやってきた渡来人との説もあり、この独特のファッションとカラーリングには、その雰囲気がよく表れています。

 

宇部ならではの工業的な作品

石炭で栄えた宇部。そんな工業の街を象徴するかのようなインダストリアルな雰囲気の作品もあります。

蟻の城 by 向井良吉
旅行雑誌などでもよく写真が掲載されている、ときわ公園のシンボルとも呼べる作品。チェーンや鉄骨など、工業を連想される素材が組み合わされた姿は、工業の町である宇部を象徴する出で立ちです。展示作品はのラインナップ毎年少しずつ変化していますが、この作品だけは不動の地位を築いています。

大地の饗宴 by 眞板雅文
植物のように地面から生える鉄骨が不思議な作品。作品のかたわらに木が生えているのですが、これはあえて切らずに木が成長することで作品と一体化していくことを狙っているようです。

PONKO 94 by 本郷重彦
車輪のついた蒸気船のようなカタチをした風車で、高さは12mとかなり大きいです。風を受けるとあちこちのパーツが回転するのですが、全て回るにはかなりの強風が必要です。

PERMUTATION by ピョートル・ツフォルドスキー
金属のワイヤーや鉄パイプを組み合わせた作品。無機質な素材ですが、ゆるやかなカーブを描く曲線に切り取られているため、不思議と有機的。今にも動き出しそうな勢いを感じます。

 

見てて楽しくなってくるコミカルな作品

難解な作品ばかりではなく、子供も喜びそうなキャッチーで楽しい雰囲気の作品もあります。

ク・ラ・ゲ・だぞー by 仲田守
まるでキノコのように地面から生えるクラゲで、タイトルからもキャッチャーさがあふれています。「型にはまらず自由に生きてほしい」という子供へ向けたメッセージが込められています。

組み立てキット動物 by ハンス・ショール
ブレーメンの音楽隊のように積み上がった、コミカルな動物たち。少し歪んだ動物の表情からは、どことなくピカソのゲルニカのような奇妙さも感じます。カラフルな動物は、よく見るとそれぞれ色々な生き物が混ざったキマイラ状態。「組み立てキット」というのは、人間による品種改良を示しているのかもしれません。

みんなで微笑む(虹色の椅子) by 志賀政夫
36脚のカラフルな椅子が並ぶ。この椅子は実際に座ることができ、さらに回転させることもできる楽しい作品です。大人数で座って記念撮影したら楽しそう!36人集まれば最高なのですが、なかなか難しいですね。

深夜バス by 中出武彦
乗客のほとんどいない夜のバス・・・哀愁を感じるテーマですが、太陽の光が降り注ぐ中で見ると、なんだか陽気に感じます。白く輝くバスは、どこかピクニックにでも行きそうな雰囲気。

後ろから2列目には、乗客が一人だけ乗っていました。この人はどこかへ出かけるのか、それとも地元に帰るのか。あれ、運転手はどこへ行ったのでしょうか?

おまけ:夜に来ると・・・

ときわ公園は、夜でも訪れることができるスポット。屋外展示である彫刻の丘の作品は夜間でも鑑賞することができます。(※写真は2014年に撮影したものです)

暗闇でも見つけやすい蟻の城。フラッシュを炊くと、その朱色のボディがよりいっそう鮮やかに写ります。

暗闇から突如現れるPERMUTATION。なんとなく未知の生物に襲われたような気分です。

深夜バスこそ、夜に見るのに相応しい作品。夜行運転の寂しさが存分に滲み出ています。たった一人の乗客も、夜に見ると眠っているように思えてくるので不思議。

もしかして、人がいなくなったあと夜の公園を動きまわっているのでは・・・そんなナイトミュージアムのような妄想が広がります。
なお、夜のときわ公園はかなり真っ暗で道もわかりにくいため、初見での夜間訪問はおすすめしません。日中行ったことがある方も、ライトの準備、そして歩きやすい靴をお忘れなく。


彫刻を鑑賞しながら歩いていると、市内の団体と思わしき老若男女のグループが、次々と彫刻の掃除をはじめました!雑巾やブラシでせっせと磨いている様子を見ていると、こうやって維持しているんだなぁと感心してしまいました。

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この記事を書いた人
chihiro

国内旅行が大好き!車中泊やLCCを駆使して、離島と水族館は100以上・神社仏閣は300以上訪問。都道府県はあとちょっとで3周完了。スケジュール詰め込みがち。実はプログレとソウルが好きなベーシスト。

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