日本の領土について考える場所『領土・主権展示館』(港区/虎ノ門)

東京都(23区)

日本の領土に関して起こっている問題にフォーカスをあてた少々特殊なミュージアム。北方領土、竹島、尖閣諸島という3つのエリアについて、日本の領土である歴史や、問題となった経緯などがわかりやすく展示されています。

訪問日:2023/8/19(土) ※掲載の写真・情報は訪問時のものです

ディープなミュージアム

虎ノ門にある領土・主権展示館。非常に堅い印象の名前が示す通り、ここは領有権問題に関する展示を行う博物館。

日本国政府の内閣官房領土・主権対策企画調整室により2018年に日比谷公園の市政会館内に開設され、その後2019年5月に霞が関の虎の門三井ビルディングに移転。展示面積7倍にてリニューアルされました。

ここで展示されているのは北海道の「北方領土」、島根県の「竹島」、沖縄県の「尖閣諸島」の3つの地域。

館内はエリア毎に展示室が区切られているという、わかりやすいつくり。入館料は無料なので、気軽に立ち寄りやすいミュージアムです。

いずれもニュースなどで耳にすることが多い島ですが、具体的にどのような島なのか、どのような経緯があったのか理解している人は少ないハズ。さあ、ここに来たからにはしっかりと学んでいきましょう!

①北方領土コーナー

北方領土として問題となっているのは、択捉島、国後島、色丹島、歯舞群島からなる北方四島のこと。

太平洋戦争が激化していた1945年の8月9日、ソビエト連邦は「日ソ中立条約」を無視して対日参戦を開始。8月15日に日本が降伏したのち、8月28日〜9月5日にかけて北方四島を占領してしまいます。現在においても、その不法占拠は続いております。

ここでは、北方領土問題の経緯を紹介したパネルや、北方領土の写真、そこで暮らしていた人々の生活の道具が展示されています。

プロジェクションマッピングもあり、「北方領土問題の経緯」「豊かな自然の北方領土」「北方領土での暮らし」という3つのプログラムが上映されます。温泉があること、トドが生息していること、東洋一と言われた色丹島の捕鯨など、領土問題さえなければ美しい離島の風景として楽しむことができる内容です。

当時、北方四島に暮らしていた3,124世帯、17,291人もの人々はソ連軍によって強制退去させられました。展示室には、島で暮らしていた人の実際の声を聴くことができる映像もあります。ロシア占領の様子、収容所での生活、樺太での抑留、引き揚げの悲劇・・・。実際に人の口から放たれる言葉は、Web上のテキストとは重みが違います。

②竹島コーナー

島根県に属する竹島は、隠岐諸島の北西約158kmの海域に浮かぶ小さな島です。江戸時代には近くにある大きな島「鬱陵島(うつりょうとう)」とともに米子の商人である大谷家と村川家が漁を行ったり、停泊地として利用していました。

サンフランシスコ平和条約発効直前である1952年1月、韓国は海洋主権宣言を行い、竹島を取り込んだ「李承晩ライン」を設定。実力行使によって不法占拠してしまいます。

その後、何度も議論が行われますが、その結果は進展せず。1954年、1962年、2012年と国際司法裁判所への付託が提案されましたが、韓国はこれを拒否しているそう。

竹島コーナーでは、そんな竹島の歴史や韓国との交渉の経緯が紹介されています。モニターでは「韓国の不法占拠後の対応」「韓国の主張」などの映像が流れます。

こちらは竹島にて捕獲されたニホンアシカの剥製標本。竹島には多くのニホンアシカが棲息していましたが、乱獲によりその数は減少。1975年に2頭の目撃例があったものの、それを最後に報告はなくなっているため、絶滅したと考えられています。

③尖閣諸島コーナー

石垣島の北に浮かぶ無人島群で、魚釣島、北小島、南小島、久場島などの島から構成されています。明治時代に政府は沖縄県の所轄であることを決定、正式に日本の領土として編入しました。

戦後、米軍の占領下に置かれますが、1971年6月の沖縄返還協定により日本へ変換されます。しかし、同年12月に中国は尖閣諸島を自国領と主張。過去にこのような主張はなく、東シナ海に石油埋蔵の可能性があるという調査結果を受けての行動ではと考えられています。

ここでは、尖閣諸島が日本に編入されていく歴史、明治時代に古賀辰四郎によって開拓された様子、アメリカ施政下での様子などが紹介されています。

モニターで流れるのは「アホウドリ、40年前の尖閣諸島上空を飛ぶ」。これまでのコーナーでは外交問題がメインだった映像展示、ここではうってかわって自然の映像。優雅に飛び交うアホウドリにとても癒やされました。

なごむキャラクター

さて、内容的にどうしても重い気分になってしまう展示ですが、そんな雰囲気を少しだけ和ませてくれるのがキャラクター。

こちらは北方領土のイメージキャラクター「エリカ」。エトピリカという北方領土などの島嶼に生息する海鳥をモチーフにしています。お気に入りスポットは「国後島の材木岩」と「択捉島のラッキベツの滝」とのこと。

こちらは竹島のイメージキャラクター「りゃんこ」。竹島はかつてりゃんこと呼ばれていたのが名前の由来。さきほど剥製が展示されていたニホンアシカがモデルのようです。

尖閣諸島にも「アルバ」というイメージキャラクターがいます。まんまるとしたシマエナガみたいな姿ですが、実はアホウドリ。おそらく、英名である”Albatross”(アルバトロス)から名付けられているのでは。

企画展も開催

2階部分では企画展も開催。訪問した際はこちらが開催されていました。

企画展「日本の島と海と空を守る仕事」
期間:2023年7月25日(火)~9月24日(日)

日本の領域を守る、陸上自衛隊、海上自衛隊、航空自衛隊、海上保安庁、など様々な仕事が写真つきパネルで紹介されています。

展示室の隣にはシアタールームもあり北方領土、竹島、尖閣諸島に加えて、企画展に関連する映像も見ることができます。

常設展示にて領土問題の経緯を理解した後に、「いま、誰が守っているのか」にフォーカスした展示を見るとなんとも感慨深いものがありました。

見学所要時間ですが、展示室はそれほど広くないので、さらっと見るだけなら20分ほど。それぞれの映像コンテンツをしっかり見ていくならば、1時間は必要かと思います。

アクセスと営業情報

・東京メトロ 銀座線の「虎ノ門駅」3番出口より徒歩1分
・東京メトロ 日比谷線の「虎ノ門ヒルズ駅」A2出口より徒歩5分
・東京メトロ 丸ノ内線・日比谷線・千代田線の「霞ケ関駅」A13出口より徒歩5分

開館時間 10:00~18:00
休館日 月曜、年末年始
料金 無料
公式サイト https://www.cas.go.jp/jp/ryodo/tenjikan/index.html

※掲載の情報は2023年8月時点のものです。最新情報は公式HPにてご確認ください。

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