ゆったりとした時間が流れる出羽島は、徒歩でも1時間ほどで一周できてしまう小さくて穏やかな離島。ノスタルジックな漁村集落は国の重要伝統的建造物群保存地区にも選ばれています。そんな島内には、現代社会の必須アイテムとも呼べる”あるもの”が1つもありません。
出羽島ってどんな島?
出羽島は、牟岐町(むぎちょう)に属する徳島県の離島。面積は約0.4㎢、周囲約4kmの小さな島で、徒歩で気軽にめぐることができます。
漁業が中心の島で、江戸時代後期から昭和初期にかけて鰹漁のための移住者によって繁栄。最盛期には1,000人を超える人が住んでいたとされています。その頃に形成された伝統的な漁村集落が今でも残されており、平成29年には国の重要伝統的建造物群にも選定されました。
現在は沿岸漁業を中心に、約70人ほどの人が暮らしています。レトロな情緒あふれる島で、徒歩で島内散策しながらのんびりとした時間を過ごすのにぴったりの離島です。
出羽島へのアクセス
出羽島行きの船は牟岐港から乗船することができます。まず、牟岐港へのアクセスがなかなかハード。徳島駅から電車で120分の牟岐駅へ行き、そこから徒歩約8分。車の場合はもう少し短く、徳島市内から90分ほどかかります。
ただし牟岐港からの所要時間は15分、料金は220円と、港まで来てしまえばかなりお手軽な離島なのです。
気になる時刻表はコチラ。(※2022年2月時点の情報です。最新情報はコチラでご確認ください)
1便 | 2便 | 3便 | 4便 | 5便 | 6便 | |
牟岐港発 | 7:00 | 8:20 | 11:10 | 13:30 | 16:00 | 17:20 |
出羽島港発 | 6:30 | 7:25 | 9:00 | 12:20 | 15:00 | 16:35 |
1日6往復もあると油断してはいけません。5便16:00と6便17:20で日帰り観光は不可。日帰りでサクッと訪問するなら、1~4便を利用したこの6パターンのいずれかになるかと思います。
①1便7:00ー3便9:00(滞在1時間45分)
②2便8:20ー4便12:20(滞在3時間45分)
③3便11:10ー4便12:20(滞在55分)
④3便11:10ー5便15:00(滞在3時間35分)
⑤4便13:30ー5便15:00(滞在1時間15分)
⑥4便13:30ー6便16:35(滞在2時間50分)
今回私は他の予定との兼ね合いもありため、⑤のショートコースにて訪問することにしました。時間に余裕がある方は、これ以外にも1便や2便で行って5便や6便で帰る、1日たっぷり滞在コースも良さそうです。
島へ向けて出発
こちらが出羽島へ向かう連絡船の大生丸(おおいけまる)。小ぶりな船ですが、座敷シートもあり快適です。
わずか15分の船旅を終えると島に到着!公衆トイレ、自販機はあります。
どこへ行くかはノープランで来てしまったので、港に掲示されていた島内マップを見て行き先を決めることにしました。
東廻り遊歩道(0.7km)、中央遊歩道(1.0km)、西廻り遊歩道(1.8km)の3本の道が書かれていますが、全て灯台へと向かっている。とりあえず灯台へ向かえば良いのですね!
現在、東廻り遊歩道は通行止めのため、中央遊歩道へ進むことにしました。
のどかな島の風景
中央遊歩道は集落を抜けた先に入り口があります。港からすぐに見えるのは出羽神社。大正5年(1916)に建立された神社で、大国主命と事代主命を祀っています。春と秋の例祭では、お神輿が登場して大いに賑わうそうです。
こちらは共同井戸。かつては、島の貴重な水源だったそう。ちなみにこの井戸にはオオウナギが生息しているそうですが、昼間は隠れており夜になると活動するとのこと。
港には開放的な展望台・・・ではなく津波避難用タスカルタワー。わかりやすすぎる名前の通り、津波の際に避難場所として設置された施設です。
本来の目的とは違いますが、登ると港が一望できるのでやっぱり展望台として機能してます。出羽島の港は湾になっているためとてもおだやか。
灯台をめざして
集落を抜けて中央遊歩道へ。どんどん山道へ入っていきます。すぐに未舗装の道になりますが、きちんと手入れはされている印象です。
高くそびえるワシントンヤシ。他にも同じくヤシ科のシュロの木、ソテツ、ハイビスカスなどが繁っております。徳島の離島と聞いてもあまり温暖な南の島のイメージは持ちにくいかと思いますが、実際に島を歩いていると、随所に南国を感じることができます。
歩くこと約20分ほどで出羽島灯台に到着!昭和34年に造られた灯台で、高さは11.4m。8角形でくびれがキレイな美しいフォルムをしています。
灯台から集落への帰りは、来た道と違う西廻り遊歩道から。ちょっと遠回りですが、心地よい海辺の道で気分は爽快でした。
天然記念物シラタマモ
西廻り遊歩道の途中に、国指定天然記念物のシラタマモが自生する大池があります。
私は帰りの船の時間がちょっと心配だったので大池には立ち寄ることができませんでしたが、港近くの水槽にも展示されていました。
このシラタマモ、1憶4500万年前の白亜紀に繁栄していた海藻の仲間であり、「生きた化石」とも呼ばれる種類の生物。かつては秋田県の八郎潟でも見ることができたそうですが、干拓によって消滅。現在、この出羽島が国内で唯一の自生地とされています。
出羽島にはアレがない
船まで少し時間があったので、集落の散歩。出羽島の民家はミセ造りと呼ばれる特徴的な造りをしています。家の軒先に折り畳み可能な板が作られており、縁側のように下ろして作業場にしたり、腰掛けにしたりといろいろな活用ができるそうです。
集落を歩いていると、気になるのはこの台車のようなもの。これは、ネコ車と呼ばれる手押し車。ぱっと見たところ、一家に1台以上のペースで目に入ります。
突然ですが、ここでクエスチョン!
この島には現代社会必須アイテムのあるものがありません。それは何でしょうか?
ヒント1
おそらく、一般家庭なら1家に1つはあるかと思います。
ヒント2
普段暮らしていて見かけない日は無いと思います。
答えは
自動車。
この島にはなんと車がありません。そもそも島内の道は歩行者用なので、車があっても走れないのです。そのため、この島ではネコ車が発達したのでした。
帰りは15:00の船で。滞在時間1時間15分は急ぎ足かなと思ったのですが、灯台まで行ってこれたし、集落を散歩する時間もありました。さっとまわるだけなら充分ですが、のんびりするならもう少し時間があった方が良いかもです!
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