一般公開され、誰でも気軽に入ることができるようになった太陽の塔。内部に広がるのは荘厳かつ神秘的な空間。長い生命の歴史をたどる「生命の樹」から、左右の腕まで階段を登って進んで行きます。
超巨大な万博のシンボル
芸術家の岡本太郎の代表作として知られる太陽の塔。吹田市にある万博記念公園にそびえ立っており、その独創的なデザインで異常な存在感を放ちます。
この塔は、1970年に開催された「EXPO’70・大阪万博」に伴い建設されたもの。2020年には国の登録有形文化財にも登録されました。
いや、でかすぎませんか!?
その高さは70m。「想像しているよりも大きい」という話はよく耳にしますが、それを踏まえてもさらに大きく感じます。ちょっとしたモニュメント感覚で訪れると、その大きさにひれ伏すことになりそうです。
過去・現在・未来を表す顔
太陽の塔の特徴といえば「顔」。正面に位置する大きな顔は、まるで着ぐるみのようにも見えます。実は太陽の塔には顔が3つあるのをご存じでしょうか。
1つ目は最も認識されている正面にある「太陽の顔」。口をとがらせたような独特な表情、少し怒っているようにも見えますね。
2つ目は塔頂部。まるでレーダーのように金色に輝くこちらは、よく見ると目があり「黄金の顔」と呼ばれています。
3つ目の顔があるのは背中の部分。後ろにまわってみると、大きく描かれた「黒い太陽」を見ることができます。
この3つの顔は、それぞれ現在・未来・過去を象徴しており、素材も「FRP」「ステンレス」「黒色陶器」と異なる材質で仕上げられています。実は、この3つの顔とは別に4つ目の顔「地底の太陽」もあります。これについては後ほど。
ついに内部公開スタート
万博開催期間は内部に入ることができた太陽の塔。しかし終了後は非公開へ。2003年より30年ぶりに内部公開が再開されましたが、不定期開催であり、応募者の中から抽選という非常に限定的なものでした。
しかし、ここで朗報!2018年3月より一般公開が開催されました!!
2023年6月時点では、基本的にはWebページより入館予約が必要となっています。当日空きがあれば予約ナシでも入れるようですが、団体ツアーなどとはちあってしまう可能性もあるので予約しておく方が安心です。
・予約時にはメールアドレスによる会員登録が必要となります。
・予約は時間指定、各回が30分刻みで設定されています。
・支払はクレジットカードのみ。
・予約変更は1度だけ可能。ただし前日12:00までになります。
・予約後のキャンセルは不可。
キャンセル不可がちょっと気になるポイントですが、天候に左右されるものではないので許容範囲かな、といった感じです。ちょっと躊躇われる方は、会員登録をすれば空き数の確認もできますので、様子を見ながら「予約」or「予約なしで当日券」の判断をするのもアリかなと思います。
QRコードで入場手続き
予約完了時に届くメールにQRコードが添付されています。当日はコレを使って入場となります。
太陽の塔の入場料とは別に「自然文化園・日本庭園の入場料」が必要となりますが、Web予約では基本的にこの入場料が含まれた「セットチケット」が販売。万博記念公園の受付で見せると自然文化園・日本庭園の入園券に交換してもらえます。そのまま太陽の塔の裏側のエントランスにて、再度QRコードを見せて受付。事前払いなのでとってもスムーズです。
塔内は1階のみが撮影可能。2階以上は撮影機器落下の危険性から撮影禁止となっていました。
ここで朗報!
2023年3月より「塔内撮影用スマホケース」のレンタルが開始!レンタル料500円が必要ですが、利用すれば2階以上も撮影することができるようになりました。現地にて同意書に記入、現金にて支払いとなります。
太陽の塔の内部へ
暗い入口を進んでいくと、仮面や神象が並ぶ神秘的なフロア。塔の内部にこのような空間が広がっていたことにびっくりです。
ひときわ目立っているのは金色の巨大な顔。これこそが4つ目の顔「地底の太陽」なのです。
実はこの地底の太陽はレプリカ。実物は万博終了後の撤去作業の最中、どこかに消えてしまったそう。こんな大きなものが消えるなんて・・・。にわかには信じがたいですが、太陽の塔の神秘性を高めるエピソードです。
暗い空間を抜けた先は、真っ赤な広いホールに到着します。この空間の中央にそびえ立っているのが「生命の樹」。
その高さは約41メートルと太陽の塔の半分以上を占める巨大オブジェ。巨大な塔の中に巨大な樹が生えているという発想がすごいです。
空間を包み込むようなシンフォニックな音楽、黛敏郎による「生命の賛歌/太陽の塔」も荘厳な雰囲気を引き立てます。
階段を登って最上階へ
生命の樹を取り囲むように階段が設置されており、じっくり鑑賞しながら上へと進むことができます。
この樹には、292体の生物模型群が散りばめられています。下層のアメーバなどの原生生物、三葉虫やウミユリなどの古生物からはじまり、爬虫類、恐竜、哺乳類と上に進むにつれて変化していく生物群。長い長い生命の歴史を体感できます。
最上部に鎮座しているのは、チンパンジー、ネアンデルタール人、クロマニヨン人といった霊長類。
ゴリラだけ頭部が金属になっており、まるでサイボーグのような姿。他の生き物はリアルにつくられているのに、なぜゴリラだけこのようなデザインなのでしょうか?
もともとこのゴリラも他の動物と同じくリアルな顔をもっていましたが、万博開催後の非公開となっていた間に、顔部分が欠落してしまったそう。生命の樹がたどった時間の厚みを感じさせるため、あえて修復せずにこのままを維持しているそうです。
ちなみに、かつては顔が動く仕掛けがあり、むき出しの機械はその装置であるようです。
左右の腕はどこへつながる?
塔の内部で生命の樹と並ぶ見どころが、左右の腕。長さ25mにも及ぶ腕の内部は、空洞になっています。
かつて、この右腕の空洞にはエスカレーターが設置されていました。来場者は太陽の塔を上り、この右腕エスカレーターを通って塔のまわりに設置された大屋根へと進んでいったそうです。太陽の塔の近くにあるミュージアム「EXPO’70 パビリオン」では、そんな当時の模型を見ることができます。
一方、左腕には現在も階段が残っており、腕を抜けるイメージがしやすいです。生命の樹を越えて、この先へ抜ける・・・なんだか長い旅をしたような気分になれそうです。
内部で登ることができるのはここまで。あとは、上りとは違う階段を降りて1階へと戻ります。途中には、太陽の塔完成までの経緯や万博当時の内部、そして再生の経緯などが写真付きで展示されています。見学を終えたあとだと、いろいろと気づくことも多いです。
じっくりと見ながら進んだので、すごく長く滞在していたような気分ですが実際は40分ほどの滞在。塔内部は時間の流れが少しずれているような錯覚を感じました。
アクセスと営業情報
大阪モノレールの万博記念公園駅より徒歩10分ほど。
開館時間 | 10:00~17:00 |
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休館日 | 水曜 |
料金 | 720円 ※自然文化園・日本庭園共通入園料が別途必要、セット券は930円 |
公式サイト | https://taiyounotou-expo70.jp/ |
※掲載の情報は2023年7月時点のものです。最新情報は公式HPにてご確認ください。
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