曹洞宗の寺院である總持寺(そうじじ)。広い境内には、三門、仏殿、大祖堂と大きな建築が立ち並びます。禅宗寺院ならではの洗練された空間は、歩いているだけでも清々しい気持ちになってきます。
横浜の大寺院
鶴見にある總持寺は1321年に瑩山(けいざん)によって開かれた禅宗寺院。曹洞宗の大本山として福井県の永平寺に並ぶ格式高いお寺です。
かつては石川県にありましたが、1898年に火災によって焼失。1911年に現在の横浜市鶴見区へと移転しました。学校法人総持学園を傘下に持っており、山内には幼稚園から大学にいたるまで教育機関が立ち並んでいます。
「開かれた禅苑」を目指しているため、境内は拝観料不要で自由に見学することができます。夕方頃に訪問したところ、境内でランニングしている方を何人か見かけました。
立ち並ぶ伽藍
境内には多数の伽藍が配置されています。ここでは、主だったものを簡単にご紹介させていただきますね。
三門
参道を進むと見えてくるとのは立派な三門。1969年に建立されたもので、鉄筋コンクリート造りの三門では日本一といわれています。左右に配置された金剛力士像は、元横綱の「北の湖」という力士をモデルにしているそう。
向唐門
曲線が非常に優美な門。檜皮葺の屋根と、朱色の扉が印象的な門です。この門の先に中雀門、そして佛殿が一直線に並んでいるのですが、通常時は閉扉しているため通り抜けは不可となります。
佛殿
趣のある佛殿は、1915年に竣工した大正時代の木造建築。派手な装飾の無い姿や、屋根を支えるかのように組まれた詰組(つめぐみ)が、いかにも禅宗らしい建築です。本尊である釈迦牟尼如来像を祀っていますが、2022年1月時点では耐震補強工事のため参詣は不可となっておりました。
大祖堂
佛殿向かって右に位置する大祖堂。1965年に竣工した建築で、高さ36mと境内で最大。緑色の銅板屋根が鮮やかに輝きます。内部は千畳敷となっているそうですが、お参りは4:30〜15:00までとのことで訪問時は閉扉しておりました。
禅を強く感じる香積台
総受付となっている香積台(こうしゃくだい)。御朱印受付、売店に加えて、パンフレットや境内マップなども置いてあります。総持寺の境内には案内板がほとんどないため、最初にここに立ち寄って入手しておくのがおすすめです。
中へ入ると最初に見えるのが大きなしゃもじ(右側)とすりこぎ棒(左側)。この2にはどういう意味があるのでしょうか。福井県の永平寺では「地ならしに使用した棒を棄てるのが惜しく、すりこぎ棒に加工した」といった逸話がありました。また、山口県の瑠璃光寺では「身をすり減らしても人を救う」という意味が込められていました。
この吊り下げられた銅板は雲板と呼ばれる、叩いて音を出すもの。起床や食事の合図として鳴らされます。禅宗寺院ではよく見かけます。
各伽藍をつなぐ廊下は長さ164mにも及んでおり、百間廊下と呼ばれています。毎日、洒掃行(しゃそうぎょう)の一環で雑巾がけが行われているため、びっくりするほどピカピカです。
瑩山禅師と道元禅師
一番最初に記載した通り、曹洞宗の大本山であるこの總持寺を開山したのは瑩山(けいざん)という僧侶。
でも、ここで疑問が!曹洞宗の開祖は道元(どうげん)だと日本史の授業で習った気がします。瑩山とはいったいどのような位置づけなのでしょうか。
日本における曹洞宗の開祖=道元というのは間違いではありません。しかし、道元自身は自らの教えを「正伝の仏法」としており、特定の宗派として語られることを拒んでいたそう。道元の入滅後もその教えは引き継がれていきましたが、第四祖である瑩山が曹洞宗という名を用いて、全国へとその教えを広げていきました。
そのため、道元を「高祖」・瑩山を「太祖」と呼び、この二人を合わせて「両祖」として祀っているのです。曹洞宗の大本山が2つあるというのも、道元の開いた永平寺、そして瑩山の開いた總持寺と両祖を等しく慕っているためだそうです。
アクセスと情報
JR鶴見駅の西口より徒歩7分、京急鶴見駅および京急花月総持寺駅より徒歩10分ほど。
毎日10:00/11:00/13:00/14:00/15:00になると、お坊さんによる境内案内である定時拝観も開催しております。より深く知りたい方はこちらに合わせて参拝するのが良さそうです。
開館時間 | 大祖堂:4:30〜15:00 |
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料金 | 無料 |
公式サイト | https://sojiji.jp/index.html |
※掲載の情報は2022年2月時点のものです。最新情報は公式HPにてご確認ください。
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