フランスの画家ベルナール・ビュフェの作品が集められた美術館。とにかく『黒い線』で立体的に描かれているのが特徴の作品は、力強くもどこか不安を含んでいます。
クレマチスの丘にある美術館
複数の施設が集まるクレマチスの丘。前回のヴァンジ彫刻庭園美術館に続き、今回はベルナール・ビュフェ美術館へ。
ここはフランスの抽象画家ベルナール・ビュフェの作品を集めた美術館。ベルナール・ビュフェってどんな作品の画家なんでしょうか・・・?実は全く知らなかったのですが、何となく名前に聞き覚えがあったので立ち寄ってみることにしました。
強力な黒い直線
彼の作品の特徴といえば、何といっても黒い直線。キャンバスを堂々と駆け抜ける線からは力強さとわずかな不安を感じます。
《ニューヨーク:マンハッタン》
整然とした大都会が描かれた大きな油彩画。ほぼ全てが直線で構成されており、とにかく無機質な世界です。
《ヴェネチア:大運河》
くっきりとした線、そして水面に反射するカラフルな建物が印象的な作品。迫るような力強さですが、どこか妙な安心感も感じます。暖色が多いのですが、冷たさも感じる不思議な質感です。
ビュフェは日本にも来ており、東大寺や富士山などの風景を独自の感性で表現しています。こちらはおそらく富士山。なんとなく直線で描かれることに違和感を感じるのは、日本人の私にとって富士山の曲線が染み付いているからかもしれません。
生き物モチーフの作品
風景以外にも宗教画や人物画など多くの作品を描いたビュフェ。私の中で特にインパクトがあったのが動物たち。
無機質なものと相性が良さそうに思えるビュフェの黒線。有機物を描くと、なんだか模型のような雰囲気です。他にも『七面鳥』『コガネムシ』『ガマ』など様々な生き物を描いた作品が展示されています。
美術館の屋外には昆虫の彫刻が。ビュフェの世界観を再現したオブジェかと思いきや、ビュフェ自身の作品《くわがた虫》でした。
早熟の画家
作品だけでなく、写真や年譜でベルナール・ビュフェの人柄についても深く知ることができます。ビュフェの生涯を描いた「月刊ビュフェくん」も無料配布。漫画で描かれているので、とってもわかりやすい!
ビュフェは1928年、パリのモンマルトル近郊に生まれました。入学年齢制限をかいくぐり16歳で国立高等美術学校に入学。そして、1948年にパリで最も権威のある新人賞・批評家賞を受賞。20歳にして天才画家と呼ばれるようになるという早熟の画家なのです!
晩年、もしくは死後に評価されることがほとんどといわれる絵画の世界において、こんなにも若い段階で評価を得られていたのはかなり珍しいケースだったのではないでしょうか。
なお、晩年パーキンソン病を患い絵を描くことができなくなってしまった彼は、71歳にして自ら命を絶ってしまいました。
アクセスと営業情報
三島駅から路線バスで45分ほど。かつては無料のシャトルバスがが出ていましたが、2023年3月末で廃止となってしまったようです。
開館時間 | 3~10月:10:00~17:00 11~2月:10:00~16:30 |
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休館日 | 水曜、木曜、年末年始 |
料金 | 1,500円 |
公式サイト | https://www.buffet-museum.jp/ |
※掲載の情報は2024年3月時点のものです。最新情報は公式HPにてご確認ください。
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