2つの池と多数の遺跡と豊富な野鳥『石神井公園』(石神井公園駅)

東京都(市町村部・多摩地区)

豊かな自然に包まれた広い公園は、自然に触れることができる憩いのスポット。併設の博物館や史跡公園では、この地に伝わる歴史や文化を多く知ることができます。

訪問日:2020/3/15(日)

区民の憩いの場

池袋駅から西武池袋線で約15分ほどの石神井公園駅。商店街を抜けて徒歩5分ほどのところにある石神井公園は、野球場やテニスコートを備えた大きな都立公園です。

石神井公園の2つの池

石神井公園は2つの池を中心に広がる公園。石神井池と三宝寺池という名の池は、それぞれ雰囲気が異なっております。

レジャーの「石神井池」

石神井池は、市街地の公園といった雰囲気。すぐ目の前には住宅が広がっており、散歩する人々や子供連れの方の姿が目立ちます。

池の周りの遊歩道は垂れ下がる柳がとても良い雰囲気。そして、水面がとても近い!すぐ隣が池で土手も柵もないため、転んだら一瞬で水没していまいす。

ボート乗り場もあり、スワンボートは30分700円、手漕ぎのローボートは1時間700円で乗船可能です。

大自然の「三宝寺池」

一方、三宝寺池は森の中にあるひっそりとした池といったイメージ。木々が生い茂り、街中でありながらも都会を忘れられるスポット。

池の周りに並ぶのはメタセコイアなどの大きな樹木。気根を地上に伸ばしたラクウショウも生えています。

豊かな植物は、三宝寺池沼沢植物群落として国の天然記念物に指定されています。

練馬のミュージアム『ふるさと文化館』

石神井公園に隣接しているふるさと文化館は、縄文・弥生土器から昭和まで、練馬の暮らしにふれることができるミュージアム。

開館時間:9:00〜18:00
休館日:月曜
料金:無料

館内には農具や民俗資料などが並び、人々の暮らしとともに育まれてきた歴史や文化について知ることができます。

名産の江戸野菜『練馬大根』

江戸時代、周辺の農村地帯では、人工が増え続ける江戸の町の食料不足を支えるため、様々な農作物が作られました。練馬では練馬大根と中の宮牛蒡が作られており、特に練馬大根はたくあん漬けやふろふき大根など様々な調理がされていました。

中でもたくあん漬けは日本最大の産地となっており、館内には巨大なたくあん樽の再現模型も。

一時は全く栽培されはくなりましたが、1989年より練馬大根育成事業が実施され、復活。12月には練馬大根引っこ抜き競技大会が開催されます。一説によると、身の中央が膨らむ練馬大根は、地面から引き抜く際に通常の青首大根の何倍もの力が必要らしい。かなりハードな大会なのではないでしょうか。

区内の給食には「ねりまスパゲッティ」なる、練馬大根のおろしを使用した人気メニューがあるそう。以前練馬区に住んでいたことがあるのですが、全く知りませんでした・・・。

リアルな昭和の町並み

館内には、ノスタルジックな昭和の通りが再現されたコーナーもあります。かつての石神井公園駅の写真パネルの周りには、中華そば屋さんと交番。オート三輪も停車してます。雑踏のBGMからは豆腐屋さんの奏でるラッパの音が。

昭和の一般住宅では、アンテナ付のブラウン管テレビ、黒電話、FMラジオなど、今はもう滅多に見かけなくなった懐かしのアイテムがたくさん並んでいます。いつか令和の暮らしもこんな風に懐かしく見えてくる日が来るのでしょうか。

アニメのまち

アニメーション撮影台。練馬区の東大泉には東映アニメーションがあり、そこで使用されていたものが展示されています。

セル画や背景画など、複数の絵を別のレイヤーに載せ、それを真上から撮影して遠近感のある映像を作り上げていたそう。宇宙戦艦ヤマトや劇場版銀河鉄道999など、有名作品もこの撮影台で収録されていたらしいです。

公園内に点在する史跡

広い公園内部やその周辺には、かつての歴史を今に伝える史跡も多く残されています。

池淵史跡公園

ふるさと文化館の隣にある池淵史跡公園は、旧石器時代の竪穴住居跡などが残る池淵遺跡を埋め戻し保存した公園。茅葺きの旧内田家住宅は、9:00〜18:00の間なら内部に入ることもできます。

住宅のすぐ近くには庚申塔、馬頭観音といった民間信仰の跡が。

庚申塔は、1年のうち6回ある庚申の日に寝ずに過ごす庚申待ちを18回達成した際に建てる記念塔。馬頭観音は馬が亡くなった場所に建てる供養塔として建てられることが多いです。

石神井城跡

この石神井公園は、豊島区や練馬区周辺に勢力を持っていた豊島氏の居城・石神井城があった場所。鎌倉時代の後期に作られた中世の平城で、現在は石垣や空堀を遺すのみとなっています。

最後の城主は豊島泰経。江戸城を築城したことでも有名な太田道灌に攻められ落城してしまいます。

殿塚と姫塚

太田道灌に追い込まれた石神井城主の豊島泰経は、白馬に家宝を載せて三宝寺池へと飛び込みこの世を去りました。そんな泰経を祀っているのが、園内にある殿塚。

泰経の後を追って、娘である照姫も身を投げたという伝説もあります。殿塚のすぐ近くには、照姫を祀る姫塚が。巨大なシラカシの根本に乗った姿は、独特な雰囲気。

練馬区では毎年4~5月に「照姫まつり」を開催しており、照姫・泰経や、武者に扮した時代行列が石神井公園を練り歩くそう。

史実によると泰経は石神井城落城の際に城を脱出し、平塚城へ落ち延びたといます。三宝寺池に身を投げたというのは、明治時代に書かれた小説「照日末」(著:遅塚麗水)の中のフィクションのようです。また、照姫にいたっては存在そのものが架空ともいわれています。

厳島神社

三宝寺池に浮かぶ様に建っているのは厳島神社。

向かって右手にまわると、池に浮かぶ浮見堂が。爽やかな風が吹くとても居心地の良いスポットで、対岸では大きなサクラが池にこぼれるように咲いています。

厳島神社に向かい合う様に穴弁天(宇賀神社)が建てられており、そこには洞窟・霊窟があります。通常は重い扉で閉ざされており、中を拝観することは不可能。しかし、4月の例祭に限り内部が公開されるそうです。

水鳥に混ざる意外な鳥

この石神井公園を歩いていて感じたのは、鳥がとても多いこと。石神井池ではカモやカイツブリがすいすいと泳いでいます。運が良いと、青色があざやかなカワセミも見られるそう。

白黒の体に水色のクチバシと黄色い目が印象的なキンクロハジロや、真っ黒な体に頭だけ白いオオバンの群れも。

スラッと尾羽が伸びるオナガガモも数羽見かけました。

羽を広げているのはカワウ。この鳥は水中に潜って魚を捕らえるので、濡れた羽を乾かすためにこうやって日向ぼっこしているのです。

他の鳥に比べてかなり大きいため、みんなの注目の的。多くの人がカメラを構えるなか、堂々と翼を広げて決めポーズを撮っているように見えます。

樹上からしきりに鳥の鳴き声が聴こえてくるので姿を探してみると、その正体は緑色のインコ!!

こちらはスリランカ原産のワカケホンセイインコ。ペットとして飼われていものが野生化し、東京都では1,000羽以上も生息しているそう。旧内田家住宅裏手にある民家の庭にたくさん集まっていました。もしかしてこの近くにエサ場があるのかもしれません。

気になる食事処

パークス石神井

石神井池にあるパークス石神井は、ほうとうやおしるこ、今川焼きなど様々な軽食メニューを扱う売店。ここの名物は三福団子。ちなみに三福とは幸福、裕福、大福のこと。

もちもちのお団子は醤油かくるみ味噌の2つの味から選べます。石神井池を眺めながら食べるお団子はとっても美味しいです。

豊島屋御休息所

また、もう1つの池・三宝寺池にある豊島屋御休息所では、お菓子やジュースなどの販売に加えてラーメンなどの屋台系メニューもそろっています。半屋外の座席も多く備えているので、ちょっと腰かけて休みたいときはこちらが良さそう。(外観も撮影禁止だったため、写真ナシです)

むさしの エン座

また、石神井公園に併設している博物館・ふるさと文化館の休憩コーナー「むさしの エン座」では、武蔵野うどんを食べることもできます。
「糧(かて)」と呼ばれる、軽く湯通しした野菜が乗っており、太くて色のついた麺が特徴です。日曜だったので14:30でも満席。混雑するお店のようですので、お昼時から少しずらした方が無難です。

営業時間:11:00〜15:30L.O


ただでさえ広い公園なのに、博物館や史跡まであるためじっくり見ているとかなり長く過ごすことができます。

この後は、20分ほどあるいて牧野記念庭園という小さな植物園へ向かいます。

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