練馬のシークレットガーデン『牧野記念庭園』(大泉学園駅)

東京都(市町村部・多摩地区)

住宅街の中にある小さな庭園は、日本を代表する植物学者・牧野富太郎が晩年を過ごした土地に造られた植物あふれるお庭。秘密の庭といった雰囲気の静かな庭園です。

営業時間:9:00〜17:00
休館日:火曜、年末年始
料金:無料
2020/3/15(日)

牧野記念庭園へのアクセス

最寄り駅は、池袋から西武池袋線で20分ほどの大泉学園駅。南口から徒歩5分ほどの住宅地の中にあります。

近くにはバス停《学芸大付属前》があるため、荻窪駅や上井草駅などからバスで向かうことも可能です。

今回は、石神井公園をぐるっと一回りしたあと、そこから歩いて訪問しました。

市街地の小さな庭園

高知県生まれの牧野富太郎博士は、日本を代表する植物学者。日本初の命名となった「ヤマトグサ」をはじめ、1,500種を超える植物に命名しました。

64歳のとき、牧野はここ練馬区の大泉へ引っ越します。それから94歳でこの世を去るまでの30年を過ごしました。

博士の功績を後世に伝えるために作られたのがこの牧野記念庭園。もともと住居が建っていた土地のためとてもコンパクトな庭園ですが、そこには約300種類の植物がびっしりと育っています。

3月に咲く花

3月中旬、少しずつ花の数も増えてくる季節です。園内には控えめながらも咲いている花が多数。

『ウグイスカグラ』
赤紫のカラーリングがかわいらいしい、小さなラッパ型の花をつけています。スイカズラ科の植物ですが、名前はカズラではなくカグラなのがポイント。漢字にすると「鶯神楽」と、とっても麗しい字面です。

『トサミズキ』
名前通り高知県の山地に生える落葉樹。黄色い小さな花を多く結んでいます。葉っぱがしわしわでユニークらしいのですが、葉が出るのは花が咲いたあと。見ることはできませんでした。

『ニリンソウ』
白くて可憐な花を咲かせています。1輪の花が咲くイチリンソウの仲間で、2輪の花を付けるためニリンソウという名が付いています。しかし、写真のようにニリンソウでも1輪しか花を付けていいなかったり、また3輪咲くケースもあるそう。さらにサンリンソウという種類も存在しており、こちらは1~4輪の花を咲かせることがあるそう。混乱してきました。

『オオカンザクラ』
カンヒザクラの園芸種で、門から受付の屋根に向かい横たわるように伸びています。かなりの急傾斜でとても負荷がかかりそうですが、折れたりしないのでしょうか。

ソメイヨシノと比べると濃いピンクの花で、開花も1週間ほど早いそう。ということは、あと1週間もすれば都内のお花見スポットのソメイヨシノは満開になることでしょう。

 

『アブラチャン』
黄緑色の花を付けた名前が印象的すぎる低木。植物にはユニークな名前がついているものが数多く存在しますが、その中でもインパクトはかなり高い方ではないでしょうか。その名の由来を検索してみると【アブラは「油」・チャンは「歴青(れきせい)」を指す】との内容が多くヒットします。種子などに油分が多い木とのことなので、油と付くのはよくわかるのですが、歴青とはなんでしょうか?

歴青というのは、天然のコールタールのようなものらしいです。なぜそれが名前についたのか全然ピンときません。仮に歴青の要素があるとしても「油歴青(アブラレキセイ)」で良いのでは。なぜ歴青の英語訳chian turpentineから来ていると考えられるチャンを用いられているのでしょうか。調べれば調べるほど謎は深まるばかりです。

とりあえず覚えやすいしカワイイ響きなので、深く考えるのはやめよう!

牧野博士の記念館

園内にある記念館は、牧野富太郎に関する資料を集めた小さなミュージアム。年表や写真付のパネル、採集道具、直筆の原稿や色紙などが展示されています。

牧野富太郎という人物について何も知らない方でも、ここを見ればその偉大さがわかります。

企画展示室では、牧野博士の渾身の作品「大日本植物志」が展示中。恐ろしいほど精密に描かれた植物図は、現代においても高い評価を受けているそうです。

鞘堂に保存された邸宅

園内にある鞘堂(さやどう)では、建物の中に旧牧野邸がまるごと保存されています。

畳、障子、裸電球といった伝統的な日本家屋のお部屋は、博士が天寿を全うされるまで研究していた書斎。
採集に使用した道具や書物も展示されています。老衰して山へ採集に出ることができなくなっても、ここで標本を整理したり、庭の植物を採集したりして晩年を過ごしていたそう。

牧野博士の等身大パネルもあります。とっても良い顔で笑ってますね。

笹にまつわるエピソード

園内に設置された牧野博士の胸像。その周りにはササがびっしりと植えられています。

このササはスエコザサ。牧野博士が妻である壽衛(すえ)にちなんで名付けた植物。病に伏した妻への感謝と愛を込めてその名を冠したそうです。植物一筋なイメージが強い人物でしたが、ハートフルなエピソードにほっこりします。


とても小さな庭園なので、一周するのはあっという間。その分、植物の細かいところまでじっくりと観察できる場所でした。

牧野博士出身の高知県には、広大な牧野植物園が開設されています。詳しくはコチラの記事にて。

圧巻の花景色!ファンタスティックな植物園『牧野植物園』(高知市)
植物博士・牧野富太郎ゆかりの植物を中心に、野生植物や園芸植物を集めた植物園。アーティスティックな建築や、トロピカルな温室も美しく、ただの植物園ではない魅力が詰まっています。1月という冬場ですが、かなり楽しめました。
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