精巧なる彫刻に彩られた雷神祀る神社『雷電神社』(邑楽郡板倉町)

群馬県

数ある雷電神社の総本社とされる歴史の深い神社。雷の神を祀っており、雷除けをはじめとした様々な信仰が受け継がれています。拝殿や本殿に施された木彫りの彫刻や、ナマズとの関連も注目です。

訪問日:2023/8/12(土) ※掲載の写真・情報は訪問時のものです

雷神を祀る神社

「鶴舞う形」の群馬県のクチバシあたり、県内最東端に位置する板倉町。埼玉県や栃木県と隣接する県境の町です。

ここにある雷電神社は、関東を中心に多数建立されている雷電神社の総本社といわれる神社。聖徳太子が創建、さらに坂上田村麻呂も社殿を造営したと伝わる非常に長い歴史を持っています。

雷神を想起させる名前からもわかる通り、祀っているのはこちらの神様。

<主祭神>
・火雷大神(ほのいかづちのおおかみ)
・大雷大神(おおいかづちのおおかみ)
・別雷大神(わけいかづちのおおかみ)

いずれも「雷」の字を持っており、雷神としての性格も持つ神様。落雷から身を守る「雷除」や「電気安全」など様々な信仰を集めています。

また、菅原道真も合祀されていることから学問の神としても信仰されています。道真は雷神としても知られる神様。なぜ雷神なのかはコチラの記事にて。

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彫刻に彩られた社殿

拝殿向拝部分の欄間には立体的な龍の彫刻があしらわれています。今にも飛び出しそうな躍動感のある作品であり、眼がしっかりと入れられているところからも強く「生」を感じます。

拝殿に続く本殿にも色鮮やかな彫刻が続きます。龍、獅子、孔雀、獏などの霊獣がずらりと並んでおり、非常に見ごたえのある造り。社殿の下部にも龍の姿が彫られており、全部でいったい何匹の龍がいるか数えたくなります。

本殿の真後ろに回ると、何か歴史ストーリーを表したかのような大きな彫刻が目に入ります。他にも多数の物語が描かれており、公式HPによると「当時の人たちが誰でも知っている物語」とのこと。

そんな中、ユニークなのはウナギをとる子どもたちの姿が描かれている作品。これは、鬼門となる北東に彫られており、魔性を持つウナギを捕まえることで悪難除けの意味があるとも考えられています。

この彫刻を担当したのは彫師・石原常八。埼玉県熊谷の歓喜院貴惣門や、栃木県野木町の野木神社拝殿なども手掛けています。

珍しい二間社造り

こちらは末社である八幡宮稲荷神社。1547年の建築と伝わっており、群馬県内最古の木造建築。国の重要文化財にも指定されています。

この社殿を見て、何か違和感があった方は鋭い!よく見ると、中心に柱が立っているのにお気づきいただけますでしょうか。こちらは「二間社造り」という建築様式。

この「二間」というのは柱の間の間口の数。通常の神社の多くは柱が2本で間口が1つの「一間社造り」や、柱が4本で間口が3つの「三間社造り」。いずれも柱の数が偶数となるため、中心には柱が来ないのです。しかし、ここは柱が3本で間口が2つの「二間社造り」であるため、真ん中に柱が立つのです。このような造りは非常に珍しく、出雲大社本殿(大社造)や住吉大社本殿(住吉造)など歴史のある神社以外で見かけることは少ないです。

なお、この雷電神社では、本殿もこのような二間社造りとなっているそうです。

境内のみどころ

拝殿の傍にたたずむこちらの古木は「龍灯の杉」。Wikipediaには、「坂上田村麻呂が社殿を造営した際、夜に沼からこの樹に灯が上がってきた」という伝説が記載されていますが、神社の公式HPに記載は無いため定かではありません。

この鬼のような姿の像は雷童子。「ふと現れて助けてくれる」そうです。それ以上の情報がどこにも無いため詳しい由緒は不明です。

雷童子の隣には赤いふんどしをしめた童のような像も。水かけ童子というらしいですが、こちらも詳しいことはわからず。

様々なご利益アリ

境内にはおじいさんの姿をした福禄寿像も置かれています。こちらは、つつじの館林七福神めぐりという巡礼コースのひとつ、「椿の福禄寿」。子孫繁栄・財産富裕・不老長寿という3つの幸せを授けてくれるそうです。

本殿の裏の奥社で祀られているのは伊邪那美命(いざなみのみこと)。安産、縁結び、家庭円満として信仰されています。

拝殿向かって左の森を抜けた板倉中央公園にあるのは市杵島姫命(いちきしまひめのみこと)を祀る弁財天社。音楽芸能、美人長命などのご神徳で知られています。すぐ傍には雷電沼が広がっており、ここには龍が棲んでいたという伝説が残っているそうです。

祀られるナマズ

道路挟んだ向かいにある社務所には「なまずさん」と呼ばれる像があり、撫でると地震を除けて自信が湧き出るそう。

なまずの御利益を受けることができる、「災難除けのなまずの力お守り」というお守りも扱っております。

さらに、参道には向かい合うように立つ2軒の食事処では、うなぎ料理に加えて、「ナマズの天ぷら」やミンチにしたナマズを揚げた「ナマズのたたきあげ」など珍しいナマズ料理を扱っているそうです。

なのですが、訪問したのが17:00過ぎであったため、社務所も食事処も終了しておりました。参拝自由な神社であるため、スケジュールの最後にしてしまいましたが、ちょっと残念。

ナマズ狙いの方は、早めの訪問がおすすめです!

アクセスと参拝情報

最寄りのバス停「雷電神社前」から徒歩1分ほど。またはバス停「板倉町役場入口」から徒歩13分ほど。

板倉東洋大前駅や館林駅から乗車できますが、本数が少ないのでご注意ください。

開門時間 参拝自由
公式サイト http://www.raiden.or.jp/

※掲載の情報は2023年8月時点のものです。最新情報は公式HPにてご確認ください。

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