ついにオンライン申込可能に!モスグリーンの静謐な世界『西芳寺(苔寺)』(京都市西京区)

京都府

世界遺産にも登録された通称「苔寺」。視界一面がグリーンに染まる苔の庭園は、唯一無二の美しさ。魅力が詰まった寺院ですが、事前に予約する必要があります。以前は往復ハガキのみというハードルの高さでしたが、近年オンライン申し込みが可能となりました!

訪問日:2023/3/27(月) ※掲載の写真・情報は訪問時のものです

世界遺産の苔寺

西芳寺は松尾大社や鈴虫寺のある西京区に位置しています。聖武天皇の勅願を受けた行基によって、731年に開かれたと伝わる寺院。当初は法相宗の寺院でしたが、法然によって浄土宗へ変わります。その後、夢窓疎石によって臨済宗の寺院となりました。1994年には「古都京都の文化財」として世界文化遺産にも指定されます。

この西芳寺の一番の見どころは、なんといっても苔の庭園。作庭家としてもしられる僧・夢窓疎石の作といわれており、国の史跡、特別名勝にも指定されています。「苔寺」という通称でも知られており、Apple社の共同創業者の一人であるスティーブ・ジョブズもお忍びで訪れたことがあるそうです。

そんな西芳寺ですが、京都駅からは離れており、バスで向かっても1時間ほどかかります。アクセス面でも少し難易度が高いのですが、さらにそのハードルを高めているのが事前申込制ということ・・・!

事前申込が必要

西芳寺へ行く際に気を付けなくてはいけないのが事前申込制ということ。ここまではそれほど驚くことはありませんが、問題はその予約方法。なんと「往復はがき」限定なのです・・・!

私もこれまで何度も参拝しようと思いましたが、この予約方法についつい二の足を踏んでしまっていました。

ここで朗報が。

2021年より、ついに待望のオンライン予約がスタート!!

事前に氏名・住所・電話番号などの「参拝者登録」が必要となりますが、2週間前から前日まで申し込み可能。さらには「〇」「△」「×」で申し込み状況の確認もできます。さらに、予約変更も当日入場時刻まで対応。利便性が急激にアップしました。

西芳寺|苔寺 Saihoji | Kokedera
調律と閃きの庭。世界文化遺産にも登録される臨済宗の禅刹「西芳寺」オフィシャルサイト。参拝はハガキまたはオンラインでの事前申込制となっております。

気になる参拝冥加料

さて、事前申込ともう一つ、どうしても気になってしまうのが料金。往復ハガキの場合は参拝冥加料3,000円以上、オンラインの場合は一人4,000円(筆ペン付)と非常に高価なのです。

ついつい他の寺院の拝観料と比べてしまい「高すぎる!!!」と思ってしまいますが、こういう場所において値段が高いことは必ずしも悪いことではありません。

高価ということは、必然的に客数・客層が絞られます。わいわい騒ぐような人はほとんどおらず、落ち着いた空気を保つことができるのです。

支払は当日現地払い。現金のみとなりますので、キャッシュレス派の人は要注意です。

写経からはじまる参拝

受付を済ませて順路にそって進むと、本尊の阿弥陀如来を安置する本堂が見えてきます。昭和44年(1969年)に京都大学名誉教授村田治郎によって再建されたものであるそう。

まずはこの本堂にて写経からスタート。受付のときにいただける筆ペンを使って「延命十句観音経」という42文字を書き記していきます。

堂内では最初にわかりやすい案内もいただけ、さらにお手本には解説もしっかり書かれています。写経が初めてという方でも安心して体験できるようになっているのでご安心ください。

書き写したものは持ち帰ることも、奉納していくこともできます。ただし堂内では撮影禁止となっているのでご注意ください。

広がる苔の庭園

写経を終えて境内を進むと、いよいよ苔の庭園が見えてきます。まず感じるのが、自然味が豊かということ。池泉式庭園ということで池が造られているのですが、庭園の池というよりは自然の中の小川のような雰囲気。

視界一面に広がるのはモスグリーンの苔の世界。ふわふわとした質感には、不思議な安心感があります。この庭園では約120種の苔を見ることができるそうです。

苔の庭園というのは様々な寺院で見ることができますが、ここの特徴はなんといっても規模が大きいこと。そしてとにかく静かであること。

参拝に訪れている人は数組いましたが、騒ぐ人はいません。緩やかに流れる水の音、鳥のさえずり、スマホのシャッター音、庭師さんのホウキを掃く音。ささやかな音の世界です。

庭園内の見どころ

庭園の中央に広がるのは黄金池(おうごんち)。心の字を象っており、心字池とも呼ばれています。よく見ると、池のまわりの一部には立派な石垣も組まれています。

湘南亭という茶室もつくられています。千利休の次男、千少庵により建立されたもので、張り出した月見台が印象的な建築です。

橋が架かるは朝日ヶ島。その先には鎮守堂の建つ夕日ヶ島と続いています。渡ることはできませんが、池に島が浮かぶ様子は良いアクセントになります。

行ってみた感想

前述の通り、往復ハガキのにという点で躊躇っていましたが、オンライン予約解禁ということでついに参拝することができました。

写経を行い心が落ち着いた状態で見る苔の庭園は、心に染み渡るような不思議な感覚。時が止まったような気分でした。

4,000円という参拝冥加料を払ってでも見る価値があるかどうかは意見が分かれそうなところ。個人的な感想としては、写経体験&通常の寺院とは異なる静謐な世界を体験できたので、損したような気分は全くありません。

もし現時点では「高くて無理」と感じた方は、「憧れの高級料理店」みたいに、いつかお財布に余裕があるときに訪れる、ちょっとした目標みたいに考えてはいかがでしょうか。

アクセスと拝観情報

京都駅から京都バス(73系統)で約60分の「苔寺・すず虫寺」下車後、徒歩3分ほど。

拝観時間 参拝枠申し込み制:9:30~11:30の30分刻み(※時期によって変動あり)
料金 往復ハガキ申込:3,000円
オンライン申込:4,000円
公式サイト http://saihoji-kokedera.com/top.html

※掲載の情報は2023年3月時点のものです。最新情報は公式HPにてご確認ください。

おまけの苔乃茶屋

苔寺に向かう途中には、苔乃茶屋というお茶屋さんがあります。

ここの名物は門前とろろそば。とろろの上に、苔をイメージした青のりがのったメニュー。お蕎麦ももちろんですが、お出汁がとっても美味しくて全部飲み干してしまいました。

そして、ここのおばちゃんはとにかく元気いっぱい!席につくとすぐに観光雑誌を広げていろいろ教えてくれます。駐輪場、駐車場もあり、鈴虫寺、苔寺、地蔵院へ訪問するときは置いていっても良いそう。各寺院に行く際、最初に訪れても良さそうな場所でした。

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