寄生虫というマニアックすぎるテーマの博物館。展示室は小さめですが、実際の寄生虫が標本でずらりと並ぶ様子は壮観。怖いもの見たさからか、非常に人気のあるミュージアムです!
レアな寄生虫のミュージアム
目黒にある目黒寄生虫館は、日本唯一の寄生虫専門のミュージアム。目黒駅から少し歩いたところに建つこちらのビルが博物館。外観はとっても控えめです。
1953年に医学博士である亀谷了(かめがい さとる) がオープン。当初は木造平屋建てでしたが、何度か改修工事が行われコンクリー造りのビルに変わりました。
1階と2階が展示室。それ以外のフロアは、研究室や収蔵庫となっています。入館料はなんと無料!募金箱がありますので、満足できたら寄付をしていくのが良さそうです。私は入館料のつもりで、とりあえず500円寄付しました!
様々な展示内容
寄生虫が描かれたウェルカムボード。フラッシュをオンにして写真を撮ると、宿主が浮かび上がります!
寄生虫を解説したパネルとともに、ホルマリン漬けの寄生虫がずらり。宿主とともに展示されているケースも多く、イメージしやすいです。照明も明るく写真に撮りやすいので、寄生虫の写真をたっぷり撮りたい方にもおすすめです・・・!
寄生虫の蝋模型も展示されています。創設者の亀谷了と親交のあった北里研究所の技師・沼田仁吉によって寄贈されたものであるそう。
左手前のまるでお皿に乗ったお料理のような姿は肝吸虫。卵巣、精巣、腸、排泄嚢などの体機能を見ることができます。
個性的過ぎるその生態
ここからは、私が気になった寄生虫を勝手に紹介させていただきますね!
まずは博物館のロゴマークにもなっているフタゴムシ。創設者・亀谷了がライフワークとして研究していたという、蝶々のような姿が印象的な寄生虫です。幼虫時代に2匹が出会って合体しないと成長できないという特異な生態を持っています。
ウミガメのまぶたや足の付け根に吸着して血液を吸うウミエラビル。自然下ではそこまで増殖しませんが、飼育下など狭い環境だと大量発生して宿主を弱らせてしまうそう。
寄生虫界の超有名人といっても過言ではないハリガネムシ。カマキリなどの昆虫に寄生することでおなじみの種類です。この標本の個体は、なんと女児が吐出したそう。口からハリガネムシなんてトラウマ過ぎる光景です!!!寄生された昆虫を口に入れたためと考えられています。
カニに寄生するウンモンフクロムシ。上が寄生されていないカニ、下が寄生されたカニと、比較できるようになっています。寄生されたカニはなんと去勢されてしまうそうです。宿主が子孫を残せなくなるというのは、寄生虫にとって良いことなのでしょうかね。
アカアマダイの眼球に寄生しているメダマイカリムシ。頭部を穿入して寄生し、体液を吸うそう。目玉はさすがにコワイです。
カタツムリなどの巻貝に寄生するロイコクロリジウム。触角を膨らませてイモムシのように擬態させ、宿主を鳥に捕食させるというなんとも恐ろしい生態を持っています。ここでは動画でその触角が変化する様子を見ることができます。大きく膨らみ、そしてうねうねと波打つ姿はインパクトが強すぎます・・・。
恐ろしい人の寄生虫
今まで紹介した寄生虫はサカナやカニなど人間以外に寄生するもの。そのため高みの見物気分で観察することができましたが、もちろん人間に寄生する寄生虫もたくさん存在しています。小腸の日本海裂頭条虫、肺の肺吸虫、大腸の蟯虫など、体の様々な部分に潜む寄生虫が標本で展示されていました。
気になるのは日本住血吸虫。水田作業中に皮膚から侵入、腸壁や肝臓などの血管内で卵を産み、血管を詰まらせます。その結果、慢性的な肝硬変、腹水貯留、貧血を起こす恐ろしい寄生虫です。
かつて地方病とよばれて恐れられていましたが、中間宿主のミヤイリガイの撲滅運動が行われ、1977年を最後に新しい患者は出ていないそう。日本住血吸虫の隣には、そんなミヤイリガイも展示されていました。
超ロングさなだ虫
まるで消防ホースのようなこちらもまさかの寄生虫!日本海裂頭条虫、通称サナダムシと呼ばれる種類です。
その長さは驚愕の8.8m。幅広いところは1.5cmにも及ぶ大きさです。1986年から展示されており、この博物館最大の見どころといっても良さそう。隣には大きさを体感できるように、同じ長さの紐も置かれています。
40代の男性が排便中に白いヒモ状のものが出てきて寄生されていることが発覚。創設者の亀谷了は男性に駆虫薬を飲ませて、ほぼ完全な形で採取することに成功しました。
原因は3ヶ月前に食べたマスの刺身であったそう。幼虫はわずか1cmほどですが、3ヶ月でこのサイズという恐るべき成長スピード。意外にも男性に自覚症状はなかったそうです。
ミュージアムショップ
2階の奥にはミュージアムショップがあります。なんと、寄生虫がグッズ化されています!!!
フタゴムシネックレスやアニサキスキーホルダーなど、推し寄生虫のグッズが見つかるかもしれません。
サナダムシ、フタゴムシ、サヨリの鉤頭虫などのTシャツもあります。洗練されたデザインは、普段使いしてもまったく問題なさそうです。
おすすめは寄生虫カルタ!!これがとんでもない商品だったのですが、長くなるので続きは次回に!
行ってみた感想
というわけでたっぷりと楽しんだ目黒寄生虫館。さらっと見るだけなら30分ほどで見終わるボリューム感でしたが、じっくり展示を読んでいたら気がつけば1時間以上滞在しておりました。
寄生虫ときくと、宿主に寄生して養分をもらうという楽々生活を過ごしている生き物といったイメージでしたが、その生き様はなかなかハード。宿主にたどり着くというのは決して楽な道のりではなく、ときには何度も中間宿主を経て、さらにその中間宿主を操り最終の宿主を目指していきます。
この能力を獲得するのに、どれほどの進化を経てきたのか。寄生という生存戦略を選び、他の種にはない能力を身に着けたこの生物たちに、敬意すら感じてしまいました。
でも、やっぱり寄生はされたくはないです!!
アクセスと営業情報
JR山手線、東京メトロ南北線、都営三田線、東急目黒線の「目黒」駅より徒歩10分ほど。
開館時間 | 10:00~17:00 |
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休館日 | 月曜、火曜、年末年始 |
料金 | 無料 |
公式サイト | https://www.kiseichu.org/ |
※掲載の情報は2025年4月時点のものです。最新情報は公式HPにてご確認ください。
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