日本の洋紙発祥の地である王子に建つ、紙をテーマにしたミュージアム!洋紙製造の歴史が、写真や産業機械で紹介されています。精巧なる和紙の文化や「世界最大級の洋紙」も見ることができます。
紙と産業がテーマの博物館
日本初の洋紙製造工場が誕生した王子。そんな洋紙発祥とも呼べる地に建つのが紙の博物館。1950年に王子製紙王子工場跡地にて開館した製紙記念館をルーツに、1998年に飛鳥山公園内に移転してリニューアルオープンしました。
入館料は400円。すぐ隣の「渋沢史料館」「北区飛鳥山博物館」とのセット券も800円にて販売しています。
受付のある2階から4階にかけてが展示室。まずは近代製紙産業の歴史からスタート。明治時代に外国人技師を雇い、洋紙の生産がスタートしていく流れが写真付きパネルで紹介されています。
他にも、紙の製造工程や製紙業界の取り組みなど、「紙と産業」をテーマにした展示が続いていきます。
産業遺産の機械
展示室で目を引くのは多数の機械。かつて製紙に利用されてきた機器が産業遺産として展示されています。
受付のそばに横たわる巨大なカプセルのようなもの。こちらはボロ蒸煮釜。決してこれがボロいというわけではなく、明治初期の日本では紙の主原料が木綿などのボロ(破布)であったためこのような名前が付けられています。ボロと薬品を入れて、紙の原料となるパルプを作っていたそう。
こちらは世界最初の抄紙機(しょうしき)の模型。フランス人のルイ・ロベールによって発明されたものです。それまでは1枚1枚手作業で漉いていた紙でしたが、この機械のおかげで連続的に作ることができるようになり、大量生産が可能となりました。
紙の原料が先ほどのボロから木材に変わると、こちらのポケットグラインダーが利用されるように。回転する砥石で木材をすり潰してパルプをつくることができる機械です。「ポケット」ときくと手のひらサイズをイメージしてしまいますが、高さ3mほどの大きな機械。木材の投入口がポケット式であるため、このような名前なのだと思います。
この段ボール製造機は、三盛社(現・レンゴー)の創業者・井上貞次郎が日本で初めて段ボールを製造した機械を復元したもの。当初は割れ物の緩衝材として製造されていましたが、やがて箱として活用されるようになっていきます。
カジュアルな展示
2階の壁に見えるのは世界最大級の洋紙。9.33mの長さで壁に張り巡らされています。
世界最大ときいてイメージしていたよりも小さい・・・?そう感じた方もいるかもしれませんが、実はこの9.33mというのは横幅。実際にはこの幅で1秒間に30mという速さで製造されているそうです。
並んでいるのは様々な紙製品。雑誌、マンガ、書籍だけでなく、牛乳パックや米袋など様々な利用がされています。日常生活では忘れて過ごしている、紙のありがたさを実感できますね。
2階には体験型の展示が多数。工場探検の映像を見たり、紙の繊維が水に溶けていく様子を見ることができたり、クイズに挑戦したりと子どもも楽しい仕掛けがあります。
驚きの和紙文化
4階では和紙に関連のある様々な文化が紹介されています。こちらは紙でできた衣である白紙衣(しろかみこ)。お水とりで知られる東大寺修二会では、僧はこの衣をまとって厳しい行に挑むそう。
このキラキラした装飾も、もちろん紙。金唐革紙と呼ばれるもので、革のような風合いに仕上げた「模革紙」の一種です。鹿鳴館などの洋館の壁の装飾に利用されていたそうです。
ずらりと並ぶ紙の人形たち。この人形たちはある作業の工程を表しています。
その作業というのは紙漉き。「紙漉重宝記」という江戸時代に発行された和紙の製造工程を記した本を紙人形で再現しているのです。紙の造り方が書かれた紙を紙で立体化した、紙が紙を造るという展示なのです。なんだかこんがらかってきました!!
これにて王子の博物館めぐりもおしまい。最後は王子神社に立ち寄っていきたいと思います!なお、私は見逃してしまったのですが1階には近代製紙産業に関する記念碑を展示した「記念碑コーナー」があったようです。入口&受付が2階であり、3階4階が展示室なため、1階の存在にまったく気が付きませんでした・・・。
アクセスと営業情報
・JR京浜東北線の「王子駅」より徒歩5分
・東京メトロ南北線の「西ケ原駅」より徒歩7分
・都電荒川線(東京さくらトラム)の「飛鳥山」より徒歩4分
開館時間 | 10:00~17:00 |
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休館日 | 月曜、年末年始 |
料金 | 400円 |
公式サイト | https://papermuseum.jp/ja/ |
※掲載の情報は2024年9月時点のものです。最新情報は公式HPにてご確認ください。
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