海中につづく朱塗りの鳥居『大魚神社の海中鳥居』(太良町)

佐賀県

海の中にそびえる姿が幻想的な大魚(おおうお)神社の海中鳥居。干潮時に訪問したところ、すぐ近くまで歩いて接近することができました。「大魚」の名前の通り、この神社の創建には海のサカナにまつわる伝説が残されています。

2021/5/5(水)

潮で姿が変わる海中鳥居

竹崎かにやカキなど、海の恵みが豊かな佐賀県太良町(たらちょう)。近年、SNSを中心に人気を集めているのが、こちらの海中鳥居。

海にむかって並ぶ3基の鳥居は、インパクト抜群。潮が満ちる満潮時は海の中からそびえる姿を見せ、干潮時は歩いて近くまで接近することができるようになります。どちらの姿を見たいか決まっている方は、潮見表をチェックして訪問時間を調整していくのがおすすめです。

なお、太良町は日本で一番干潮・満潮の差が激しいと言われており、その差は最大6mにも及ぶそう。そのため、「月の引力が見えるまち」というキャッチコピーを持っています。

干潮時は接近可能

今回は小潮の干潮から3時間後の訪問でしたが、3つの鳥居全て歩いていける状態でした。せっかくなので、鳥居の近くまで行ってみることにします!

こちら白い砂浜に見えますが、実は全て貝殻。歩くと、パリパリ、カリカリと小気味よい音が響きます。少々足場が悪いので、歩きやすい靴がおすすめです。

海側から鳥居の正面に立つと、3基の海中鳥居に加えて陸上の1基の鳥居が重なり、4つが積み上がったように見えます。この角度から見られるのは、干潮時ならでは。

大魚の伝説

昔、この地には悪代官がおり、人々を苦しめていました。

業を煮やした人々は、悪代官を海の中にある浅瀬のような「沖ノ島」に誘い宴会を行います。悪代官が酔っ払ったところで人々は舟を出し、悪代官を島に置き去りにしてしまいました。

徐々に潮が満ちてくると、追い詰められた悪代官は竜神様に助けを求めます。すると大魚が現れ、悪代官を背中に乗せ、陸へと連れて行ってあげます。

命が助かった悪代官はこれに感謝するため大魚神社を建立。沖ノ島に向かって海中鳥居も建てました。その結果、海の恵みが豊かになり、人々の暮らしは豊かになりました。

この悪代官を助けた大魚はブリであったと言われており、このあたりの人々はブリを食べないようにしていたこともあるそう。

大魚=ナミノウオであったという説もあります。ナミノウオがわからなかったので調べてみたところ、有明海ではスナメリ(イルカの仲間)のことをそう呼ぶそう。こっちの方が人を乗せて泳げそうです。

気になる鳥居の数

海中鳥居は3基なのですが、それ以外にも大小様々な鳥居が設置されており、合計すると7基となります。

海中鳥居について調べていると、「30年毎に一基建立する習わしがある」との記載を見つけました。ということは、30年毎に1つずつ増えているのでしょうか?

7×30年で計算すると、210年。今から210年前はちょうど江戸時代にあたりますので、悪代官のお話と良い感じに重なります。

・・・と思っていたのですが、Google Earthで2017年の写真を見ると、周辺の鳥居の姿がありません。もしかしたら、ここ数年で一気に追加されている可能性があります。

「建立」ではなく「立て替え」と記載しているサイトもあったので、もしかしたらこちらが正しいのかもしれません。詳しい方いらっしゃいましたら、教えてほしいです。

社殿はいずこ?

鳥居があるのですが、周囲に神社は見当たりません。社殿はいったいどこにあるのでしょうか?

地図で調べてみたところ、鳥居から国道を挟んだところには大魚神社の社殿がありました。

にぎやかだった海中鳥居とは異なり、こちらは人の気配もなく非常に静か。近くに駐車場は見当たらなかったので、鳥居の前に停めて歩いて向かうのがベター。約5分ほどでアクセスできます。

この大魚神社は、有明海に浮かぶ沖ノ島と多良岳(たらだけ)を結ぶ直線上に位置しています。多良岳は標高996mの山で、古来より修験道の場とされてきた霊山。海と山への信仰、そして漁業と農業の結びつきを感じさせる並びです。

近くには道の駅

海中鳥居から2kmほどのところには道の駅太良があります。名産の牡蠣やカニなどを販売しており、レストランで海鮮メニューを楽しむこともできるので合わせての訪問がおすすめ。

人気No.1は海鮮ちゃんぽん!アサリ、タコ、エビなどがたっぷり乗った具だくさんのちゃんぽんはとっても美味しい!ただしかなりのボリュームで、食べても食べても減りません。お腹に余裕がある人向けのメニューです。

道の駅前の屋台では、カニだしコロッケやカニ天ぷらも売ってます。気軽にカニを味わうこともできるのが嬉しい。

コメント

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