モダンなキューブに広がるアート空間『群馬県立近代美術館』(高崎市)

群馬県

広大な群馬の森の中に立つモダンな建築は、群馬県立近代美術館。国内・海外の近現代アート作品を多数収蔵した美術館です。開放的な館内に並ぶ展示室では、企画展とコレクション展を開催しております。

訪問日:2024/7/15(月) ※掲載の写真・情報は訪問時のものです

高崎市に広がる群馬の森

「群馬の森」は、高崎市にある都市公園。東京ドームの5.6倍という広大な面積を有しており、豊かな自然とふれあえる場所です。

もともとは火薬製造所が設置されていた土地であり、1945年の終戦まで多数の火薬を生産していました。その後、明治百年記念事業の一環として都市公園の整備が開始。1968年から約6年の歳月をかけて、1974年に開園しました。

自由に遊べる芝生の広場や、園内を周回できるサイクリングコースなど、自然の中で遊べるスポット。さらには「群馬県立歴史博物館」と「群馬県立近代博物館」という2つのミュージアムが立ち、カルチャーパークとしての一面も持っています。

今回の記事にてご紹介させていただくのが、こちらの「群馬県立近代博物館」。開館は1974年と、群馬の森開園とともに立つ施設です。

建物の前に置かれているのは、力強い馬の彫刻作品《巨きな馬》by アントワーヌ・ブールデル。写真では伝わりにくいですが、高さ4.5mという大きな姿で来館者を出迎えます。

磯崎新のキューブ建築

白く幾何学的な外観が印象的な建築。担当したのは、大分県出身の建築家、磯崎新(いそざき あらた)。福岡県の「北九州市立美術館」や茨城県の「水戸芸術館」、大分県の「大分市アートプラザ」などで知られる世界的な建築家です。

「ホワイトキューブ」と呼ばれる立方体で構成されているのがその特徴。収蔵作品を取り囲む、額縁をイメージしているそうです。

開館以降、2度に渡って増改築が行われていますが、正面ではなく裏側に行われているため、外観は当時からほぼ変わっていないそう。

広がりを感じる館内

入館するとそこは広々としたエントランスホール。屋内に入ったのに開放的な気持ちになれる空間です。

天井を支えるかのように立つ人物像は、《破壊された都市》by オシップ・ザッキン。第二次世界大戦中に空爆で壊滅的な被害を受けたロッテルダムの惨状をテーマに造られた作品です。

内側からも外観さながらにキューブを感じられる構造。格子状の大きなガラス窓とコンクリート壁の無機質な空間ですが、照明が仄かな温かみを添えています。

訪問時は1階が企画展、2階がコレクション展と展示室が分かれていました。展示室内は基本的に撮影が禁止となっております。

近現代美術が並ぶコレクション展

国内外の近現代美術作品を多数収蔵する美術館。1年に4回ほど内容を変えて、コレクション展が開催されています。複数の展示室では作品がずらり。それぞれテーマに合わせたラインナップとなっていました。

展示室2の『日本と西洋の近代美術』では、《睡蓮》by クロード・モネ、《人形を抱く少女》by レオナール・フジタ、《ブルドッグを抱いた女》by マリー・ローランサン、《世界の外のどこへでも》by マルク・シャガール、《秋》by ジョルジュ・ルオーといった、有名画家の作品が目白押し。

※イメージ写真

パブロ・ピカソの《ゲルニカ(タピスリ)》(壁掛けの織物)も壁一面に展示されています。ピカソ監修のもと3枚のタピスリが製作され、これはそのうち3番目。1番目はニューヨーク国連本部の安全保障理事会に、2番目はフランスのコルマールの美術館に収蔵されているそうです。

展示室3の『新収蔵作品紹介』では、くるくるまわるポストカードスタンドにカラフルなアクリル板がそえられた《active galaxy》by 鬼頭健吾や、生い茂る庭先の樹木の写真に木が刺繍された薄い布がかかる《Between Tree, Ghost has come》by 竹村京など、現代アート作品も。

個性的な企画展も開催

今回は時間の都合でコレクション展だけでしたが、ここでは年に4回ほど企画展も開催しております。訪問時はこちらが開催中でした。

英国キュー王立植物園 おいしいボタニカル・アート 食を彩る植物のものがたり
会期:2024年7月13日(土)~8月25日(日)

上記企画展は8月まで。9月以降はこちらの企画展を開催予定。

群馬からみる日本の美 戸方庵井上コレクション5つの扉
会期:2024年9月21日(土)から11月10日(日)

企画展とともにコレクション展も展示が変わっていますので、公式HPにて内容を確認してから訪問するのが良さそうです。

展示作品はもちろんのこと、増築により複雑になった館内は、まるで迷路みたいで楽しかったです!

アクセスと営業情報

開館時間 9:30~17:00
休館日 月曜(祝日の場合は翌日)、年末年始
料金 コレクション展:300円
企画展:展示により異なる
公式サイト https://mmag.pref.gunma.jp/

※掲載の情報は2024年7月時点のものです。最新情報は公式HPにてご確認ください。

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