情緒あふれる港町に祀られる音楽神『美保神社』(松江市)

島根県

美保関の港町にたたずむ美保神社は、出雲大社との両参りでも知られる人気の神社。独特な造りの本殿や、音楽の神様としての側面など見どころは豊富。街並み散策や、美保関灯台と合わせてめぐりたい場所です。

訪問日:2022/5/1(日)

ノスタルジックな港町

島根半島の東端に位置する美保関(みほのせき)。海上交通の要衝として栄えた港町で、朝鮮半島との交易拠点や江戸時代の北前船の寄港地など、様々な役割を担ってきました。

現在の美保関は、情緒あふれる港町。旅館や食堂も多く並んでおり、観光客の姿も多くみかけます。

「青石畳通り」という、雨に濡れると淡い青色に変化する石畳の道もあり、散策が楽しそうな町です。

長い歴史をもつ神社

そんな美保関の中心となっているのが美保神社。創建年はわかっておりませんが、733年に完成した出雲国風土記には記載があることから、8世紀には既に信仰の地として知られていたことがわかっています。

鳥居をくぐるとすぐに見えてくるのは神門。まるで出雲大社のような大きな注連縄が印象的です。

神門の先にある拝殿。壁が無く開放的な造りをしているのは、音楽性の高い祭礼のため。建物の構造と、周囲を取り囲む山が音響効果をもたらすそうです。

設計を担当したのは伊東忠太。京都の平安神宮や東京の明治神宮など、神社や寺院をはじめ数多くの作品を残す建築家です。

2つ並んだ本殿

拝殿の奥にあるのが本殿。美保神社の本殿は大社造の2つの棟が並うという特殊な造りとなっており、「美保造」または「比翼大社造」とも呼ばれています。

向かって左側の右殿には大国主命の子である事代主命を、右側の左殿には大国主神の后である三穂津姫命を祀っています。

もともと本殿は1棟でしたが、戦国時代に戦災で消失後、再建された際に現在のような2棟に変わったといわれています。かつては美保社ではなく美保社とも呼ばれていたそうです。

音楽の神様

御祭神は歌舞音曲の神様と言われており、古くから多くの楽器が奉納されてきました。中には日本最古といわれるオルゴールやアコーディオンも奉納されており、846点が「美保神社奉納鳴物」として国の重要有形民俗文化財に指定されています。

そんな楽器の中で最も大きなものが、こちらの大鼕(おおどう)。樹齢1000年のケヤキをくりぬいて造られた直径157cmにも及ぶ大きな太鼓で、明治時代に奉納されたもの。現在も、毎朝8:30の朝御饌祭(あさみけさい)や特定の祭典時に使用されているそうです。

この太鼓、実は同時に3つ造られており「三つの兄弟太鼓」といわれています。残る2つは鳥取県の名和神社と賀露神社に納められているそうです。

出雲大社と両参り

美保神社をお参りする際に気になるのは「両参り」というコトバ。同じく島根県にある出雲大社と美保神社、2社をお参りするのが縁起が良いとされているそうです。

これは、美保神社が出雲大社の御祭神・大国主命の奥さんと息子を祀っていることに由来します。

また、美保神社の御祭神・事代主命は恵比寿様とも呼ばれる神様。出雲大社の御祭神・大国主命は大黒様とも呼ばれているため、この2つの神社をめぐることは「えびすだいこく両参り」とも呼ばれています。

気になる順番ですが出雲大社(親の神様)→美保神社(妻と子の神様)の順が良さそうな雰囲気ですが、実際のところ決まりはあるのでしょうか・・・?そもそもこの両参り自体が、出雲大社・美保神社どちらのHPにも記載が無いことから、参拝者の間で広まった慣習か、観光協会が提唱しているものかもしれませんね。

アクセスと営業情報

境港駅から美保関コミュニティバスで約10分のバス停《宇井渡船場》にて乗り換え、そこから約15分ほどのバス停《美保関》下車。

車の場合は境港駅から約20分、米子鬼太郎空港からも約20分ほど。

早朝や夕方でしたら、鳥居の前にちょこっと停めることはできますが、基本的には公民館脇の駐車場「美保関観光無料駐車場」を利用します。神社までは徒歩1分ほどとすぐ近くです。

公式サイト http://mihojinja.or.jp/

※掲載の情報は2022年5月時点のものです。最新情報は公式HPにてご確認ください。

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