華麗なる侯爵家の豪邸『旧前田侯爵邸』(目黒区・駒場東大前)

東京都(23区)

目黒区・駒場の一角に佇む旧前田侯爵邸は、まるでヨーロッパの貴族邸宅のような空間。広大な敷地と堂々たる洋館、落ち着いた和館が織りなす非日常の景色。都会の喧騒を忘れさせる、静謐な歴史空間となっています。

訪問日:2026/2/7(土) ※掲載の写真・情報は訪問時のものです

今なお残る侯爵家の邸宅

明治時代、この地には駒場農学校がありましたが、同校はその後東京帝国大学農学部となり本郷へ移転。跡地には逆にそれまで本郷に屋敷を構えていた旧加賀藩主家の華族・前田侯爵家が移住しました。

そんな前田家の第16代当主である前田利為の本邸として建築されたのが旧前田侯爵邸。昭和4年(1929)年には洋館が、昭和5年(1930年)には和館がそれぞれ竣工します。

昭和17年(1942年)、従軍中の前田利為が没すると、夫人をはじめとする前田一家は別の場所へ。邸宅は他人の手に渡り、一時期は中島飛行機の本社がおかれていました。戦後は米軍に接収され、その後整備が行われて昭和42年(1967年)に駒場公園として開園。建築は「旧前田家本邸」として国の重要文化財に指定されました。

そんな旧前田侯爵邸、「洋館」「和館」がどちらも残されています。建物自体は渡り廊下でつながっていますが、その連絡廊下は一般人は立ち入り不可。見学は別々の受付から進むかたちになります。

昭和初期の洋風建築

ということで、まずは洋館から。前田利為の本邸として昭和4年(1929年)に竣工した建築。イギリス・チューダー様式で仕上げられており、玄関ポーチ(車寄せ)の扁平アーチにもその特徴が見られます。

館内は土足厳禁。靴を脱いでビニール袋に入れて持ち歩きます。

1階と2階それぞれ見学可能。2階へ続く階段は赤い絨毯が敷かれたゴージャスな仕上がり。階段の下には暖炉とソファが置かれた、ちょっとしたスペースがあります。秘密基地みたいでわくわくするポイント。

この暖炉は装飾がされております。飾られた暖炉、またはその飾りのことを「マントルピース」と呼びます。この洋館は各部屋毎に異なるマントルピースがあるのが見どころのひとつ。このあとも出てきますので、覚えておいてくださいね!

客をもてなす迎賓空間

1階は来客をもてなすための部屋が多数並んでいます。玄関のすぐ近くにある第一応接室は、侯爵夫人の令嬢の客が通されていた応接室。壁には細工があしらわれた木の床、ダマスク柄の壁紙が上品な仕上がり。そして、天井まで届きそうな白いタイルのマントルピースが設置されています。

鮮やかな絨毯ときらびやかなシャンデリアの小客室。壁紙とカーテンは薄い赤色が採用された華やかな雰囲気。中心に鎮座するマントルピースは、まるで主役のようです。

晩餐会のための大食堂は、最大26人でディナーが可能。壁に嵌められた木の細工、そして白大理石のマントルピースが重厚な存在感を放ちます。

華麗なる生活の間

階段を登った2階は生活の間。夫人室は、菊子夫人の居間であると同時に、家族団らんの場でもあったそう。紫のカーテンや絨毯、赤いソファが置かれた華麗な部屋。生活の間といえど、その華美な雰囲気は衰えません。

侯爵夫妻の寝室もあります。さわやかな金と銀色の壁紙、ベッドやキャビネットはロンドンの高級家具店・ハンプトン社のもの。寝るための部屋でこんなに広いというのも落ち着かなそうな気がしますね。

洗面室・浴室もあります。かつてはここにバスタブと洋式トイレがあったそう。スチーム式の暖房も備えていたようです。

前田利為の書斎も見ることができます。金唐紙で装飾された壁紙の中に、机や戸棚が設置された空間。絨毯やカーテンも落ち着いた輝きを放ちます。ここもやっぱり装飾されたマントルピースが配置されています。

情緒あふれる和館

洋館から外に出て、次は和館へ。この和館は外国からの賓客に日本文化を伝えるために、洋館の翌年である昭和5年(1930年)に竣工しました。書院造の木造2階建ての近代和風建築となっています。

こちらも洋館と同様に靴を脱いで入ります。靴下が必要ですが、なくても使い捨ての簡易靴下があるので大丈夫。

畳の香りと木の香りが情緒あふれる館内。濡れ縁(※建物外に設置された縁側)と、その先に広がる庭園からは、水の流れる音と鳥の声が聴こえてきます。まるで禅宗寺院に来たような、心が落ち着く空間です。

庭園の松には、金沢の兼六園のような「雪吊り」も見えます。実は少し異なっており、竹で作った輪っかを下部に固定して、縄で吊るしているスタイル。

御客間は、隣の御次の間と続き、合わせると約40畳という広さ。畳敷きの床の間、鳥居型の違い棚などを備えた書院造りの部屋となっています。


そんなわけで、洋館と和館、どちらも異なる魅力が詰まっており、見応え抜群。建築の美しさや、細部にまでこだわった装飾を通して、華麗なる一族の暮らしぶりが垣間見えるスポットでした。

なお、入館料はどちらも無料。これだけの建築をタダで見られるのはすごいですね!

アクセスと営業情報

京王井の頭線駒場東大前駅より徒歩8分。小田急小田原線東北沢駅より徒歩約13分。

開館時間 9:00~16:00
休館日 月曜、年末年始
料金 無料
公式サイト https://www.syougai.metro.tokyo.lg.jp/sesaku/maedatei.html

※掲載の情報は2026年2月時点のものです。最新情報は公式HPにてご確認ください。

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