タンチョウ保護のためにつくられた小さな公園。ここに来れば、年間を通してタンチョウを見ることができます。つがいで暮らすタンチョウを、間近で観察できるのもポイントです。
タンチョウを飼育する公園
前前前回の「鶴見台」、前前回の「鶴居・伊藤タンチョウサンクチュアリ」、前回の「阿寒国際ツルセンター (グルス)」と続けてお送りしてきたタンチョウシリーズも今回でラスト。最後に紹介するのは「丹頂鶴自然公園」。
これまでの3ヶ所は野生のタンチョウを観察することができるスポットでしたが、ここはタンチョウの保護のためにつくられた公園。フェンスで囲まれたスペースでタンチョウが飼育された動物園タイプの施設であるため、年間を通してタンチョウを見ることができます。
手書きの園内マップがかわいらしくて良いですね!今回訪問時の展示数は11羽とのことです。
自然環境そのままのスペース
園内は500mほどの園路沿いに、タンチョウが飼育されたスペースが連なっています。
全然見当たりません!!
各スペースはけっこう広々としており、自然環境がそのまま。背の高い藪が生い茂っているため、タンチョウが隠れて見えないこともあります。
ときおり鳴り響くのは大きな鳴き声。確実に存在していることだけは感じられます。
間近で見られるタンチョウ
1つ目のスペース、2つ目のスペースでも見つからず、奥へ進んで行くと・・・。
いた!!!
各スペースに飼育されているタンチョウは2羽ずつ。縄張り意識が強いので、つがいで個室となっているのです。現在展示されているのは11羽なので、5ペアを見ることができます。あれ、「1羽ぼっち」がいるような・・・。
この公園の魅力は、タンチョウが間近で見られること。タンチョウの気分次第ではありますが、フェンスの傍に来てくれることもあるので、他のスポットよりもじっくり観察することができます。
フェンスには撮影用の窓も。フェンスの映り込みを気にせず、タンチョウを撮影することができます。
鶴公園のヒストリー
ちょっとした展示室もあり、タンチョウの剥製や骨格標本とともに、鶴公園の歴史が記されていました。
タンチョウはもともと北海道のいたるところで見ることができるポピュラーな鳥でしたが、明治時代の開拓により生息環境が悪化。さらに乱獲も行われ、ほんの数十年で姿が見えなくなり絶滅したと考えられていました。
1924年に釧路湿原にて10数羽が発見されます。1935年、地元の人々によって「釧路国丹頂鶴保護会」が結成され保護活動が開始。戦時中に一度中断するも1946年には活動再開。1957年に文化財保護委員会よりタンチョウの捕獲および飼育許可が降り、1958年に捕獲した5羽を放して鶴公園が開園します。
1970年には世界で初めてタンチョウの人工ふ化に成功しました。初代園長の高橋良治さんは、親鳥の代わりに幼鳥に飛び方を教えたため、「鶴になった男」とも呼ばれているそうです。
気になったポイント
さてさて、この公園のタンチョウを見ていると、1つの疑問が浮かびました!ここのタンチョウは保護しているタンチョウとのことですが、そんなツル同士で上手くつがいになるのでしょうか?
ここの飼育スペースは屋根が無いので、野生のツルが訪れてつがいになることがあるそう。空から舞い降りた相手とペアになるなんて、なんだかおとぎ話の世界みたいですね!
なお、さきほど「1羽ぼっち」がいる、と書きましたがこのオスは36年連れ添った奥様に先立たれてしてしまったそう。現在は独り身ですが、新たなメスが飛来すればつがいになるかもしれないそうです。
さてさて、最後におまけですがこの地面にある草のかたまり、何だかわかりますでしょうか。
これはヤチボウズと呼ばれる、スゲが集まった株。冬には地中の水分が凍ることで地面が盛り上がり春になると雪解け水でまわりの地面が削られ株が露出します。これを繰り返すことでどんどん盛り上がっていき、その姿から「谷地坊主」と呼ばれるそう。
次の次の記事でもこの名前出てきますので、覚えててくださいね!
アクセスと営業情報
釧路空港から自動車で約10分。地図では空港のすぐ傍に見えますが、道路を進むと3kmほど。徒歩でのアクセスはかなりハードです。
開園時間 | 4/10~10/14:9:00~18:00 10/15~4/9:9:00~16:00 |
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休園日 | 12/31~1/3 |
料金 | 480円 |
公式サイト | https://www.kushiro-park.com/pages/72/ |
※掲載の情報は2025年1月時点のものです。最新情報は公式HPにてご確認ください。
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