1,368段を越えて奥社を目指せ!『金刀比羅宮』(仲多度郡琴平町)

香川県

香川県を代表する神社として全国に知られる金刀比羅宮(ことひらぐう)。奥社まで行くには、果てしない石段を上り続ける必要があります。今回は参拝客の少ない早朝スタートで一気に登ってきました!

訪問日:2023/5/4(木) ※掲載の写真・情報は訪問時のものです

ハードな参道で知られる神社

金刀比羅宮は、全国に約600ある金刀比羅神社、琴平神社あるいは金比羅神社の総本宮。

もともとは琴平神社でしたが、神仏習合によって金毘羅と結びつき、金毘羅大権現として祀られるようになったそう。江戸時代には「金毘羅参り」として大ブームに。お伊勢参りに次ぐ、庶民の憧れの地でした。明治以降の神仏分離にともない、現在は金刀比羅宮という神社となっています。

そんな金刀比羅宮ですが、参拝するにはちょっとした心構えが必要。なぜなら、本宮まで785段(往復約1時間半)、奥社まで1,368段(往復約2時間半)とかなりの歩行距離を要するのです。

以前近くを通った際は、そこまで体力も時間も無いからとスルーしてしまいましたが、ココを越えた私に怖い石段はありません。

早朝スタートで奥社を目指す

そんなわけで訪れた金刀比羅宮。今回はGW期間中の訪問であるため、混雑や駐車場不足が心配・・・ということで、朝早起きして向かうことに。

7:15
まだ利用者もまばらなタイムズ駐車場に車を停めたら、荷物や服装を整えて出発です!

うどん屋さんや旅館、屋台が立ち並ぶ参道。まだお店はオープンしてませんがGWということもあり歩いている人はけっこういます。

あっという間に100段が経過。この辺りから本格的な石段がはじまりますが、まだまだ先は長いです!

見どころの多い大門周辺

7:30
大門(おおもん)に到着。重厚な建築は、高松藩の初代藩主となった松平頼重によって寄進されたものであるそう。ちなみにこの松平頼重は、水戸黄門として知られる徳川光圀の兄にあたります。

ここからは少し平坦な桜馬場と呼ばれる道。春先に訪れると、道の両側に植えられたサクラが咲き乱れ、参道を華やかに彩ります。宝物館もすぐ近くにあります。

7:35
白馬が見える神馬舎(しんめしゃ)。現代の神社では木や銅でできた馬が奉られていることが多いですが、この金刀比羅宮の神馬はホンモノの馬!「月琴(げっきん)号」と「ルーチェ号」という2頭の馬が飼育されています。

書院の見学には拝観料が必要。「こんぴらさんの若冲展」を開催中のようですが、まだオープン前でした。

こちらはカフェ&レストラン 神椿。資生堂がプロデュースしたパーラーであり、利用者は500段目の駐車場に停めることができます。ここから本殿までは285段とかなりのショートカット。

旭社と御本宮

7:45
圧倒的な存在感の旭社。高さ約18メートルの社殿は迫力満点!本宮と言われたら信じてしまうくらいの存在感。気になるのは左右に置かれた灯籠。四足が反り上がり、なんだかタコさんみたいです。

7:50
旭社の先の石段を上ると、御本宮に到着。大物主神と崇徳天皇を祭神としており、農業・殖産・医薬・海上守護の神として信仰されています。参道入口からここまで35分ほど。

御本宮の前の広場は展望台となっています。広大な讃岐平野や、そこにそびえる讃岐富士こと飯野山を見渡せます。

奥社への道のり

8:00
御本宮前出発!しばらくは石段のない平坦な道が続きます。御本宮前はけっこう人がいましたが、この奥社まで進んでいる人は少なめ。

見えてくるのは常磐神社。武雷命、誉多和気尊(応神天皇=八幡様)を祀る神社です。いずれも武勇に秀でた神様ですね。

8:05
開けたところに建つ朱塗りの白峰神社。御祭神は崇徳天皇、その母である待賢門院、大山祇神。周辺にはトイレやベンチもあるため、ひと休みポイントでもあります。

8:10
菅原神社に到着。その名の通り、御祭神は菅原道真。道真は讃岐国司の長官である「讃岐守」もつとめており、4年ほど讃岐で暮らしていたという歴史があります。

この石段を上ればついに奥社!ラストスパートです。

奥社と天狗の関係

8:25
ついに奥社に到着。無事に1,368段登り切りました!ここまで駐車場から70分、御本宮から25分ほど。

奥社の周辺には腰かけて休んでいる人の姿がたくさん。どうやら、奥社の社務所がオープンするのを待っているようです。

奥社の正式名称は厳魂(いづたま)神社。御祭神の厳魂彦命は、金毘羅信仰の発展に尽力した金剛坊宥盛のこと。戦国時代末期に戦火によって荒廃した金毘羅大権現の再興に努め、日本各地を巡りその神徳を広めます。

奥社に向かって左側の崖は、威徳巖(いとくのいわ)という名が付けられています。この岩場、よーく見てみると、「天狗」と「烏天狗」の面が納められています。

金剛坊宥盛は、この世を去る直前に天狗に姿を変えたという伝説が残っております。江戸時代には、金毘羅参りの際に天狗の面を背負うという習慣もあったそうです。

8:30
奥社を出発、駐車場まで戻ります!さくさく進んで、参道入り口付近までは45分ほど。上りは70分かかった道のりも、下りは楽々です。

こんぴら参りとこんぴら狗

表書院や神馬舎のそばに置かれたイヌ。こちらは「こんぴら狗」と呼ばれています。

各地に関所が設けられており、国をまたぐ移動に厳しい制限がかけられていた江戸時代。「旅行」は禁止でしたが、「参拝」という理由ならば各地へ移動することが許されました。そんな中で、一大ブームとなったのが「伊勢神宮」への参拝である「お伊勢参り」。そして、そのお伊勢参りに次ぐ人気を誇ったのが、「丸金か京六か」。丸金はここ讃岐の「金毘羅大権現」、京六は京都六条の「東西本願寺」のことであり、いずれも人気の高い参拝でした。

しかし、現代のように交通機関の発達していない江戸時代に長距離移動するのは非常にハード。そこで生まれたのが「代参」という文化。参拝が難しい人の代わりに、旅慣れた別の人が参拝することです。

この代参、なんと犬が行うこともあったそう。「こんぴら参り」の代参をおこなった犬こそがこの「こんぴら狗」。首に飼い主を記した府、初穂料、食費などが入っており、旅人に連れられて参拝を果たしたそう。

うどんとヤドンの誘惑

帰り道、参道を歩いていると目に入ったのが「こんぴらうどん」。朝9時頃でしたが、元気に営業しておりました。

参拝を終えてすっかりお腹が空いていたため、抗うことはできず、吸い込まれてしまいました。

こちらは「温玉ぶっかけ」。太くて歯ごたえのある麺、天かす・ネギ・レモンというトッピングが絶妙なお味です。これがわずか330円で食べられるのですから、もう香川県から出たくなくなります。

さらに、220円で「ヤドンのお揚げ」を載せてもらえます。

2018年、ウドンと響きが似ているというびっくりな理由でヤドンが「うどん県PR団」に任命。その活動の一環として、県内のうどん屋さんではこの「ヤドンのお揚げ」を取り扱っています。じゅわっと分厚い大きなお揚げはたまりません。

所要時間と感想

奥社まで往復、うどんを食べる時間も含めたトータル所要時間は【2時間30分】。奥社参拝だけならば2時間ちょっとあれば往復できそうです。

途中、ほとんど休憩は取らなかったのですが、道中の各社にて立ち止まって解説を読んでいたのがちょうど良いひと休みに。そのおかげか、あまり疲れることなく登ることができました。

おすすめの持ち物はなんといっても「日傘」!!特に御本宮までは日当たり抜群な石の道が続くので、これがあるだけで体力を温存できます。

あとは、「冷たい飲み物」!大門の手前くらいまで自販機がありますが、売り切れている可能性もあるので要注意。大門の前では、おじさんがキンキンに冷えたペットボトルを販売していましたが、これも常設かどうかは不明。やっぱり、事前に用意しておくのがおすすめです。

アクセスと営業情報

参道の入り口までは琴電琴平駅から徒歩5分、JR琴平駅から徒歩8分。

車の場合は善通寺ICより約15分ほど。参拝者駐車場は無いため、周辺の有料駐車場を利用となります。今回私が利用した「タイムズ琴平こんぴら前」は、平日500円・土日祝日800円でした。

大門の開門時間 6:00~18:00
料金 無料
公式サイト https://www.konpira.or.jp/

※掲載の情報は2023年5月時点のものです。最新情報は公式HPにてご確認ください。

コメント

  1. 匿名 より:

    1/8に朝8時頃他にも行く予定だったので本宮を参り降りましたに本宮から奥の院へ行こうとすると夕方5時から朝9時まで奥の院へは入れないとのこと理由は猪が出るからでした

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