霞ヶ浦に面した鹿島海軍航空隊の基地跡を見学することができる施設。有料施設ですが、整備はあえての必要最低限。戦争を越えてきた歴史と共に、朽ち果てて滅びゆく建物の魅力が詰まっています。
公開がはじまった基地跡
1922年に開隊した霞ヶ浦海軍航空隊。その水上班が移転して1938年に開隊したのが鹿島海軍航空隊。飛行予備学生の練習教程を担当、さらに特攻作戦にも参加していました。
そんな航空隊の基地があったのが茨城県の美浦村の大山。戦後はその敷地の大部分が東京医科歯科大の霞ヶ浦分院となったり、国立公害研究所となったりしていましたが、2016年に美浦村へと譲渡されます。敷地に残る基地の遺構も当初は取り壊す予定でしたが、戦争史跡として残すことに決定。クラウドファンディングでの資金調達に成功し、2023年7月より一般公開が開始されました。
錆びついたトタンの建物が受付となっている自動車車庫。ここで入場料を払います。料金は800円、所要時間はさらっと見るだけなら30〜40分程度とのこと。
ここでいただけるマップがとってもわかりやすい!地図には番号とともに写真が添えられており、見るべきポイントを教えてくれます。実際にその場所に行くと、より詳しい案内板があり知識を深めることもできます。
見どころ① 本庁舎
こちらの大きな建物は鹿島海軍航空隊本庁舎。鉄筋コンクリートの3階建ての建築であり、中に入って見学することができます。
内部は複数の展示室が並ぶ。鹿島海軍航空隊の歴史、そしてこの基地跡を史跡として残す経緯など、いろいろな読み物があります。さらに「映像研には手を出すな!」「スパイの妻」「ラーゲリより愛を込めて」といった美浦フィルムコミッション展示も。訪問時は別料金となる「ゴジラ-1.0」の企画展も開催されていました。
展示室以外の場所にも目を向けて見ると、そこには割れたガラスや錆びついた配電盤なども。廃モノ好きのニーズも満たしてくれます。
見どころ② 汽缶場跡
順路を進むと見えてくるのは汽缶場跡。聞きなれない単語ですが、お湯を沸かすボイラー室のことです。高くそびえる煙突は高さ32mにも及びます。
こちらもまた内部が見学可能。給水ポンプ、暖房に使う排水ポンプなど時が止まったかのように横たわっています。
見どころ③ 自力発電所跡
汽缶場跡のさらに奥に建つのが自力発電所跡。朽ち果てた姿の建物ですが、こちらも自由に内部見学が可能です。
骨組みだけの屋根、残された配電盤、天井に広がるU字のレールや垂れ下がるケーブル・・・。自然に帰って行くかのような姿は、これぞ廃墟の魅力といった趣です。こんな状態ですが、自由に歩いて散策することができというのが驚きです。
めぐってみた感想
有料の見学施設ではありますが、整備は必要最低限に留められています。あえてその状態を保っているかと思いますが、これが非常にリアリティを高めています。
これまで多くの戦争遺跡をめぐってきましたが、このような建築が残っている場合は外から見学したり、入り口から覗くというケースがほとんど。これほどまで廃墟感のある物件を自由に見学できる場所はとってもレアです。
また、所在地が街中ではないため周辺の景色は当時とほとんど変わっていません。隊員たちが見ていた景色をそのまま感じることができるというのも、この史跡ならではの体験でしょう。
謎解きゲームも開催
この戦争史跡では、ウォークスルーアトラクションも行なっています。いったい何かといいますと、各見学スポットに隠された暗号を用紙に記入して謎を解くという、いわゆる謎解きゲーム。
最初は勝手がよくわからず戸惑いましたが、徐々に仕組みが分かってくるとすいすい進めました。とりあえず、内部見学できる「本庁舎」と「発電所」は各部屋をしっかりと見ていくのがおすすめです。
無事クリアできたら、受付にて記念品のクリアファイルをいただけました。お時間に余裕がある方は、ぜひ挑戦してみてくださいね。
アクセスと営業情報
圏央道の稲敷ICより約20分。大きな案内板などはなく少々わかりにくい場所にあるため、Google Mapを確認しながら向かうのがおすすめです。
開館時間 | 9:00~17:00 |
---|---|
料金 | 800円 |
公式サイト(X) | https://twitter.com/kashima1938 |
※掲載の情報は2024年1月時点のものです。最新情報は公式HPにてご確認ください。
コメント